7月16日  日曜

 池袋、バーゲン。
 
 夜、高円寺焼き鳥「大将」顔出し。
 ロマン・ポルシェと話。
 最近の話題を振られて、
 そのことを「失敬だなぁ」と思いつつも、
 それが以前なら全然OKな話題だけに
 今は「失敬だ!」と説明するのに時間がかかる。

 阿佐谷「和民」で、
 マイナス20の魔法の謎解きを早くもばらす。
 後悔。

 って何の意味やらわからぬことを書いているのだが、
 俺がわかりゃあ、それでいい。

.

 
7月17日  月曜

 13時、T−FM「ビートニクラジオ」取っ手だし収録。

 ビートニクラジオは、
 殿と浅草キッドのレギュラー番組なのだが、
 このところ、殿はロング・バケーションが続いている。
 この事態に殿の影武者・代役として、
 「21世紀のビートたけしを探せ!」オーディションを
 開催して、元週刊プロレスの編集長、
 ターザン山本さんが選ばれ、
 殿より「ビートたかし」を命名された。(応募者一名だけど…)

 その後、ターザンさんはこの番組にレギュラー出演。
 そして俺たち言うがママに、
 芸名・ペンネームも本当に全て「ビートたかし」に変えてしまった。
 この人こそ馬鹿になっているのだが…。

 今回は格闘詩人を名乗るビートたかしが
 殿の詩集の解釈に挑戦。
 31歳の歌人、枡野浩一さんをゲストに。

 詩を朗読するなんてことは、俺にとっては、実にこっ恥ずかしい。
 初対面の枡野さんがイイ奴だったのが、とても良かった。

 これには、なにやら因縁めいた経緯がある。
 先週、打合わせの時に、殿の14年ぶりの詩集
 『僕は馬鹿になった』を取り上げることになって、
 「ゲストは誰にしましょう?」と言われて、
 俺は枡野浩一さんの名前をあげた。
 「誰ですか?お知り合いですか?」と言われたが、
 俺は会ったこともなければ、本を読んだこともなかった。

 だが、枡野さんには、ちょっとした借りがある。

 昔、3年前だか、俺たちの2時間漫才を
 俺がよく知らない音楽雑誌に取り上げてくれていた。
 そのこともずっと知らなかったのだが、
 わざわざ、その雑誌と自分の本を番組に送ってくださった。
 にもかかわらず、スタッフのミスでずいぶん、日にちが経ってから、
 その雑誌と本は渡された。
 しかし、その本を俺はその日、飲み屋に忘れてしまって、
 雑誌だけを持ち帰った。
 その雑誌の記事の俺たちに対する苦言には「なるほど」と思って、
 何度か読み返して、
 このHP「キッド・リターン」の日記に採録した。

 その後は、“中森文化圏の人に影響されるな”
 っていう説明すれば長くなる妙な強迫観念があるので、

(とは言いつつ、ずっとペンゴロだと思っていた石丸元章とは、
 会ったら意気投合したりしたから当てにならないけど…)

 世間で話題になっていても枡野さんの本を読むことはなかった。

 放送前日に枡野さんから「明日よろしく」的なメールが
 このHP「キッド・リターン」宛に来て、
 俺は今までのこの経緯を説明するメールを書いた。
 枡野さんは、
 職業柄、殿の14年前の詩集「キッド・リターン」を
 読みたいのだが、
 読みそびれていることをメールに書いてあった。

 当日、俺は枡野さんに詩集「キッド・リターン」を進呈しようと思って、
 その本を持っていったのだが、
 なんだか、それはあざといな〜と思って、
 結局、「一冊しかないんで…」と言ってしまい、
 渡しそびれた。

 逆に枡野さんは著書2冊を進呈してくれた。
 『君の鳥は歌を歌える』(マガジンハウス)、
 『ますの。枡野浩一短歌集』(実業乃日本社)
 もしかしたら、これは3年前に送ってくれたものかもしれない。


 
 家に帰って、ああ、これは3年前に読んでいたのかも…
 と思って「君の鳥は…」を読んだ。
 第一章から殿の映画「キッズ・リターン」を取り上げていて、
 「名セリフが一個も出てこない名作」と書かれてある。
 こんな本なら俺こそが読むべき本ではないか!
 
 予想を遥かに越えて、
 実に、素晴らしい本だった。
 「名セリフしか出てこない名作」と言っていい。
 (なにしろ名作を解釈して、短歌化しているのだから、
  何処を斬りとっても、イキの良いセリフだらけは
  当たり前か)
 どう素晴らしいかは
 「本の中で輝いていた言葉たちは、野外へ持ち運ぶことは難しい」
 からここには書かないことにしようと思う。
 ただ、言葉好き、活字好きには、ひとたまりもないだろう。
 一言言えば、
 俺はこの本を好きなヤツは好きだな。
 
