4月21日 月曜

 ビバ起床。二日酔い。メルトダウンのまま。

 『縁側』という、webマガジンから送信された、
 オレのインタビュー記事、目を通し、校正。
 「webマガジン」ってのは、面白い要素あると、思う。
 ページ数の制限がないからね。
 普通の雑誌なら、ある程度のボリュームで、しゃべったことも、
 構成されるから、こんなもんだろう、てところあるけど。
 ネットなら、無限だもん。
 そのまま、載せられる。

 でも、自分で自分を見ると、
 語りすぎてんのが、逆に恥ずかしくなる。
 恥ずかしいから、やっぱり、掲載するのやめてもらおう、
 とか、いろいろ考える。
 ホームページやってる人は、どんなもんなんかね。
 いったい、見てもらいたいのか、
 それとも、見てもらいたくないのか、
 わからなくならないかな。

 散髪。
 「役があるから、ブンカジン風に」と言ったら、刈り上げられた。
 オレが苦手な場所は、この美容室ってのも、相当 上位のランクだ。
 鏡を見てるのが、恥ずかしい。
 ずっと、雑誌読んでる。
 話かけられると、なんて、返事していいか、わからない、
 生返事しかできない。
 黙っていると、無愛想だと、思われるそうなので、
 ときどき、トンチンカンなこと、言う。
 当然、注文つけるのなんか、できない。
 汗ダクになる。
 腕のいい、美容室ヘルスなんかあったら、絶対行くな。
 最初から、裸で、隠すもんないんだから。
 恥ずかしくない。
 二人きりで、個室ならいいのに。

 今日も「最近テレビに出ませんね」と言われて、
 いったい、なにから話してよいものか、迷い、
 「警察に捕まったんで」って言ったら、
 「え〜どうしたんですか」ってことになり、
 長々話すのが、面倒なのと、面白く話す自信がなかったので、
 うやむやにしてしまった。
 たぶん、クスリとか、暴力とかと、思われただろう。
 ちくしょう。
 子供の時みたいに、散髪屋行くのにつきそいがいればいいのだ。
 なこと、帰ってから言ってると、横から、ハゲの鈴木くんが、
 「ボクはまだ、床屋に行ったことないんですよ」と言った。
 今度から、犬神家の一族こと、スケキヨ鈴木くんを連れていこう。


 4月23日 火曜

 「やりにげ」初日。
 3時間睡眠の7時起床。体力持つか、と不安だったが、
 「4シーンだから、8時には終わるでしょう」
 とマネージャーに言われ、立川のラブホテルへ護送される。
 が、そのまま監禁。
 現場について、すぐに、衣装に着替え、10分後にはパンツ1丁。
 それからは、延々と。
 その半裸のままで、20時間過ごす。

 金田監督は元・にっかつ出身とかで、手慣れたたもの。
 風貌は中上健二、演出は徹底した、娯楽派。
 しかし、Vシネマの現場は、ゆるゆるだろうとみくびってたが、
 分業は徹底され、限られた予算、日数のため、
 現場のスタッフの仕事への集中度、テンションの高さ、
 プロっぽさはなかったな。いや〜みんな信じられぬ程、タフだわ。
 突貫工事のプロフェッショナル。
 この、金田組の連中が海外青年協力隊であったら、
 未開の地に、瞬く間に、路をつくり、池を掘り、橋を渡すであろう。
 さらに、カメラマン、技術さんも優秀。
 的確な指示、現場掌握力は、半端じゃない。
 シロートなのはオレのみだ。
 恥ずかしいなんて、気の弱いこと言ってられない。
 もう、やるしかないんだもん。

 40万ヒットを誇る魚電脳アイドル・香月アンナとの、
 からみも、あったが、想像以上にハードで、気後れした。
 しかし、撮影現場の女優など、もう相手は女性ではない、
 モノだ。
 2次元で楽しんでいるほうが、賢明だよ。諸君。
 終了は朝、6時半。
 帰宅は8時半であった。
 
