2001年

 1月1日  火曜

 起床後も、大阪ドームの猪木祭り、見返す。
 議論になるはずの、PRIDE勢のプロレス参戦は、
 猪木さまは、何をやっても良いと思っているので、
 俺はノー問題。
 ただし、シングルになると、
 橋本vsグッドリッジはいかがなものか。
 小川vs安田は、あれだけ締まるだけに歯がゆい。

 紅白歌合戦見る。
 俺は、流行ったハズなのに、最後まで聞いたことがない、
 知らない歌が多いのに驚いた。
 箱根八里の半次郎って何をそんなに嫌がってんだろう〜
 って前から思っていたが、
 歌詞を辿っていっても全然わからない。
 いったい、半次郎って何をした人なのだ。
 平井堅なんて始めて、ちゃんと見た。
 驚いた。
 紅白って、まるで、動物園を眺めるようだ。
 
 サブ来宅。
 賀状メールがいろいろ届いて、メーラーが壊れる。
 メールチェック出来ないだけで、イライラが募る。


. 
 
1月2日  水曜 

 8時半、テレビ東京、
 『新春初笑い東西寄席』。
 東洋館(浅草フランス座)で、コーナー司会進行。



 朝から藤原組長とお話。猪木祭りの後日談。
 昇太師匠とお話。
 昇太さんは、芸術祭大賞を受賞したにも関わらず、
 相変らず、カリスマ性のない佇まいだ。
 「重荷を背負わないのが、エライですねぇ」と俺。
 小出監督のメークをしていた、イジリー岡田に、
 「最近、素で仕事してないでしょう」と言ったら、
 横にいたプリティー長嶋さんは、
 「もう18年、素で仕事したことないですよ、
 私はミスターより監督歴は長いですよ」などと。
 高田事務所の高橋さんと「めちゃイケ」裏話。
 正月から楽屋話に花咲く。

 コーナーの司会進行の簡単な仕事だが、感慨深い。
 なにしろ15年前には、一文無しのその日暮らしで住み込んでいた劇場で、
 今や、小朝師匠と並んで、司会しているのだがら…。

 出演メンバー。
 《演芸コーナー》
  ・BOOMER、イザベル&ベネ、
   テツ&トモ、チャーリーカンパニー
 《大喜利コーナー》
  ・春風亭小朝、春風亭昇太、三遊亭歌武蔵、
   五明楼玉の輔、林家たい平、林家菊姫

 仕事始めで仕事終わり。

 終了後、オリンピックの初売りで、
 ブラウンのひげ剃り購入。洗浄まで全自動。
 機械としてカッコイイ。
 赤江くんに自慢出来る。


 北尾トロ著『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』(風塵社)
 興味深く読んだ。さっそくズズキに指令して注文してみる。
 『浅草橋ダイナマイト日記』は、俺の著作ではあるが、
 絶版で手元にも一冊しかない。
 700円で、送料300円。
 なんで、自分の本を買っているのか。

 福田和也著『作家の値打ちの使い方』、
 こういう本を読むと、
 圧倒的な読書不足を思い知るのだが、
 嗜好が共通項で、俺でも、なるほどと思うことも。

 
 僕は、中学・高校のときって、文学も読んでましたけど、
 サブカルチャー的というと怒られるけど、一般文化だと、
 小林信彦と立川談志の影響がすごく大きかったんですよ。
 ずっと、長いこと「小林信彦をとるか、立川談志をとるか」
 というのは自分の大きいテーマで、
 談志さんていうのは要するに業の肯定で、
 小林さんはナンセンスの肯定ですよね。
 談志さんは、もちろん文楽、志ん生に可愛がられた伝統の継承者で、
 小林さんは、日本の伝統を否定して、
 マルクスブラザースとか、キートンとか、乾いた笑いにいく。
 人付き合いでも、談志さんは国会議員になっちゃうぐらい、
 めちゃくちゃに自他の区別なく付き合うし、
 小林さんはものすごい面倒くさい個人主義。
 これは僕がなんか映画観たり演芸観たりするときのスタイルの二つで、
 僕は中学、高校、大学ぐらいまで、
 小林さんのスタイルだったんですけど、
 大学を卒業してから、ずっと談志よりに来て、
 というのが、僕の文化的なスタイルなんです。大雑把に云うと。


