10月11日  日曜  

 一年間待ち続けたPRIDE.4、ヒクソンvs高田戦。
 東京ドーム。
 しかし、ここで、この一週間に2回目の、
 またしても地球の自転が反転するような大番狂わせが起こった。
 〜西から昇ったお日さまが東へ落ちる〜
 いや、2回目だから、元にもどったのかな。
 この感動がどこまで伝わる?
 バトラーツのアレクサンダー大塚である。
 
 ドームの前で会った
 『紙プロ』山口〜西から日が昇る〜編集長は、
 「アレク、本当に今日朝5時からリング設営したよ、バカだね〜」と。
 嬉しそうに偉大なるバカぶりにあきれた口調だった。

 何の話か分からないだろう。
 このままじゃ、内輪な人しか通じないし、
 オレの日記だからオレさぇわかりゃあ、いいんだが、
 今回は興味のない人に向けて敢えて書いてやる。
 なんの得にもならないが、そういう情熱が今オレにあるんだよ!
 「数が少なきゃ少ないほど、燃えるんだよ!」(BY石川雄規)

 まず、知識の前提ね。

 
アレクサンダー大塚【あれくさんだ一・おおつか】
 71年徳島生まれ。平成7年、藤原組に入門。
 同年8月に米山サトシ戦でデビュー。
 得意技はアマレスの経験を活かした各種スープレックス、
 ジャイアント・スイング、スキン・ヘッド

 その幅広いファイト・スタイルの根っこが
 『PRIDE.4』のリングで見られるか。
 ある意味で「高田vsヒクソン戦」よりも注目だ!

 アレクサンダー大塚とは、
 プロレス団体、格闘探偵団バトラーツに所属する
 プロレスラーである。
 プロレス団体は今や30以上?あるが、
 大手は、昔、猪木がいた新日本プロレス、
 そして馬場のいる全日本の2大メジャー団体である。
 その他に、一般に少しは知られるのは前田日明率いるリングス
 (因みに浅草キッドが猛烈に応援している団体)や、
 船木誠勝率いるパンクラスや、
 団体ではないが、高田延彦の所属する高田道場などUWF系の団体、
 あと大仁田厚の設立したFMWなどであろうか。
 (いや、今更、書いていてバカバカしい説明だ)
 それ以外は、弱小、インディーズ系といわれる。

 そのなかで、バトラーツは、
 UWF系と呼ばれる、リアル・ファイトを標榜し、
 エンターテイメント性を排した団体(藤原組)に、
 その発祥はあるのだが、
 創業社長レスラーである石川雄規の思想、
 〜子供の頃に影響を受けた「猪木イズム」伝承の、
 熱き情念に率いられた、プロレスファンであることを
 個々のレスラーが自覚的な若き、熱き、貧しき新興団体である。
 彼らはプロレスのスタイルにはこだわらず、
 強さと楽しさを両立させようと考えている、
 発展途上の実験的なプロレス団体なのだ。
 自前で育てた、強さと楽しさの証明のためには、
 他団体との交流戦にも積極的である。

 しかしながら、この業界、しがらみも多い。
 個々の選手は、自分のやりたいスタイルの他団体のところに参加する。
 決して横紙破りではなく、常に自分から頭を垂れて、
 相手のリングに上がらせてもらう〜礼儀正しい若者の集団なのである。
 つまり根拠もなく、偉そうにしているわけではないのだ。
 当然、弱小団体で、金まわりがいいわけではなく、
 故に所属レスラー個々が、練習以外にも、
 団体の経営を支えるための、一般的な職務を務めている。

 紹介する、アレクサンダー大塚の
 プロレスラー外のお仕事はリング屋である。
 自分たちが、闘うリングの設営を、会場にいち早く入場して、
 自分たちで行う、土方、力仕事なのだ。
 そういうデビューして、まだ4年目の若者がアレクサンダー大塚だ。

 そのアレクサンダー大塚が、この東京ドーム、
 ヒクソンvs 高田の世紀の一戦で、
 高田延彦にヒクソン対策を教示した、
 つまり、高田の師匠筋にあたる、格闘界のビック・ネーム、
 「路上の王」マルコ・ファスとカードが組まれた。
 異例の大抜てきである。
 その試合前のインタビューが以下である。
 これ読んで、この快挙を体験すると泣ける。
 (もっと詳しく知りたければ紙プロ12を読め!)