 ペルー大使館の人質救出も全く知らず。
 ペルー軍が大使館に突入したとき、
 オレはピンクローターを挿入していた。
 まじで。
 朝の日を浴びながら、ラブホテルを出たとき、
 オレがまさに、救出された人質だった。


 4月23日 水曜

 10時に寝て、14時起床。

 15時、「マガジン woo」取材。死にいく芸能人について。
 うまく答えられず。

 18時、宝島本社に移動。
 「宝島」本誌での、連載再開についての話し合い。結論でず。
 「田舎の道路工事のお兄ちゃんでも、読んで楽しめる物」をと。
 アンケートとマーケティングの結果を突きつけられたら、
 自分がやりたいことが、わからなくなる。

 彼女と完全破局、確認。
 伊良部交渉成立だが、オレは交渉決裂。
 


 4月24日 木曜

 朝7時迎えで、府中のスタジオ入り。
 今日は「SMの女」のシーン。
 私生活は傷心そのものだが、このドラマのなかでは、モテモテだ。
 心の中で泣きながら、やる仕事もある。

 それにしても、オレがNG連発しても、、
 立場上誰も怒りはしないが、物言わぬ、エキストラは、
 じっとその姿を文句も言わず無言で見つめている。
 エキストラのなかには、役者志願の若者も多い。
 自分がやりたかろうにと思う。
 いっそ、替わってやりたくなる。

 SMのシーン、縛られ、吊られ、ぶたれる。
 役とはいえ、惨めになってくる。
 オレはあの浅草キッドなのに〜と思う。
 そりゃあ、こんな姿じゃ、女にも振られるわと、
 やりきれなく、切ない想いに、駆られてると、
 「お〜その表情いいね〜」と監督に褒められる。
 終了は午前1時半。帰宅が2時半。
 帰りの車のなかで、
 ハゲ鈴木くんに「人生はつらいな」と泣き言をこぼす。
 鈴木くん、「まだ、失うものがあるから、いいですよ。
 ボクには、なにもありませんから」と。
 毛一本すらない、悟りを開いた、僧侶のような頭で答えた。

 鈴木くん、君は今日から、お釈迦さま鈴木だ。



 4月25日 金曜

 朝6時45分岡田マネ迎え。
 結局、2時間睡眠しか、とれず。
 意識朦朧としながら、現場へ。
 スタッフはさらに、大変なのだから、泣き言、言えず。

 新聞を開けば、曙、相原勇の破局報道。
 「お互い好き」でもダメだそうだ。
 横綱、そして、ピーターパンよ。
 あんたらの気持ち、よくわかりますぞ。

 オープニングシーンを広尾のカフェテラスで。
 「テレクラの女」編。
 原宿、プレスリー像の前でバカ芝居。
 そして、ラストシーンは渋谷の「大人のおもちゃ屋」で。
 20時半終了。
 早く終わって、良かった。明日はもっと、つらい。

.
.

 4月26日 土曜

 朝6時45分、斉藤マネ迎えで、渋谷へ。
 「大人のおもちゃ」のシーン。
 山手通りの松涛のスタジオに移動。
 ここには、主人公のオレの部屋のセットが組まれてある。
 着いてビックリ、なんと、そこは「工作舎」ではないか。
 と言っても、大半の人になんの話だかわからないだろうが、
 昔、ここには、「遊」と言う、雑誌をだす、編集工房があり、
 松岡正剛という超カリスマ編集者が
 「時代を編集する」とのスローガンとともに幾多の名雑誌、
 単行本を凄い勢いで、出しまくってたところだ。
 そして、様々な才人が集結する、梁山泊として、
 上京したての、オレは、わざわざ、この建物を見にきたものだ。
 その建物が今や、貸しスタジオでオレの部屋のセットとは。
 にっかつの本社ビルが、高田延彦の新団体
  「キングダム」の道場になってしまうがごとくか。

