7月21日  月曜

 ライブ前ってのは、学生時代の試験前を思いだす。
 やらなきゃいけないことは、わかっているのだが、
 ふっと手に取った本が、必要以上に面白かったりする。

 今日読んだのは、北郷が買ってきていた、
 「自転車不倫野宿ツアー」平野勝之・林由美香著(太田出版)。
 AV監督、平野勝之(既婚)が、
 愛するAV女優、林由美香とともに、
 自転車で、北海道最北端、礼文島まで、目指す、
 AV作品の日記版。
 映画「由美香」として、単館劇場公開もされた。
 北郷から本はイマイチと言われてたので今まで、
 手に取ることはなかった。
 が、AV女優、林由美香に特別な思い入れがある、
 オレ的には、読もう、読もうと思いながら、
 積ん読になっていたのだ。

 もう、数年前の話になるが、
 オレの本「博士の異常な愛情」で1章さいたほど、
 林由美香に、夢中で入れ込んだ頃があるので、
 オレは監督の対象に愛ある作品主義の、
 気持ちはビンビンと伝わる。
 が、同じ旅をともにしていても、
 これほど、毎日の感想が違うものか、
 男女の性差がオモロイ。

 男は、女に景色を見せてやりたい、生き方を変わらせてやりたい、
 感動を与えたい、そして、この旅の意味とは?
 この作品とは?不倫とは?と説教づくになるのだが、
 女は、土地土地の飯と酒と風呂を楽しみ、
 日焼けをいやがり〜と今の感情だけを、
 書き連ね、男の思い通りの心境へはまるでいたららない。

 これって、典型的にそうなんだよな〜と思う。
 男って、オレを含めて、啓蒙、主張、論にしたがるよな〜。
 (日記とか典型的だと思う)
 でも、文章としては、林由美香のほうが、ポップで可愛らしく、
 キャピキャピとだらしなく無反省で面白い!
 (ダイエットのつもりが、旅から、
  帰ったら太ってた、なんて〜彼女らしい)

 平野勝之って監督がやってる特殊AV作品群は、
 ある種のマニアにしか届かない表現だ。
 有名(一部で?)なのは、
 「わくわく不倫講座」ってタイトルのもので、
 親に、偽の婚約者を紹介し、その過程をビデオに収録。
 そして、親と本物の婚約者、そして、本当に愛してしまう。
 ニセモノの婚約者を巻き込んでの、
 自らのセックスを晒しながらの、ドッキリカメラは、
 どこまで、なんのための行為かわからなくなる。
 言ってみれば、
 「ゆきゆきて神軍」の、奥崎謙三と原一男監督を、
 自分の中で両立させながら、エロをやってるようなもんだ。
 いったい誰に向けてるのか?
 
 この本のなかでも、
 こんな風に書いてある。

 決して俺は、「ビデオ」とか、
 「作品」のために自分が生きている訳ではない。
 生きることを楽しむことは、大変だ。
 常にテンションを全開にしないとできない。
 よもや、ただの「不倫」とか、ただの「女遊び」
 という次元を超えた作業なのである。
 おそらく、カミさんは俺のこの「テンション」を
 一番身近に感じていて、こういった一連の行動に対し、
 俺の目的が、ハッキリと「女と遊ぶ」という事ではなく、 
 そういった表面的な事柄のはるか先にある、
 俺の「大きな仕事ー野望ー」
 (ロマンと言いかえてもいいかもしれない)に、期待してくれていて、
 そのためにカミさんは協力を惜しまないでいてくれるのである。
 だからカミさんにとって、
 俺の「愛人」とか「恋人」とかの存在は実に眼中になく、
 全く苦にならないどころか、ガマンもしていない
 (おそらく、俺をささえているという意識もないだろう)。
 つまり、俺の「テンション」に絶大な信頼を寄せてくれていて、
 その信頼が、俺の安心へとつながり、
 例えば「作品」とかのエネルギーへと作用することになる。
 だから、俺は「作品」であったりとか、
 「野望への行動」などに対し、常に手が抜けないのだ。
 それを具体的な形で提出し、それを見てカミさんは納得する〜
 でも…テンションをあげるということは、
 どんなに、素晴らしい協力者がいても、
 常に孤独とのとの戦いを味わう亊になる…エネルギーを全開にする分、
 人はとても弱くなるようだ。

 とは、監督の弁だが、なんたる身勝手な論理と思うが、
 この本のあとがきは、そのカミさんの手によるものだ。

 成田あきら夫妻とか、日本には、
 名うてのバカエロ・カップルがいるのだが、
 そんな次元ではない。
 「ゲバルト人魚」平野勝之(洋水社)を読んでもわかることだが、
 漫画家としての才能、映像作家としての資質も、並ではない、
 彼がエロをやる、動機なり、エネルギーなるものは、
 自分の内部から、止めることのできない、衝動で、
 商売や、そろばんずくなもんじゃない。