 フランス喜劇で、評判の良い『奇人たちの晩餐会』DVDで。
 確かにオモロ。
 2時間半の舞台を1時間20分にした作品である。
 しかも、脚本も舞台監督も映画監督も同一人物であるので、
 成り立ちとしては、何の問題もないのだが、
 やはり、どうも、何かが、欠けてる気がするのだ。

.

 
1月3日  水曜

 やかんから、招待券をもらって、ドゥ・スポーツへ、久々。
 2・8キロ走。
 96年から4年間、放送されたニッポン放送の
 高倉健スペシャル『旅の途中で…』を聞きながら。
 この年末に4年分が一挙再放送された。
 朴訥な健さんが、2時間のラジオのDJを務めるのも異例な企画だが、
 健さんが、ノリノリで、
 「ボクは鼻くそを食べる子供だった…」て話すのも笑い、
 また「あなたに褒められたくて」の朗読は、涙する。
 97年版では、おおいに照れながらも、
 自分で、丸山健二の文章を朗読。

 それが高倉健という男ではないのか  作家・丸山健二

 何もかも きちんとやってのけたいと思い
 これまで 常にそうしてきたのは
 映画を愛していたからではなく 
 あるいは 役者稼業に惚れ込んでいたせいでもなく
 ただ それが仕事であり
 それで飯を食ってきたというだけの理由に過ぎない
 だから できることなら
 ファンと称する 大勢の他人に囲まれたり
 カメラの前で 心にもない表情を作ったり
 ややこしい人間関係の真っ只中に
 身を置いたりしたくはないのだ
 それが高倉健という男ではないのか

 とはいえ 嫌々ながら仕事をしているのではない
 好きとか嫌いとかを尺度にして 仕事をするのではなく
 やるかやらないかを 問題にするのであって
 やると決め 引き受けたからには
 持てる力を 惜しげもなくつぎ込み 奮闘する
 仕事だから 仕事らしい仕事を やってのけようとする
 それは 観客のためではなく
 自分自身のためにすることなのだ
 受けるとか 受けないとかは 
 もちろん気になることだが 最終的には 
 知ったことではない の一言で蹴飛ばしてしまう 
 それが高倉健ではないのか

 必要以上のサービスはまっぴらだ
 俺を見たければ 映画館に行くがいいし
 こうした本でも買うがいい
 だが 本物の俺と 俺の私生活には決して近づくな
 誰であってもだ
 よしんば 仕事の関係者であってもだ
 ましてや 男と男の友情 などと口走って迫ってくる
 薄気味の悪い男は なおさらだ
 俺は スターの立場にたまたま居るのであって
 いわゆる スターさんに 強くこだわったわけではない
 それが高倉健ではないのか

 腰ぎんちゃくやら お供やらを引き連れて
 毎夜 銀座をうろつかなければ
 あっちからも こっちからも 声がかからなければ
 いつでも チヤホヤされていなければ 寂しくてたまらないし
 取り巻き相手に わめき散らしていなければ
 安心できないというのが スターさん
 仕事を済ませた途端に 素早く自分に戻れるのが スター
 スターは 己を見失うことなく 
 ときどき胸の奥で 冷ややかな笑みを浮かべている
 それが高倉健ではないのか

 役者は 特別な存在でなければならない
 たとえ 普通の人間を演じる場合であっても
 普通の男ではいけない
 とりあえず 外見が問題だ
 顔だけ 特別に立派でも
 首から下が 世間の連中とまったく同じではまずい
 つまり 頭のてっぺんからつま先までが
 売り物として ふさわしくなくてはならない
 大酒をのみ 大飯を喰らい 
 どこにでもいる只のデブとなって
 ほんのちょっと動いただけで 息切れをするような男が
 主役を平然とやってのけている
 しかし 彼だけは違う
 彼は いつだって特別だった
 それが高倉健ではないのか