 「バイリンガルの女」の件。撮影。
 いままで、エセ文化人の設定上、着させられていた、
 似合わないジャケットとか、ベッコウの眼鏡が億劫だったのだが、
 このシーンは私服で気が楽。
 5時間ほど、眠れたので、気分も上々。
 夜になって、また、からみ。
 ほとんど、ポルノで、またも恥ずかしい病に。

 「紙のプロレス ラディカル」
 吉田豪くん、あいかわらず、いい仕事してる。
 若くして、雑誌を私物化しておる。
 プロレスおたくも、モノや記録にこだわっててはいかん。
 彼のように、収集した膨大などうでもいい知識を、
 イズムそのものに転化し、ジャンルを挑発すべきだ。
 それを、世間に対し、格闘しながら、表現すべきだ。
 オレに言わせりゃあ、
 「プロレスについてしか、知らない人は、
  プロレスについて、なにも知らない」


 4月27日 日曜

 SRS特番「極真世界大会」のビデオ。フィリォ、強し。
 「日本が負けたら、腹を切る」の大山語録。潰える。

 清原サヨナラ打。
 ここのところ、選挙に負けた時の小野やすしみたいな顔してたもんな。
 野球はいいな〜。帳消し、挽回があるもん。

 ダンカンさんと「しらさか」へ。
 阪神、ヤクルトに連勝し、ダンカンさんご機嫌。
 松村くんも来て、朝まで。


 4月28日 月曜

 7時迎えで、松涛の貸しスタジオへ。2日酔いのまま。
 そういえば朝方、みうらじゅんの漫画の映画にでているはずななのに、
 自分が、根本敬のビデオ
 「さむくないかい」の男優・亀一郎になってる、夢を見る。
 もちろん、オレ、「さむい」に決まってる。

 今日は「忘れ物の女」のシーン。
 吉岡まりこと言う、女優さん、登場。
 全く、清純で、おしとやかな、外見。
 なのに、カラミがハードで、オレ、また落ち込む。
 監督もカメラさんも、ロマンポルノ出身だけに、ここぞと力がはいる。
 スタッフ一丸、なのに、オレだけ、別宇宙に。
 もちろん、疑似行為で、裸に前バリしているのだが、
 オレの精神に今、前バリがないから、むき出しで、つらいんだろうか。
 苦界に身を落とし、女の股間に身を埋めているようだ。
 バカは脱いでもなおらない、と思ってたが、
 まだまだ修行がたらんな。

 原作の初出誌である、ぶんか社の雑誌
 「三こすり半劇場」が取材にくる。
 今のオレは「三こすり半劇場」岩谷テンホーというよりは、
 「自虐の詩」業田良家だ。ナレーション録り。
 24時終了。

 台湾で梶原一騎の娘、殺される。
 梶原マニアのオレもこれには、びっくり。
 5・3から、3日間仕事でいくのだが、
 台湾そうとう、治安が悪いらしい、
 大丈夫かね。

.
 4月29日 火曜

 朝7時迎えで、原宿竹下通りに。
 精子の全身タイツ姿で、女の子を追い回す役。

 ウッディ・アレンの「〜SEXのすべて」の引用である
 こういう格好させられるのは、芸人冥利に尽きる。
 カメラ割りと段取りが多いので、イマイチ楽しめないので、
 ロケ移動の際に、着替えず、自主的に、この姿であちこちに出没する。

 神楽坂の居酒屋、「もちき」で、最後のロケ。
 赤江くん(玉袋)合流。
 彼は初日。
 台詞覚えてなく、NG連発で、
 オレも笑いのツボにはまり、一時は、どうなるかと思ったが、
 音楽プロデューサー役、似つかわしくないだけに、やたら面白かった。
 「博士の言うとおりだ。軽くバイトのつもりで行ったら、
  スタッフに迷惑かけるな」と本人の弁。
 やはり、くだらないシーンでも、周りの真剣な態度は、
 やっつけ仕事になれた、オレたちには、新鮮だ。
 撮影現場に魅せられる気持ち、よくわかる。
 午後10時終了。