 こんな風に書くと、
 エロ猿岩石日記のような、さわやかな読後感さえ、
 想像するだろうが、旅の裏目的を告げる、
 最後のどんでん返しは、最悪で本を投げ出した。

 V&Rプランニングという、極悪なビデオ会社から、
 発売される作品だけに、ノホホンとは終わらせてくれないんだな〜。
 やはり、ただではすまなかった。
 しかし、血中鬼畜度数の低いオレには、これでもくらえ!の
 クソリアリズムはわからん。
 後味悪く(それが狙いなら、狙い通りに)
 ただ、ただ、不快感におどろいたよ。

 夜、赤江くん来宅、
 ネタ合わせ。


 7月22日  火曜

 15時40分、テレ朝六本木センター。
 「ガブリンチョ」ロケ。
 タイムボンバー夏休み親子大会の本番前に、プレゲームを出題。
 例によって、20分しか時間は貰えず。
 ダンドリ決めスムースに。田代さんがいたので、やりやすい。

 加藤茶さんに初めてお会いする。
 長生きするもんだ〜。
 さんざん、漫才でネタにはしてきたが、
 子供の頃、まさか、カトちゃんと共演するとは、
 思えないもんな〜。

 実家から、ここんとこ電話がかかってきていたので、
 こちらから、電話かけたところ、
 親爺が、また、倒れていたとのこと。
 「もう、退院しとんじゃ〜」と話をしたが、
 一昨年から、こう、ちょくちょくでは、そろそろだな〜。
 
 夜、ネタ合わせ、
 ほとんど、台詞はいっていないのが、判明し、
 赤江くん、ともども、青ざめる。


.
.
 7月23日  水曜
 
 14時、テレ朝六本木センター。
 「龍の福袋」スタジオ。
 ロケだけかと思っていたのが、スタジオも呼ばれて嬉しい限り。
 「ニセモノ商品」特集ということで、
 偽造免許証の話やら、裏ブローカーの話やら、
 三才ブックス的、アンダーグランド物について、
 喋るが、ほとんどオンエアーは残らないだろうな〜。
 上岡さんと絡むのは2回目だが、メチャ絡みやすい。
 話は聞いてくれるし、フォローもしてくれる。
 腰すえて、ガンガン飛ばしていけば良かった。

 飯島愛ちゃんと久々に共演。
 2日程前に、携帯に電話もらったのだが、
 オレは「いいじま」を「いいずか」と、聞き間違い、
 ダンカンさん(本名飯塚)の、奥さんからだと、勘違いして、
 ずーと喋っていた。
 夜、ネタ合わせ。


 7月24日  木曜

 散髪。ライブ用Tシャツ発注。
 ネタ合わせ。


 7月25日  金曜

 ネタ合わせ。
 赤江くんあまりのしんどさに悲鳴をあげ、
 「芸人として、メモリーオーバーで、フリーズしてるから、
  再起動してくれ〜」と数回爆弾マーク、
 泣きマックの表示が数回でる。
 練習してんだか、いじめてんだかわかんないような状況に。
 通し稽古に1回3時間かかる。調整間に合わず。

 台風まで、きやがった〜。


.
 
7月26日  土曜

 終わった〜。
 今、テレビでは、ダウンタウンが、27時間テレビをやっている。
 恒例のビッグ3も無くなったのだな〜
 そう言えば、松本人志でさえ、一万円ライブの直前を、
 「吐き気がした。何度味わっても、あの緊張感は慣れるもんではない」
 と、書いていたが…

 今回、「浅草キッドのオール漫才リクエストパレード」と、
 ごく、普通のタイトルにしたのは、受け狙いや、
 もう、奇を衒うのにも、飽きているのだ。
 演出的なことも一切なし。
 スライドや、ビデオも無し。
 マイク1本だけ。
 マイク一本メシの種。
 とにかく2時間喋るだけ。

 しかし、朝から力尽き、
 「しんどい、しんどい」と二人して口に出る。
 昨日から、固形物は一切食事せず。

 そんな、状態でも、舞台に立つと、
 超強気になれるから、不思議なもんだ。
 笑いがあると、生き返る、万能感に浸れる。
 力でねじ伏せ、客席を最後まで、沸かせながら、
 受けきることはできる。
 でも技術的には、自己採点は低い。

 調子が悪いこと自覚しながらも、制球に苦しみながらも、
 打たせて取るわけではなく、それでも球威を信じて、
 三振をとりにいってる近鉄時代の野茂のごとき投球。
 やってるうちに、時間調整で、用意したネタ7本のうち、
 1本(電話相談室)は、カットするはめに。
 (ちなみに、サザエさん〜卒業〜想いでラーメン〜笑点。
  中入り後、小人プロレス〜誘拐。の順)