 「紙プロ12」抜粋再録する。(注は水道橋)

 ----さ、そろそろ本題に入りますか(笑)。
 今年は3月3日のリングスでの坂田亘戦以外は
 (注・戦前の予想を覆し、アレクの判定勝利だった)
 強烈な印象として残ってる試合がない状況ではありますね。

 アレク そうなんですよね。
 それに自分がこういう状況だからこそ、
 リングスでの坂田亘戦で勝負かけたのが
 薄れちゃってる部分があるのかもしれないです。
 実はあの日は、リング屋としてリングスさんと仕事する
 初めての日だったんです。
 いま明かされるあの日あの時‥‥。

 ----どんどん明かしてください(笑)。

 アレク あの日は、後楽園ホールにリングを運んで、
 11時頃着いて、リング作りました。
 ウォーミングアップして試合しました。はい。

 ----それは、はしょり過ぎだろ。
 もっとドラマチックに話してくれないと(笑)。

 アレク ああ、そうですね。
 午前11時に会場に着きました。

 ---はい、着きました。

 アレク 汗水流しながら重い鉄柱を運び、
 板を運び、リング設営しました。
 リング主任ですから、ボク。

 ----リング屋としての仕事の主任なわけだ。
 いろんな仕事やらせますねえ、バトラーツは。
 グッズ管理もやってるわけでしよ?

 アレク グッズ管理はバトンタッチしました、愛人に。

 ----あ、モハ(メド・ヨネ)にね(笑)。
 (注、バトラーツの所属選手でタッグ・マッチの際のアレクの相方)

 アレク よくおわかりで(微笑)。
 で、リング作りをして、試合に臨んだわけです。

 ----また、その試合が30分フルタイム。

 アレク ええ。まあ、どうにか判定ですけど勝ちまして。

 ----熱闘の末にバト勢がリングス・ジャパン勢から
 初めて勝ちをもぎ取った。
 見てる方も力がかなり入りましたから、
 やる方は相当疲れる試合だったでしょう。
 でも、それからがまた大変でしたね。

 アレク ええ。で、試合終わって
 パッと着替えて売店に走りましたよ。
 休憩時間を利用して後楽園ホール大会のチケット売りですよ。
 「5・27バトラーツ後楽園のチケットありますよ〜」
 って声出しながら売ってましたね。

 ----試合で切った目尻から血を吹き出しながら(笑)。

 アレク その甲斐あって、253枚売れました。
 253枚!涙ぐましい。もう涙で前が見えない(笑)。

 ----どうですか、島田広報。
 (注・バトラーツの広報担当、つまり背広組、フロントなのだが、
  この人、有能なレフリーとして、
  今回のヒクソンvs 高田戦も裁いたのだが、
  全日、K-1、リングス、などなどにも、引っ張りだこな、
  プロレス格闘界の中で最も、団体の枠を反復横飛びする、
  キーパースン、外交の要、そして裏方の鏡)

 島田 ん〜、お疲れッシ!
 あれ今年だったっけ?でもね、あの勝ち以来、
 アレクも目標がなくなったっていうのもありますよね。は〜い。
 それも去年に比べると低迷してる原因かなと。

 ----で、坂田戦が終わった後は、
 チケット売っただけでは終わらなかった。

 アレク ええ。
 作ったリングは片付けないといけないですからね〜。

 ----なるほど(笑)。

 アレク そのままで帰れればいいんですけど、
 そういうわけにはいかないんで。
 リングをバラして「ヨッコラセ」と下まで降ろして、
 トラックにリング積んで、リングスグッズを積んで、
 リングスの事務所に届けて、やっと家に帰れました。

 ----涙ぐましいと思う反面、
 まったくなんという貧乏団体なんだとも思いましたけどね(笑)。

 アレク う〜ん、確かに。
 でも、そういう部分があるからこそボクは頑張れた。

 ----でも、そこまでしてというか、そこまでされてというか、
 なんでいまでもバトラーツにいるの?正直に言っちゃって(笑)。

 アレク ‥‥泥沼にはまっている‥‥
 抜け出したいけど抜けられない‥‥。
 でも、もがいてるのが頑張りに繋がるんですね。
 そうやって白分を頑張って光らせて。
 どこで、どういう人がボクのことを見てるかわかりませんからね。
 そういう人の目を引きつけておいて、引き抜いてもらおうと。
 んむはあ。

 ----ガハハハハハハ。「引き抜かれ宣言」!
 こんなこと言ってますよ、広報。
 
 島田 ん〜、お疲れッシ!でも、もつといい団体があれば、
 バンバン行った方がいいですよ。行け行け、GOGO、ア・レ・ク!