 実にイヤな奴がイヤな奴ゆえに
 素晴らしい表現をすることも多々あるが、
 イイ奴が、素晴らしい表現をしているほうが、
 俺の場合は好きなのだと思う。

 読み終えて、俺はこの本をもう一冊買うことにした。
 いや、たぶん何冊か、買うかも。
 自分の好きな人にあげることにしよう。

 本当は枡野さんには、本を無くした、お詫びに、
 「キッド・リターン」を進呈しようかと思ったけど。
 
 でも、「キッド・リターン」をあげないことで、
 返してはいけない借りを持つことにしよう。

 と、長々と、このHPキッド・リターンに
 私信のようなことを書いているのは、
 俺も日頃まったく興味を持たない、詩集やら短歌やらを読んで、
 俺も馬鹿になったからだ。

 たけしさんの14年ぶりの詩集『僕は馬鹿になった』は、
 俺が今までに一度も見たことがない、
 “ビートたけし”を見る。


 「死の誘惑」や「振り子理論」や
 「北野武とビートたけしの2重人格」や
 「少年」や「神」「母親」
 などの今までビートたけしをひも解く、
 キーワード以外に
 殿のなかに、「失恋」って概念が、
 あることに圧倒的に驚く。

 あの、泣き言とため息を漏らさないことでは、
 日本で一番我慢強い、
 あの世界の北野から、生々しく、何故に?と思うほど、
 痛切に一人の女性に対しての気持ちが語られている。

 最初、本にする前に殿に見せられた時には驚いた。
 本人を目の前に言葉を失った。
 
 そして、こういう本を、自らむきだしなのに、恥ずかしがらずに、
 「どうだ…」いや「どうってことねぇ…」って世間に出せるところに、
 殿の英雄を感じてしまう。
 .
.
 こんなカッコ良い人が、こんなカッコ悪いことを堂々と言うことは
 なんてカッコ良いのだろう…と。

 あまり詩を読むことも、詩を引用することも好きではないのだが、
 こんな生の詩を殿が書いていることすら信じられない。
  

 魔法の言葉

 鳥のように、自由に飛べたら
 魚のように泳げたら、なんて思わない
 自由を楽しむ生き物などいない
 生きていくことは、つらく、悲しく、目的などわからないものだ 
 しかしそんな気持ちを吹き飛ばす、彼女の魔法の言葉
 あなたが好きです

 

 願かける

 酒やめよう、タバコやめよう、無駄遣いやめよう
 人を嫉むのやめよう、親の事考えよう
 嘘つくのやめよう、人のため何かやろう
 そうすれば、あの娘が帰ってくるかも
.
.
.
 普通の彼女

 振り向かない彼女に努力をするのはやめよう
 恋する自分に酔ってはいけない
 夢中で書いた手紙も、プレゼントも何の力も無い 
 彼女は何処にでもいる、普通の女の子で
 ただ、君が好きではないだけだ

 「普通の彼女」って詩は、なんでしょうね。
 枡野さんは番組で「公共広告に使っても良い!」と
 オモロなことを言っていたが、
 本当に今の時代に、特にパソコンなんかやってる連中は
 スクリーンセーバーに標準装備して毎日眺めるべきかも。

 54歳の独り言が、17歳童貞の俺には、
 37年の年齢差に、生々しくも、戸惑い、
 37歳の俺には、後17年で、
 この「どうってことねぇよ」
 って境地に達することものかと思う。

 こんな日記なんて、
 芸人だからこそ、殿を見てきたから
 裸になれよ!
 と思って書いているにもかかわらず、
 まだまだ、
 “パンツの脱ぎ方”の境地が、
 師匠の域に到達しないもんです。

 16時、渋谷ビデオスタジオ。
 時間が空いたので、
 赤江くん(玉袋)と橋詰マネージャーと共に
 ヒンズースクワット部。
 『Tokyo Boy』3本撮り。
 奈美悦子さんと久々。
 井筒監督と映画談義。
 1本目、トウキョウ・クイズ「新宿区」司会。
 2本目、高校生悩みの選択。司会。
 3本目、ボイコット妻。


 収録が押して、
 21時半、「スネーク・ピット・ジャパン(蛇の穴)」へ。
 一時間だけ顔出し。
 タイ式縄跳び、踏み台2×3など、
 コンディショニング。
 びっしょり汗。
 今や、この汗、集めて飲み干したいほどだ。
 ま、そんなことを考えてるようでは、全然強くならないのは
 わかっているのだけれども…

 深夜、軍団の後輩のアル北郷来宅。
 北郷は2年間ほど一緒に住んでいたので、気心がしれている。
 俺が文句を言うのはわかっているから、
 文句を言われたがって来ているのだ。
 ハゲ・スズキも交えて旧水道橋派会合。
 殿、下のもの飲み会の話や、
 U-FILE CAMPにジョーダンズ・三又、
 篤くんと共に行った話などを聞き込む。

 休肝日と決め込んでいたのに、
 結局、朝まで、焼酎、ビールを流し込んだとのこと。

.