 必要に応じて 
 必要な動きができる男が 減ってきている
 どうということもないのに 
 大袈裟に騒ぎ立てる男は うじゃうじゃいる
 そんなに動かなくてもいいのに
 派手に動き回る男が 増えている
 そんな男に限って 
 本当に動かなくてはならないときに コソコソと逃げてしまう
 格好だけで良いのだ 中身なんてどうでもいいのだ
 外側しか見えないさ と彼らは 居直る
 だが そうではない
 人間の中身は ハッキリとスクリーンに映し出されるものだ
 たとえば 分厚い皮下脂肪のようなカタチで
 彼は 必要に応じて 必要な動きができる
 スクリーンの上だけではなく 私生活でも
 それが高倉健ではないのか

 三年前にやれなかったことが
 今は簡単にやってのけられる
 そんな男は少ない
 流れに身を任せることを知っていて
 時には流されもするが
 しかしそれでも 頭は常に上流に向けられ
 両手は のべつ水を掻き 
 両足は しょっちゅう水を蹴っている
 つまり エネルギーの配分を冷静に計算しながら
 少しでも 前進しようと狙っている
 彼は決して遅れない
 それが高倉健ではないのか

 暗くて 重くて 正しくて 強い一匹狼のイメージは
 いつしか 敬遠されるようになった
 そうした主人公にあこがれ 血の騒ぎをおぼえる男は
 減るばかりだ
 時代は ますます軽くて薄い方向へと傾いていく
 その日 その日を ちまちまと ごすっからく
 目先の欲に 振り回されて 弱くて だらしない男達が 
 普通でいいんだよ 自然に行きたいのさ
 等身大の生きざまがしたいんだ 
 などという 小賢しい言葉の上で あぐらをかいている
 その中で彼は 男であり続けたいと願い
 役者をしながらも その姿勢を 崩そうとしない
 それが高倉健ではないのか

 いや、カッコイイ。


 ビートたけし主演年末放送の
 『3億円事件〜20世紀最後の謎』ビデオで。
 最後のメキシコのシーンなどいらないとは思うが、
 出色の出来であり、殿出演テレビドラマ作品のなかでベスト。
 とにかく、白髪を交えた、老け方、発声、
 全てが役柄にマッチしていて、
 まるで、マーチン・スコセッシ映画のマフィアのよう。

 桂三木助さん自殺。
 芸が重荷になってしまう人だっているのだ。

.
. 
 
1月4日  木曜

 今年は、出不精を改め、外向的に動くと決めているのだ。
 行けば分かるさ。
 さっそく、神戸から上京したマグナム北斗に誘われて、
 東京スポーツ主催『プロレス大賞』授賞式へ。
 銀座東急ホテル2Fにて。
 大男だらけの会場で、ポツンといると、
 懇意にしているアレクサンダー大塚選手が、話かけてくれる。
 俺の目の前に藤波社長、三沢社長が接近。
 そこを見逃さず、思わず撮ってしまいました。


 
 藤波社長より
 「猪木さんの番組作って下さい!」
 と直々に言われる。
 大阪ドームに流れた、俺たちのコメント、
 ちゃんと聞いてくれていたのだな。
 ファンに、いろいろ言われる藤波社長ではあるが、
 ボクは、個人的にお会いした時の応対を含めて、
 大好きである。
 森下社長とも写真。



 新年早々日本の社長シリーズ。
 銀メダリスト・永田弟とも記念写真。



 我らが、ロビンソン先生、
 梅さん、ブッチャー・ブラザーズの
 ブッチャーさんと共にいらっしゃっていた。
 梅さんもブッチャーさんも根っから社交的で、
 世話好きで、親切で、見ていて羨ましくなる。

 