 アレク そうは言いながらも、
  (バトラーツは)居心地がいいですから(微笑)。

 島田 逆に練習だけに専念してたら物足りないですよ、多分。
 そういう体にも一なっちゃってますから、ハハハハハァ。

 ----試合に専念したいですからね、選手なら。
 だから、偉いというか、バカというか、
 バトラーツの選手にはホトホト感心しますよ。
 で、アレク選手といえば、バチバチのタフな試合をやったと思えば、
 みちのくプロレスではヘビー級ノータッチ・トペコン
 (注・リングから場外へダイブする派手な技)を抜露して驚かせ、
 FMWでは……。

 アレク バトルロイヤルに出ましたね。
 それからJWPさんとはミックスドマッチ
 (注・男女混合の試合)やって。 

 ---幅広いですねえ、実に。
 さあ、この振り幅がどこまで広がるか!
 と思った矢先に『PRIDE.4』電撃参戦発表。
 しかも相手はマルコ・ファス!
 多分みんな冗談だと思ったでしょうね(笑)。

 アレク でも今日(9・6 TOKYO FMホール)、
 リング上から発表したらドッときましたね。

 ----相手がマルコと聞いた時に、いかがなモンでしたか、心境は。

 アレク ラッキーだと思いましたよ。
 ネームバリューのある選手とできるっていうのは。

 ----でも、数多くの格闘家は羨望と嫉妬の眼差しで見ますよ。
 「なんでアレクが、なんでプロレスラーがマルコとできるんだ」って。

 アレク あるかもしれないですねー。

 島田 そんなこと言ってる奴らは
 所詮セミプロだから出来ないんですよ。
 プロレスラーだから出来るんですよ、は〜い。

 ----ガハハハ。そういった格闘家たちの嫉妬の眼差しに対しては?

 アレク そういう人たちとは、
 こうなるまでの手順が違ってるってことですね。
 いまは、アマチュアでやってて、誰かに目をつけてもらって、
 プロのリングに立つってパターンが多いじゃないですか。
 確かにアマチュアの時にそうやって一生懸命練習やってれば
 実力つくと思います。ボクは反対に、プロレスっていう
 昔からある世界のボクもあんまり好きじゃないんですけど
 年功序列の下積みからズッとやっていく、
 ボクや米山さん(M・ヨネ)がいまだにやってる雑用とか、
 そういう部分をこなしながら頑張ってプロになった、
 そこの違いだと思います。

 ----だてに下積みは積んでないぞ、と。

 アレク そういう部分でチャンスが訪れるかどうかっていうのは
 大きな違いになってくるんじゃないですかね。

 ----美しい話だ。

 アレク だからリング作りして試合をするんです。んむはぁ。

 ----リング作りにしても、そのハンディを受け入れたことが
 坂田戦の勝利に結びついたわけですからね、結果として。
 選手としてはハンディになる、あるいはマイナスになることでも、
 自分の中で消化してプラスに転換したということになりますからね。

 アレク そんなカッコイイもんじゃないんですけど、
 そういうことですかね。んむはぁ。
 あ!ですから、『PRIDE』のリングもボク、作りましょうか!!

 ----ガハハハハハハ。素晴らしい!
 ちなみにマルコに抱いているイメージとしては「強い選手」ですか?

 アレク それはモチロン。
 (対戦が)決まってまわりの反応を聞くと、
 「エーッ!」てみんな驚きますからね。
 特に(マルコを)知ってる人はそうですね。

 ----マルコとやるとなったら、普通、
 「玉砕するつもりで、ファンの目なんか気にせずに、
  一格闘家として完全燃焼してやる!ウォリャー」って
 なるんじゃないですか?