 
7月18日  火曜

 昨日、梅雨明け。
 14時、「スネーク・ピット・ジャパン(蛇の穴)」へ。

 炎天下って言葉に見合う猛暑のなか。
 高円寺でカイロプラティックの医院を開く、
 トレーナーの石井さんに休み時間に来ていただいて、寝技教室。
 簡単なコツを伝習されるだけで、
 今まで、ただのデクであった、スズキが大進歩。
 12キロの体重差が押えきれなくなる。

 16時、ういすぱー、
 文芸春秋、目崎さんと「男の星座」単行本化打合わせ。
 17時、東邦出版、佐瀬さん、
 ターザンとの共著単行本、打合わせ。
 今さらターザンと純プロレス本を出してどうする?
 むしろ、このゆきゆきて神軍的な
 ターザンそのものを死体解剖したいと、
 主旨説明。
 
 気持ちが上向きなのか、
 出不精を根本的に改め、
 今までなら絶対行くはずもない場所へ。
 どこへでも、出向き、
 誰とでも会おうと言う気になる。
 行けばわかるさ…。
 で、連れション体質にも関わらず、
 敢えて、子分も連れずに、
 赤坂、JAL嬢5名と会。
 私淑する方の弟さんと初めてお話し出来たのも、
 純粋にオモロだった。
 
 帰宅後、原稿書き。

.

. 
7月19日  水曜

 さすがに身も心も「もーいいや、今日はやめとけ!」と嫌がるが、
 「一時間だけ、軽くやろう」とスズキに言いながら、
 17時、「スネーク・ピット・ジャパン(蛇の穴)」へ。
 偶然にも7月後半タイトルマッチラッシュの
 キック4天王揃い踏み。
 ジムには大江さんの怒号。
 これで俺たちものんびり、手抜きは一切出来なくなる。
 コンディショニング。
 タイ式縄跳び、踏み台、2分×3,プラス30秒。
 スクワット等。
 
 ラビット関選手は明日が試合なのに、今日もびっちり。

 富ケ谷、こーじんクリニック。
 最近の俺の元気の素である、胎盤エキス、紹介。

 たまたま居合わせた兄弟子、
 つまみ枝豆さんと久しぶりに、じっくりお話し。
 “親身”ってことは難しい。

 経堂の「寿司の美登里」で食事。

.
.
.
 7月20日  木曜

 10時半、天王洲キャナルスタジオへ。
 テレビ東京、『COMーサイト』2本収録。
 チャット姫は、
 女性医大生と、モデル。


 チャット姫を狙う男性出場者が、
 当日、ドタキャンされ、
 急遽、3枠で、浅草キッドの付き人役で
 ハゲ・スズキが出演。
 子供が発表会に出ているようなもんで、
 ドギマギする。
 俺もアシスト役。
 2本目は、そのまんま東さんの付き人の
 早川くんが3枠に。
 テレビ番組であり、今回のような
 結果的に仕込みになっていながらも、
 それなりに、
 皆、目の前のマドンナ、
 チャット姫を本気でゲットしたがっているのだなぁ。

 ワシが出てぇくれぇじゃあ…。
 
 帰宅後、東スポ原稿、
 『エクスプレス』ネタ作りを朝まで。

 以上、10日間。
 気が付けば「スネーク・ピット・ジャパン」の話ばかりだ。 
 「電気自転車のようにただのマイ・ブームで終わればいいんですけど…」
 とスズキも言うが、
 ここに記録していることだけでも、実は短縮版なのだ。
 自分の中の“実験”を、スズキに記録をとらせて、他にまとめている。
 「いつか…」を前提に。

 高名な思想家が、
 机上の空論を脱して、自らの思想の実践を試みるため、
 ユートピアを夢見、共同体を作り、社会実験を試みた途端に、
 今までの言葉を失い、一般の社会性を失う、ことが多々ある。
 (「カルト資本主義」に出てくるヤマギシ会などいい例だろう。)

 俺にとってもジム通いの肉体実験なども、
 その一つであるとも思う。
 しょせん、本業じゃないじゃん。
 選手じゃないじゃん。
 
 それでも、俺には、やはり人生はリングだ。
 猪木風に言えば、“闘い”そのものなんです、ムフフフ。

 昔、日記にこんなことを書いた。

 薬師丸ひろ子がインタビューで、
 「高倉健さんにジムをすすめられ、中毒的に通っているんだけど…
 その健さんに『ジムに毎日来る奴に幸せな奴はいない』って言われた。
 〜と書いてあって、それ読んだ途端にオレ、ジムに行かなくなった。

 健さんの言葉は真理だった。
 でも、スポーツジムと格闘技ジムは、
 この点に於ても大きな違いがあるんだ。
 スポーツジムには当てはまるが、格闘技ジムには当てはまらない。

 なんて、イロイロ書いてるけど、
 ここからオモロにする気概ですな。

 いろいろメールもありがと。
 赤江くんの誕生日の祝いメールも、返信コーナー作ってます。

 
 次回はターザンことビートたかしさんが、
 とにかく、スゴイことになっている!!
.

 博士の悪童日記<2000年8月上旬>へ

最初

98年

99年

00年

01年

前回

次回

 

.

 

 

読み逃げ厳禁! 読んだら 感想メール を送りなさい! 目次に戻る