 銀座松坂屋、『21世紀の北野武展』。
 浅草キッドのミニコレクションも、展示されてある。

 マグナム北斗と別れて、
 東京ドーム新日本プロレス興行へ。
 プロレスファンの初詣で。
 毎年恒例の半立ちガードマン・渡辺 準さん主催。
 山下書店で、水島勝司著『プロレスの創り方』を先行発売していたが、
 飛ぶように売れていた。
 500円で、ドーム発売って売り方はアイデアだなぁと思う。

 長州vs橋本戦まで主に読書タイム。
 永島本を読んでいたのだが…。
 仕掛け人の暗躍をここまで書いているのはオモロだが、
 その結果が、このリング上の試合かと思うと、
 なんとも、やりきれない思いがする。

 紙プロの山口さんは、
 「これでも客が入っている」と言われるなら、
 お手上げだと言っていたが…。
 そして肝心の長州vs橋本も不完全燃焼。
 さっきまで、俺と笑顔で接していた藤波社長に、
 「バカ社長」コールがコダマする。
 なんだか、がっかり脱力。そのままドームを後にする。
 永島・長州ラインは、ファンの声って届いているのだろうか。

 帰宅後、『エクスプレス』ネタ。

 朝日新聞の夕刊の談志師匠。

 『才』のカタチ
 落語家・立川談志さん「常識外への飛躍」、心こめて

 「常識外への飛躍」という意味で
 「イリュージョン」って言葉をよく使うんだ。
 今の若者には「イリュージョン」の要素が自然にしみ込んでいる。
 オレにとってはうれしいこと。
 型を破ってくる人をオレはよしとするね。
 落語家なんか、師弟関係なんぞなくたって良い落語家ができりゃあ、
 それでいいわけだから。
 貧乏も戦争もなくなって豊かになってくると、
 世の中のシステムで決められていた良しあしがめちゃくちゃになって、
 抑えていた内的自我が出てくる。「イリュージョン」のもとだよ。
 それを不特定多数に肯定させた時に芸術が生まれるんだろうね。
 ただ、それだけおもしろくなきゃだめ。
 幼稚園児を相手にしているみたいな
 「何だい、こりゃあ」ってのが多いよ。
 料理でいえば
 「『カレーライス』っていうけど、お前、カレーライスっていう
  概念をどう思っているんだい」って言いたくなるぐらいひどいね。
 ま、オレは世界一、芸にうるさいと思っているから、
 めったやたらに感動しやしませんけどね。
 プロっていうのは、その芸に全人格をかけているヤツだろうな。
 どっかで、死を含めてフィニッシュは必ず来るけど、
 全人格をかけていれば、未練が少なくて済むんじゃないか。
 美空ひばりの歌一つとってみても、
 別の人間がひばりを越えるのは難しいけど、
 心がこもっていれば凌駕し得る。
 逆に中途半端な「イリュージョン」だと、不快になるだけだね。

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1月5日  金曜

 徹夜で、TBS『エクスプレス』生出演。
 ○ 世紀末カウントダウン特集(猪木祭)、
   紅白歌合戦の裏舞台(アッコvs サッチン)
 ○ 正月からおめでたい話題(石田ひかり結婚へ、千堂あきほ入籍)
 ○ 芸能人ハワイ今昔物語   に発言。
                
 秋葉原へ。渡辺 準さんが務める警備会社、
 「カナケイ株式会社」で、渡辺さんが自作したキムチを頂きに。
 キムチの味の決め手は、ヤンニョンにありというが、
 腱鞘炎になるほど、手間暇かけて、漬け込んでいて、いやはや絶品。
 
 仮眠後、文化放送へ。
 『やる気まんまん』生出演。
 丸井、買い物。

 清水ミチコさんからTEL。
 「今、あんたたちが奨めてた
  『アントニオ猪木自伝』読んでるんだけど、
  面白いね」と。

 京都の猪木信者、
 瀬戸くんから猪木Tシャツ送られてくる。

 浅草お兄さん会の井上くんが年賀の挨拶に、
 猪木祭りのパンフレット、進呈してくれる。
 ここにある、猪木絵師・五木田くんの
 猪木イラストも最高!
 猪木教の浸透を確認。



 サブにお灸据える。小言始め。
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