10月1日 水曜

 ビバ起床。
 「たけし・さんまの有名人が集まるお店」、
 「ボキャブラ天国」VTRで。
 ボキャブラ嫌いを公言していたオレだが、
 最近はなんだか見るようになってしまった。
 それも、「ネプチューン」のネタを見たいがために。
 多くの人がそう認めるだろうが、
 ネプチューン原田のなんでもないコントの芝居って、
 癖になりそうなハマリ方を感じる。
 うまい、ヘタってところではなく、妙に見たくなるのだ。
 
 夕刻、ドゥへ。
 夜、ネタ書き。BSで「売春捜査官」放映していたけど、
 よくわからぬが、つかこうへいってテレビでやるようになったの?

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10月2日 木曜
 
 5日用のネタ打ち終える。また30分は軽く超えそうだ。
 こういう、くら〜い、忍耐強いる、つまんない、
 家内製手工業作やってるともう2度とやらないと思っていた
 ホームページの更新とかやりたくなって、結局やる。
 ネタ書きに比べれば、まだ楽しい作業だからだろう。
 宮崎学氏と対談が掲載された、「リトルモア」が送られてくる。
 一応、HPにも、アップしたので、読んでくれ。
 高田馬場へ。
 散髪。

 「月刊カドカワ」の「私の好きな本」の原稿。
 わずか760字で書けとは、いろいろ落とすのに苦労するが、
 でもネタ書きに比べれば、いい気分転換だ。

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10月3日 金曜

 下北沢、舞台衣装買いだし。
 「ドゥ」へ。明日の番組に向けて、
 親指筋肉のトレーニングやってるやつも珍しい。
 赤江くん、ネタ合わせ、またも時間オーバーしそうなので、
 台本を半分近く削除することに。調整まにあわないかも。
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10月4日 土曜

 16時半より「タモリ倶楽部」収録へ。
 なんと番組の副タイトルが
 「小野正芳、フインガー・プロレス記録への挑戦!」
 とオレの本名が使われるほどのメイン・フューチャーぶりだ。
 なんで、こんなことになってるのか説明すると、
 サイキック・ミーティングの打ち上げで遊びで指相撲25人抜きを
 果たしたのだが、それを見た北野誠さん、作家の高橋さんと伝わり、
 さらにヒクソンに指相撲で勝った話まで大げさに伝わり、
 この企画になった。
 台本を読むと、「オレがストリートで指相撲を何人勝ち抜くか」
 だけの企画なのだ。
 オレ、責任大ではないか。
 確かに、生涯無敗と自称し、ヒクソンにも勝ったのだが、
 真剣に大のおとな相手にやれば
永遠に勝ち続けられるハズはないだろう
 〜でも生放送でもないし、テレビだからやらせもOKでやるのだろう
 と思い現場に。

 スタッフに
 「もしオレが負けたらそこはカットして
  連勝記録を延ばしとことにしましょう」
 〜と言うと、それは出来ません、
 タモリさんに、マジに強いって言ってありますから
 〜バラエティーではなくドキュメンタリーで行きます、
 それにタモリさんもかなり強いんですよと。
 共演の北野誠さんも
 「博士、この企画は相当しんどいよ」と。
 そして、現場で20人抜き以上の予想表があり、
 スタッフ・出演者の外ウマの賭けの対象にもなっていた。
 とにかく状況としては、最低でも20人は勝ち続けなくてはならない、
 でなければ番組にならない様相なのだ。
 しかも相手はお約束のわからぬ、街にいきかうシロートだ。
 これってすんごいプレシャーだったな〜。
 一切のやらせなしで奇跡が何度も起こり、
 なんとか25人抜きまでたどり着き、26人目がタモリさん。
 なんと、40分もの激闘になりながら、敗れる。
 だが番組的には、ベスト・エンディングであった。
 たかが、指相撲なんだが、
 仕事を果たした、安堵感はかってないほどであった。
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10月5日 日曜