 殿、御子息、篤くん友達と見に来てくれる。
 初めて、お笑いライブを見たとのこと〜。
 これは、感慨深い。
 
 昼の部(追加公演)終了。
 まだ夜の部がまだ、2時間あるかと思うと、
 さすがに、ばてて、フーとため息漏れる。
 別日にすれば、良かったと〜思うほど。

 夜の部、
 バンテリンを全身に塗りたくると、体調戻る。
 赤江くんの「笑点」の円楽さん、怪演。
 浅草キッドと、他の優秀な漫才師との違いは、
 コツコツと塁上にランナーをためると、
 赤江くんが、度肝を抜くような一発、
 本当に大きいのを打ってくれる瞬間がある。

 小人プロレスネタ今回は抜く。それでも、2時間超える。
 エンディングに玉袋の息子あっくん、花束持って、登場。
 チビ玉、初舞台。
 「パパおつかれさま」と。
 本当に引退するように、観客に思わせたかったのだが、
 悪趣味なんで、ネタ晴らしはしておく。

 四谷のつぼ八で、打ち上げ。
 「お笑いで、漫才で、これだけのことが、できるか!バーロー」
 と実証を他の人に問いたいとの思いと、
 「ま〜それでも、たいしたことねぇよ」と、思いが交錯する。
 これほど、しんどい思いをしても、来年もやろうと思う。
 松田さん、堀越さんらと2次会に。


 7月27日  日曜

 朝6時には、起床。空腹で目が醒める。
 10時の新幹線で、新潟県中条町産業文化会館へ。
 「IT’S笑タイム」と題した、こん平センスの題のイベント。

 MANZAI-Cと海砂利水魚と共演。
 有料イベントで、5分程の入り。
 大半が、夏休みの中高生の女の子。
 さすがに、ボキャブラ効果である。
 それぞれ、30分ずつの舞台だが、
 MANZAI-Cも海砂利も、手慣れたもんだ。
 余裕しゃくしゃくの舞台。
 MANZAI-Cの西野くんの舞台なんて、
 彼がホリプロに居るころだから、10年も前から、見てるのだが、
 昔から、今と変わらず、達者だった。
 紆余曲折の末、いまだに、この世界にいて、ようやく、売れてきた。
 芸人はやめないことだよな〜。

 一応、我々は、トリ任されているが、
 客は、彼ら目当てだと思うと、気分的には引く。
 お笑い数組で営業に行くと、常にメインイベンターで、
 「最強」だと思ってた頃が、あったのだが…
 赤江くん、咽を潰して、声がでないのだが、ごまかし、ごまかし、
 30分が、あっと言う間に終わる。
 昨日の今日では、短〜い!って感じるよ。

 7月28日  月曜

 26日のビデオを見る。
 いろんな、状況はあるが、舞台には、誰にも邪魔されることはない。
 つくづく思うのは、漫才だけで生活できればな〜と思う。
 出たがりじゃないから、テレビだって
 不本意に出るのは好きじゃあないし、身を削る、受ける、
 受けないの結果と責任を一身に引き受ける感じが、
 舞台の麻薬的なところだ。

 メールで26日の感想届く。
 流体力学の前野さん、こらくさん、西条夫人など、
 褒めて欲しいツボを上手に押してくれる人がいると報われるよ。
  
 午後、来客。
 一番褒められたい人に褒められて、
 ライブやってよかったにゃ〜。
 
 19時。六本木。
 事情説明会。


 7月29日  火曜

 「陽気にカプチーノ」ロケ。
 9時迎え、羽田、東京湾こだわり料理特集。
 巨乳グラビアクイーンの大原かおりと一緒。
 「ミニスカポリス」で完全に壊れた、バカ丸だしぶりで、
 どんなバカ女かと思い気や、実にサバサバと男らしい、
 あっけらかんとした、女兄貴ぶりながら、礼儀正しく、おちゃめで、
 こりゃあ、バラエティー登用もうなずけた。

 一日4食笑顔で「うまい」にうんざりながら、
 ディレクターも優秀で、楽しいロケだった。
 
 帰宅後、フジテレビの特番、エガちゃん出演、
 インドネシアのダニ族との交流。
 永久保存版。超おもしれ〜。
 筒井康隆の、ファーストコンタクト物の傑作、
 短編「間接話法」思いだす。


.
 
7月30日 水曜

 激しく頭痛。
 原稿書き。

 夜、殿宅。
 今月2度目の若手だけの宴会。
 途中、渡嘉敷さん参加。朝まで。

 「おまえらの漫才は次の時代に必要とされてるものなのか、
  あるいは、もう需要がないところなのかもしれない、
  それは、巡り合わせだから。
  でも、オレは漫才芸からは未完成で降りたけど、
  おまえらが、オレがやらなかったことの完成型を目指してる。
  芸人は芸をやるのが、職業なんだから、
  芸人の生理で降りられないものは降りられないんだから。
  今のテレビだけ指向していたら、
  いつかは、自分の職業がなにかわからなくなる。
  そんなのは、いっぱい見てきた」と。
 

 7月31日  木曜

 16時より「ウイスパー」
 マガジンWOOO~取材。
 「芸能人の転職」について。
 
 明日から、いろいろと仕事の環境が変わることになる。


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