 島田 いや〜、そういう人が勝てないんじゃないですか。押忍押忍。

 アレク まあ、勝つに越したことはないんですけど、
 もし負けたとしてもお客さんに対して、
 白分から試合を通して見ている人に何かを投げかけられれば、
 自分にプラスになって返ってくると思います。

 ----アレクは集団行動より、個人行動が好きでしょ。
 そこでバトラーツという名前を背負ってしまうことに関しては
 遠和感はないんですか? 

 島田 ん〜、いや、だって団体の名前があって、
 そこの選手が活躍して、そこにいるから
 「試合してくれ」ってオファーが来るわけじゃないですか。
 「団体を背負わない」っていう方がおかしいですよ。
 一個人として闘うっていうのはヘンですよ。
 それなら、その時点でフリーになるべきですよ、は〜い。

 ----どうですか?いまのユージ島田の意見に対しては。

 アレク それはボクもそう思います。ボクはもう、
 やる以上は団体を背負って行かないといけないと思ってます。
 でも、ボクは個人行動が好きです。んむはぁ(微笑)。

 ----で、アレクさん!ズバリ言って、
 ”路上の王”マルコに勝算はありますかーッ!?

 アレク う〜ん、勝てる可能性もあるんじゃないですかね。
 やる以上はなくはないですよね。
 でも、『PRIDE.1』の高田さんのような試合だけはしたくないですね。

 ----気持ちの上で負けたくない?

 アレク はい。この試合で加速したいです。

 ----でも、これはプロレスファンのある種の夢ですよ。
 バトラーツみたいなふざけた団体から
 大きなフリー・ファイト系の大会に選手が出陣することは(笑)。

 島田 ふざけた団体とは失礼な。チッ!

 ----イカれた団体ですね(笑)。
 アレク選手はマルコ・ファス相手ということに関しては、
 恐怖感はないんですか?

 アレク それはお亙い同じだと思うんですよ。
 向こうもボクのことなんて全然知らないですから。

 ----でもこの間(8・28)、K-1のリングで
 安生洋二、長井満也がいかれたし、
 プロレスラーは他の土俵では弱いっていう最近のイメージを、
 「オレがひっくり返してやろう」って気持ちはあります?

 アレク それはないです。白分のためですから。
 別にプロレスのためにやってるわけじゃない。

 ----ガハハハハハハ。言い切りますね。
 それじゃ応援してくれないよ、プロレスファンは。

 アレク いや、ファンの思いには応えたいんです。
 だから白分のためにやって、結果としてプロレスのためってことが
 ついてくると思うんですよ。いつも一生懸命自分のためにやって、
 緒果としてそれがバトラーツのためになる、
 プロレスのためになるっていう気持ちでやってますから。

 ----率直に言ってプロレスラーが違う土俵で
 負け続けてることに対してどう思ってるんですか?

 アレク やっぱり‥‥下積みをもっと頑張ったほうがいいかなって。
 日々のランニングと腹筋、そしてリング設営と撤収が
 最後にモノを言いますからね。んむはあ(微笑)。

 ----プロレスラーよ、ランニングと腹筋とリング屋をやれ!
 バツグンですね(笑)。いまは昔ながらの年功序列が薄れてきて、
 下積みをやらないレスラーも増えてきた。
 でも非合理的なものを排除するのは運動選手としてはいいとしても、
 まがまがしさというか、あとには引かないという気構えというか、
 そういう部分は合理的なことばかりでは身に付かないですからね。

 アレク 底力ですね。
 人間としての底カを鍛えるには下積みがないと。

 ----いいこと言いますね!
 アレクサンダー大塚の人間としての底力を『PRIDE』のリング上から、
 ゼヒ観客に突き刺してください!