 「高田笑学校」しょの2、紀伊国屋サザンシアター。
 ビビる、松村邦弘、清水ミチコ、立川志らく、浅草キッドの出演順。
 1回目に続いて、我々がトリだ。
 日刊スポーツ後援で紹介記事の扱いは小さいが、
 当然、この高田采配には、
 4番バッターとして期待に答えるしかない。

 ビビる〜やや、ビビっていた。
 松村〜記録的立ち往生。
 清水さん。スライド芸、大受け。
 志らくさん、一人コント2本立て。見事。

 そして、我々、30分超える、新ドリアン。
 ネタ、台詞かなり抜けてるので、舞台後、
 赤江くんが「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」と謝るのだが、
 客はきずかないだろう。
 廻りは大好評、大砲の仕事と評価してくれるが、
 されど、我々はまだまだ。

 これだけの舞台やってても、事務所の人は誰もいないで、
 カメラだ、チラシだと手配に追われてるんだもんな。
 なんとかならぬか。
 打ち上げ、またも記憶をなくす。
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10月6日 月曜

 朝6時に目覚める。

 新潮社から出る殿の本の企画の一つで、
 ビートたけしのオールナイトニッポン10年間の
 ベスト1放送を決める作業のため、
 オールナイトのテープ、資料探しするが、
 わが家の状況では、どこに何があるかわからず。
 10年間、500本の放送のなかで、
 一番印象深い一本と言われても難しいに決ってるのだが、
 昨晩泊まった殿マニアの高瀬くんと話をして、
 偶然にも同じ結論にいたる。

 たぶん、殿本人も高田先生ですらも憶えていない回だと思うが、
 85年の1月18日放送分なのだ。
 この日は、殿の39回目の誕生日。
 オレのインデクッスカードには、
 「トップを退く時」と書いてある。
 ちなみに、この話題で、
 昔、殿マニアの権威の友人と話をしたときも、
 この日をあげていたので、この日の放送って
 相当当時のリスナーには衝撃的だったのだな〜。
 とにかく、前半は高倉健さんとの出会いの話で盛り上がり、
 番組の後半から、急にシリアスな、芸人論を語る殿に驚き、
 ズシリときたもんだ。
 「無頼を自覚した自前の言葉をもつ思想家」という、
 片りんがはじめて見えた瞬間だったような気がする。

 ビバリー、ゲスト藤波辰巳選手。質問FAX。
 
 夕方18時より、
 なかのZEROホールで「浅草お兄さん会」ネタ見せ。
 芸人志望が大してこなかったらどうしようかと思っていたが、
 21組もの盛況。
 なかには、仙台から来た、少年もいた。
 今まで、オフィス北野の後輩のネタ見せすら、
 オレはしたことがない。
 要望されても、
 「オレがネタ見せが嫌いだったし、他人に治されるのでは、
  なんのために、ネタを自分でやりたいと思うんだ、
  自分が面白いと思うから、ネタをやるんだろ」と断ってきた。
 今回もネタを治すとか、いじるってことは、一切しないことにする。

 でも、出場希望者が、金をとれるほどのものでなく、
 面白くなかったらどうしようかと思ったが、ほとんど面白い。
 レベル高かった。
 と言うより、今までオフィス北野ライブの芸人が
 しょぼかったのだな。
 4組合格のつもりが、なんと8組合格に。
 当然、若手育成の趣旨から言えば、技術よりも、
 フレッシュさなんだろうが、どうしても、
 実力ありながらも、無名であるような、
 なんか現状に恨み言がありそうな奴に甘くなるのは、
 もう、我々がやってることなのでしょうがないな。

 しかし、ほとんどの芸人が、
 どこそこかの事務所に預かりの状況なのだ。
 「で、その預かりって給料が発生してるの?」と問うと、
 「いいえ、でも、週1回ネタを見てもらいに行くんで、
  毎月7千円払ってます」との答え。
 「じゃあ、もしかしたら、
  やめるのにもお金払わされたりしてな」と我々。
 芸人になるって言うのも、大変だね。