 最後のシーン撮り終え、軽い打ち上げのあと、
 撤収するスタッフの姿を、見送るのは、やはりウルウル気分になる。
 「の・ようなもの」のラスト・シーン、思い出す。
 先発、完投の7日間、「やりにげ」ではなく、「やりとおした」。

 本当に、オレ、Vシネマの現場、なめてた。
 思春期に映画青年で「映画とりたい」なんていう奴はいくらでもいる、
 酒場で、「オレだったら…」なんて、映画論語る、青二才も多い。
 オレなんかも、そのクチだろう。
 しかし、日本映画の現状で、助監修行からはじめて、
 デビューできる人は少ないVシネマでも、次々と作品を量産するのは、
 なかなか、できるもんじゃない。
 Vシネマを見る層のニーズを考えながら、 
 限られた予算と日数で、娯楽作にするのは、大変な職人技だった。
 客を選ばない、自主映画なんかだったら、シロートだって、
 これほど、ビデオが普及してんだから、誰でもできるだろう。

 三人いた、助監さんのデビュー出来る日があると、いいな。
 その時には、ぜひ、友情出演でも出たいよ。

 オレの濡れ場童貞の筆おろしをしてくれた、女優さんたちにも、一言。
 「今度からは、前バリに、シミ(亀清水)つけないようにするよ!」
.
.

 4月30日 水曜

 10時起床。
 本、雑誌、ビデオの貯まったもの
 「サイキック青年団」のテープなど、聞く。
 いそがしかったので、確認していなかったが、
 このHP、当初の目標のヒット数、1000 を超えた。
 約、1カ月で千だ。

 部屋にいると煮詰まると思い、ハゲ鈴木くんと、下北沢に。
 大川興業「すっとこどっこい」見に行く。
 客席で、お笑いライブを見るのは、何年ぶりだろうか。
 「ゴールドラッシュ」とかは、関係者だもんな。
 「すっとこどっこい」も、もう、55回を数えるようになった。
 オレたちは、1回目から5回目くらいまで、
 毎回、友情ゲスト出演していた。
 「興業のメンバーはフリートークが弱いから、
  しばらく手伝ってほしい」
 との総裁から、要請をうけて、やってた。
 そのことを思うと、あれから、休むことなく、
 この「道場」を続けていることは、意義深い。

 東京の若手芸人で、大川総裁に義理のない芸人は、
 ほとんど、いないだろう。
 ましてや、今日など、江頭、加賀谷、人気で、
 カメラを持った、若い女の子も多く、
 客席の迎え手は、売れてる芸人の華を感じたよ。
 興業以外のメンバーは一組も知らなかった、が、
 いや、プロレスの前座ヤングライオンを見ているようで、
 面白かった。
 客席にいるのは、リラックスするね。

 しかし、数年程前はオレたちも、少しはキャーキャー言われるような、
 人気漫才師だったのにな。
 ようし、もう1回、人気とやらも、掘り起こしてやろうじゃねぇか。
 ライブが終わって、人混みのなか、ハゲ鈴木くんに、
 「おい、ちゃんと、勉強したか」
 と声をかけたら、ハゲライターの山中伊知郎だった。

 テリー伊藤さんから、TEL。
 「博士、ニューミュージックの連中は仕事選んだから、
  つぶれたんだよ。外圧で仕事するほうが、いい場合もあるよ」と。
 
 明日、キツネ眼の男、宮崎学さんと対談とのこと。
 オレと宮崎さんとの接点を話す。
 その後も延々と、珍しく話し込む。
 30代、40代の中年男が、ベースは「お笑い」なのに、
 なんでオレたち、こんな、女々しい、こと言ってんだろう。
 不思議な時間だったな。

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