 アレク 頑張ります。
         【9月6日/東京・虎ノ門「バーミヤン」にて収録】

 って〜オモロな内容なのですが、割愛してます、
 でも、こういう選手なんですよ。
 どうですか、思い入れできませんか?
 舞台をリングと置き換えられる、
 我々、芸人には、たまらん内容ですよ。

 宮崎学さんの「土方魂」って小説と、同質の感銘っちゅうか、
 オレの琴線には触れまくりです。
 このインタビューを踏まえての、
 ドーム前での山口編集長の発言なの。
 「アレク、本当に今日朝5時から、リング設営したよ、バカだね〜」

 戻って、10・11のドーム。
 我々は、テレビ関係の仕事は全部断っての観戦
 (依頼もなかったかもしれないが)アリーナ北9席。
 花道の横、赤江くん、東京ダイナマイトの二郎と並び。
 
 6試合目が、アレクとマルコの試合。
 試合中は、「勝ったらシャレにならないな〜」なんて思いましたよ。
 結果を言えば、2ラウンド、マルコファスの戦意喪失で、
 まさかのアレクの勝利。
 
 飛び上がった!踊った!
 これでいいのだ〜これでいいのだ〜。
 天才アレク・バカボン、ボン〜ってなもんです。
 オレ日頃から、感情が表に出ないタイプの人間であるのだが、
 いや、本当、我を忘れた!!
 プロレス的な記憶で言うと、高田の北尾戦以来、
 人生的な記憶で言うと、
 浅ヤンの江頭グラン・ブルーの清水圭に勝った、
 4分14秒の潜水以来だろうか。
 
 気が触れたような歓喜だったな。
 今日を忘れず、記念して、
 わが家の無毛症、ハゲ鈴木を(今まで「無毛スズキ」って芸名、
 この芸名は藤波の無我にちなんでいるのだけど)
 アレクサンダー鈴木に改名することにする。

 第8試合、いよいよヒクソンvs 高田戦。
 これは、ズンドコ応援団の原稿、張り付けときますんで。

 やっと、PRIDE4、ヒクソンvs 高田戦が終了。
 10・11、東京ドームには3万6千人のファンがつめかけた。
 時間は9分30秒、前回の4分47秒の倍。
 結果は再びヒクソンの勝利に終わった。

 シロートの我々が技術的な話をやっても不毛に違いない。
 思えば昨年の高田は、「相手に敬意を表し好き」と自ら言うように、
 伝え聞くヒクソンの巨大な男根、
 大物の妄想、プレッシャーに押しつぶされ、
 当然、立派なハズの男のシンボルを、
 前を恥ずかしそうに隠したままで、すごすごと負けていった。
 今年の高田は、フテブテしく、ぶらりとさらし、
 裸のまま、威風堂々と入場し、リングに仁王立ちし、
 渡り合い、フルチンで完全勃起した、
 男のシンボルを我々にちゃんと見せてくれた。
 
 残念ながら、一年間も生殺しで耐えに耐えた、
 濃い精液、男の汁を、ファンとともに、
 歓喜の勝利とともに、最高の射精する!という、
 最高のエンディングは適わなかったが、その姿は敗者でありながらも、
 ご立派!だった。

 その証拠に2年続けて、同じ流れ、同じ技での敗北という、
 本来、醜態と指さされるるような結末であったにもかかわらず
 (しかも結果が全てのプロスポーツの世界なのに)
 この日のドームにいたファンの中に、
 高田を非難する人は圧倒的に少数であった。
 
 ワールドカップのサッカーや、プロ野球に比べて、
 選手が敗北の責任をとらなすぎだの、
 熱狂的でありながらファンが選手に優しすぎるだの、
 門外漢の意見も多々聞くが、
 許せ! 

 なにしろ、長年のプロレスファンにも、
 この規模での我を忘れて応援する意識、
 日常を忘れ、娑婆でないところに連れ去られるような意識、
 これほどまでの選手と観客の一体感と興奮は、久々のことであり、
 猪木や前田の引退とともに、過ぎ去ったあの頃を
 完全に取り戻せることができたことに感謝しているのだ。
 この共有感は球技にあるような情感とは、まったく別種のものだ〜
 と言わざる終えない。

 自分たちの今までのファンとしての、すれっからしぶりや、
 仮性包茎を恥じ入るような屈折感を全て捨て去り、
 再び客席で完全勃起できたことだけでも満足なのだ。
 それに1対1のリングにあがることで、高田は責任をとっている。