 個人的に面白かったことを書く、
 まるで、GLAYのステージ衣装かと思えるような
 ジャケット姿で黒ずくめ、金ネックレッスのいでたちの
 大学生コンビがいた。
 我々なら、迷わず
 「宇都宮のディスコの黒服」と突っ込みたくなる様子なのだが、
 顏は誰が見ても十分2枚目で、長身でスマートなのだ。
 その格好が似合わないわけでもない。
 ただ、おそろしく「ネタ見せ」には場違いな感じがしていた。
 それで「それ衣装?」って聞くと、
 「普段着です」と答えた。
 コンビ名を聞くと、「ヌーベルバーグ」と答えた。
 ヌーベルバーグだ。
 彼らは結成、一カ月、はじめてのネタ見せとのこと。
 形式は漫才なのだ。

 そして、会場の中央に立ち、
 「はい、どーも〜。」
 「まあ、僕たち女の子にもてないんですけど〜」
 とネタをはじめた。
 この最初の二言がおかしくて、おかしくて。
 そして中味は実にオーソドックスなクラシックな漫才なんだもん。
 もし、これを意図的にやってるなら…
 本当にはじめての様子だったのと、大真面目な感じなので、
 彼らにそのおかしさを伝えようものなら、怒りかねないので、
 残念ながら落とした。
 いや、やっぱり、受からせといたほうが良かったか。
 やっぱり、芸としてうまい人を優先させてしまうのだ。

 帰宅後、伊従マネージャーと打ち合わせしている時に、
 スタッフ希望の有志2名が、訪ねてくる。
 部屋の中には、8人ものほとんど、互いに初対面的連中が、
 ウロウロ、ゴロゴロうごめく状況に、
 こういう哀愁の街に霧がふりそうな、
 部活的雰囲気をオレは好きそうに見えながら、
 いったい、誰と喋っていいのかわからず、苦手なのだ。
 二人の熱意は、買いますよ。

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 10月7日 火曜

 ビバリー起床。
 夕方、「ドゥ」へ。
 大川興業・第22回本公演「全身全霊」下北沢本多劇場へ。

 千秋楽、立ち見のお客で溢れかえる。
 構成員が売れて、
 合同の練習時間の確保も難しいと言われていたのに、
 すんごい、完成度。偉いな〜。
 売れてるやつらが、より激しく、
 過剰な台詞量を課されてるところが、
 大川興業らしい。
 昨日、見に来たらしい、千原兄弟はどう思っただろう。

 公演も素晴らしいが、
 団員募集のチラシのスタッフからの文章も素晴らし。
 そして、幻冬社アウトロー文庫から出た「金なら返せん」
 (に、してもこのアウトロー文庫の人選、ラインアップ素晴らし)
 文庫用の総裁のあとがきも素晴らし。
 それに呼応する中野翠の文章も素晴らし。
 とにかく大川興業にとりまくものが、
 全て「お笑い人格改造セミナー」である。

 「SPA!」のエッジな人々、爆笑問題インタビューで、
 浅草キッドについて触れてある。
 太田が「浅草キッドさん」と呼ぶようになったのは、
 お互い歳をとったもんだ。
 確かに昔はお互い牽制しあったものだし、
 今回は彼らからのエールとして読むつもりなのだが、
 脚注に書かれるように「お笑い界の前田日明」としては、
 個々には異議あり!だ。

 「浅草キッドは漫才が好き。そこが決定的に違う」に関しては、
 オレたちがたとえ、やっつけ仕事とはいえ、
 日々テレビ・ラジオで忙しくしてた時には、
 オレも漫才が好きではなかったかもしれんよ。
 よっぽど地味なライブに出まくる爆笑問題は、
 漫才が好きなんだな〜って感心してたぜ。

 「漫才」のとろが、「たけし」であったら、
 そりゃあ、おっしゃられる通りってもんだけど。
 それと自分たちは「芸人」ではなく
 「お笑いタレント」であるという自覚にしても、
 テレビに出てる時には、必ず、オレもそう思うよ。
 要請されてる部分としては。

 「芸人」って言葉で定義させてもらうと、オレなんかは、
 「人生に選ばれなかった人が唯一選んだ、たどりつく職業」だ。
 だから、普通に根っから面白い人は、単に面白いとは思うが、
 芸人としての魅力はオレには響かない。

