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第1回 矢沢永吉著「アーユー・ハッピー?」

タレント本への「愛」ある書評を「誠」を尽くして連載することにした。 
と書いている俺もまたタレントの一人である。
タレントはいかにして、タレント本の著者と成り得るのか、
この連載で解明していきたい。

ちなみに俺たちが、この一月に出版した
『お笑い男の星座』もおかげ様でベストセラー軌道を描いている。
2年をかけて芸能生命を賭けて渾身で書き上げたこの作品、
タレントの余技として書いているつもりはない。

それ故に、ロングセラーにすべき本として、
著者みずから販売促進に励む気概なのである。
本書にはスター列伝として「一等星」から「六等星」まで
芸能界の輝ける星の知られざる物語が並んでいる。
無論、書いている俺たち自身はただの星屑ではあるが"。

しかし記念すべき第一回でとりあげる「アー・ユー・ハッピー?」は、
もはや、この宇宙の眩いばかりの超一等星、矢沢永吉本。

これをタレント本として語ることすらおこがましい。
出版2ヶ月で早くも30万部のセールス。
販売促進の必要などない。 

むしろ読者にとっては、矢沢の神々しい語り口に、
自分で旋律を伴奏すべき矢沢の新作アルバムの一つなのであろう。
なにしろ前作「なりあがり」の出版は今から20年前、
若者のバイブルとして読み継がれ、今なお絶版されることもなく
100万部を超えるロングセラーである。

そして今回2作目の出版。
20年にたった2冊!

著作を生業にしないにも関わらず職業作家よりも売り上げ、
読者に絶対的影響力を持つ。 
これぞ、タレント本の極みである。

さて、本題に入る前に
「タレント本とは何か?」ズバリ定義させていただく。
俗にタレントは“有名税”を払うものだとされている。
 
“有名税”とは何か?
街を歩けば指差され、ぶしつけにカメラを向けられるのも有名税。 
名前も聞いたことも無い輩に、
根も葉もない噂話を垂れ流されるのも有名税。

いざ、事件ともなると、
三田佳子クラスの大物とて世間の視線に晒され、
市中引き回しの刑になるのもまた、有名税である。
大々的に報じられるスキャンダルなど、有名税の最も足るものである。

「ま、それも有名税、有名税!」
とは、芸能人の慰めの呪文である。
タレントと名乗った瞬間、源泉徴収されるこの“有名税”は、
そのタレントがビッグであればあるほど累進課税されるものである。

しかし、この一方的に搾取される “有名税”によって、
大衆の偶像と本人が願望するイメージとのギャップが生じるのも、
これまた当然のこと。

ここにタレント本、出版のモチベーションがあるのではないか。
“有名税”として片づけられたスキャンダルに必要経費控除の機会を与え、
独り歩きしてしまったイメージに還付請求を行う。

一般のサラリーマンには無縁なことだが、
個人事業主が毎年、嫌でも手間隙かけて行う
税金の申告のようなものなのだ。

よってタレント本とは
「膨大で払えきれない有名税に対するタレント本人による青色申告書」
なのである。

さて“膨大で払いきれない有名税”と書いたが
「ハッピー?」は冒頭から、あの世間をあっと驚かせた
オーストラリアの30億円横領詐欺事件の真相である。 
 
『成り上がり』の中で、矢沢は
「五十になってもケツ振ってロックンロールを歌っているような、
かっこいいオヤジになってやる」と予告していたが、
それは公約以上のレベルで実現された。   

それどころか、矢沢が、まさか信頼する仲間にケツをかかれて、
ケツ振るどころか、ケツに火が付く事態になるとは"。
しかし矢沢、この絶体絶命の事態に「一歩も引かない」。
 
当然、この報道に対し、矢沢に金を貸していた銀行は慌てた。
それに対し矢沢はこう言ったね。

「来月から倍返しにしてやれ!」

あっぱれ!矢沢!
ケツをまくることなく、30億の負債、自分でちゃんとケツを拭きやがった。
いつ、何時も“ゴールドラッシュ”な男が矢沢なのである。

そんな離れ業が可能なのも
「音楽を書きながら経営者になるアーティストがいないんなら
 オレが成ってやるよ」と言う様に、
いまや矢沢が日本のロックビジネスの一人者、経営者だからだ。

さらに
「矢沢が管理するのは商売だけじゃない。
矢沢のプライドもそこに入っている」と彼は言う。

つまり才能とそのクオリティーの経営者なのである。
自分で自分の値札を貼れる男一。
それが矢沢なのである。
 
著作権ビジネスの芸能界の
パワー・オブ・バランスに占める割合が肥大化した今。
矢沢は偉大なる時代の先駆者でありロックの経済革命家。

今や、多くの人が学ぶべき“金持ち父さん”である。
そういう意味で、
この本が日本経済新聞社系列から出版されることも頷けることなのだ。
「なりあがり」で不良の若者の教科書と言われた矢沢本だが
20年を経て「ハッピー?」は矢沢が正論、モラルを説く境地からして
「新しい教科書」に採用しても良いくらいだ。いやマジで。

さて最後に税務調査的に言えば、この本は明らかに過少申告だ。
30億円の詐欺の額のこと?

ノーノー! そんなことじゃない。
矢沢の輝ける栄光について矢沢自身が過少申告なんです!
 
P.S 「そういうあんたもかっこいいね」
初対面のショーケンに向かって矢沢が言うこの一言!

この本の見せ場である。
本のデフレ化がすすむなか、
この一行だけで、定価1300円はお釣りくる。

しかも、これって、
矢沢が支払い続けてきた有名税に対し、
我々、国民が還付すべきお金でしょう。


第2回 いかりや長介「だめだこりゃ」、長嶋一茂「三流」
第3回 つくる会「新しい歴史教科書」、小林よしのり「新ゴーマニズム宣言〜10」

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