 例えば、今回の大川興業の舞台に関しても、
 「芝居」化してることを指摘する人も多いと思うが、
 オレにとっては元々どうしようもなかった人のたどり着いた先の
 芸人の意地の仕事に見える。
 昔、大川興業について
 「訓練された役者から見ると大川興業は
  訓練されていない芝居に見え、
  芸人から見ると恐ろしく訓練された芸に見える」
 と書いたことがあったが、
 大川興業の連中が普通のダメ人間であったころ、
 自分は何も選ばれていなかった自覚を知ってるからこそ、
 こういうお笑い仕事に向かう姿勢や達成感が
 同じ芸人として響くものがあるのだ。

 構成員が自分は選ばれた人である〜と自惚れた、
 ナルシストでないところ、
 実はどうしようもない人間であるところを知り、
 どうしよもない自分でないところを見せつけるところが、
 オレの愛する芸人の匂いだろう。
 (何を書いてるのかわからなくなった)
 太田が、「カート・ヴォネガットが好きだ」
 ってところは、オレも好きだ。
 ところで、このインタビュアーは、
 我々の7月26日のライブを見て書いているのかな?

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10月8日 水曜

 赤江くんから、引き継ぎ、ネタ書き一日中。
 10月13日用。お兄さん会は、司会のみと思っていたのだが、
 興行的な意味合いからも試合しなきゃあならん。
 せめて、15分程度にと思うのに、
 書いてるうちに30分を超えるようになる。
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10月9日 木曜

 ドゥへ。久々にハードに4時間やる。
 今日もなべやかん関東ベンチプレス大会、金メダリストに会う。
 こいつの連日のウエートの練習をはた目に見ながら、
 いったい、どういう熱心さなのかと思っていたが、
 5日のウエイト・リフティングの関東大会1位で金メダルだ。
 しかも全国ランキング9位に躍り出たとスポーツ新聞で知り、
 ますますこの小さな巨人を見直す。

 ウエイトリフティングなど、
 何が面白くてやってるのかわからん競技だが、
 自己との戦いを全うする意気込みは立派なもんだ。
 アホアホ芸能人のダメ2世だらけのなかで、
 親関係なしの己を試すようなことを持続的にやり続けれる
 男の気の強さがあるな〜。
 まあ、なんで、あんな重いもの持ち上げるのが
 楽しいのかはわからんが。
 余計、背が縮みそうなもんだが、
 奴は軍団の長嶋一茂としてあなどれないな〜。
 「お兄さん会」日程がきついようなら、
 休んでもいいよ〜って言ったら、
 「出させて下さい」と言う。
 もちろん、そういうことなら出てくれ。

 夜、まだ、ネタ書き。
 仮想の受けない客を設定して呻吟してしまう。

 MacOS. 8に不備発生で、オレの廻りの人も被害甚大らしい。

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 10月10日 金曜

 朝、7時起床。ハゲ鈴木が寝坊。
 急いで、東京駅へ。

 新幹線、電車を乗り継ぎ、岐阜県、高富町ふるさと栗祭り。
 「浅草キッドの演歌つかみどり」司会。
 もうタイトルからして
 ロートル漫才師の地方仕事って感じがしていいでしょう。
 イベント兼CBCラジオの公開放送収録。
 CBCの戸井康成さんと進行。

 この方は、清水ミチコさんとこっちで、ラジオをやってる方で、
 初対面なのだが我々のキャラクターを理解してくれていて、
 ポンポンと呼吸があうのでやりやすい。
 会場は村人総出の盛況ながら、平均年齢高く、客をつかみ、
 掘り起こすのには一苦労するのだが、ゲストの演歌の大御所、
 角川ひろしさんが出た途端、雰囲気一変。
 なごませる、笑わせる、物真似る、
 聞かせる、客いじる、もう、場慣れしまくり。
 そして、我々も、けっこう、えげつないところで
 角川さんに絡んでいくのだが、懐深くオールOK。


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