 我々が繰り返し唱え続けた、醒めるな!しらけるな!
 心にねじり鉢巻き!唇に軍艦マーチ!
 高田の神輿を担げ!、高田とともに踊れ!
 高田とともに祭りに参加せよ!
 ってのがこうして実現して、いやはや、
 ドーム中がズンドコ応援団になった気がして嬉しかっのだ。

 我らが日明兄貴は、戦前のコメントとして
 「もちろん高田が勝ったら称えてやるのは当然だけど、
  高田が負けてヒクソンが2連勝したのなら、
  その時はヒクソンを称えてやらないとね。
  だって今回、高田は完璧のコンディションで闘うんだから。
  でないと、この業界全体が地盤沈下しますよ」
 と言っている。
 そう、ヒクソンの強さ、奥行き、神秘、まだ謎のままなのだ。
 彼が体現しているサムライ・スピリットの本身、
 そのパンツの中は覗けていないのだ。

 〜っていつもの調子なんだが、高田!ありがとう!

 打ち上げ、新宿の『呑者家』、
 お兄さん会の、二郎、マキタ、松田さん、
 そして紙プロの鉢巻きプレゼントで当たった、
 元、我々のラジオのハガキ職人、井田健吾と。
 オレは大塚の話は、もう思い返すだけで、涙ぐむんで出来ないね。
 朝までいろんなことがあり、ヘトヘトに。
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.
.

 
10月12日  月曜  

 二日酔い。屍。
 江頭来宅、部屋探し。
 マキタ謝罪来宅など。
 夜は、ひたすら原稿書き。
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10月13日  火曜  

 13時より、ういすぱーで、
 『フロムA』のバイト時代の取材。

 14時より、『紙のプロレス』、
 チョロ君、ジャイ子によりプライド4、感想、取材。
 どこの出版社も編集者はあだ名つきにして欲しいな。
 ここでも、大塚の話になると、
 感極まり、話が出来なくなり、中座。
 どうしたもんか。

 週刊プレイボーイの前田vs カレリン戦インタビュー。オモロ。
 赤江くんとの面会。
 赤江くんとネタ会議。
 夜、殿からの電話。
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10月14日  水曜  

 そのまんま東さんの謹慎事件が大きく報道される。
 まさに、落ち武者の晒し首。
 なんだか、やりきれないね。
 事件のマヌケぶりに対して、懲罰が深刻すぎる。
 「年中夢中」で「年内謹慎」か。
 色々諸事情が有るのだろうが…
 タレントってのは、せちがらい、ミジメな仕事だな。

 もう殿が言うように
 「今は芸人らしいことは許されない」ってことか。
 謹慎の辛さを満喫? したオレは、東さんに心から同情するが、
 しかし、東さんは、性格的にも(性的にも)過剰にタフな人だ。
 マラソンを完走できる人だ。
 ま、今回はマラ損だけど。

 一日中、ネタ書き。うんむうんむふむふむと能率悪し。
 夜、赤江くん、来宅。
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10月15日  木曜  

 ビバ起床。
 昼間、ドゥへ。

 プライド増刊、各誌、プライド速報に目を通す。
 大番狂わせを演じたアレクサンダー大塚の
 試合後の記者会見第一声、「カミさんは‥(何処)」
 このスリム・ブッチャーは、まるでリアル・ロッキーである。

 アレクのカミさん、愛称・のものも は
 元『紙のプロレス』の記者である。
 オレたちとは、オーケンと共に「トンパチ」という本を一緒に作った。
 男だらけの仕事場ではたらく女性だが、険の無い、のほほんとした、
 働き者で、母性愛のある人だったな〜。
 アレクは最高のカミさんを見つけ、
 そして、リングにあがるものしか、叶えられぬ、
 素晴らしい瞬間をカミさんにプレゼントしたものだな〜。
 生活者でありながら、ドデカイ夢をかなえるプロレスラーは素敵だ。

 ドイツ語の勉強?
 神宮前で、ガス欠。
 JAFを要請。牽引される。
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10月16日  金曜  

 『未来ナース』〜続その子の花園、
 朝のワイドシーの、
 「その子先生 田園調布の旧横井英樹宅 14億で購入」の
 テレビ見ながら、浜松町のトキノ本社ビルに到着。 
 4本撮り。
 同じパターンを4回繰り返すのは、やはり難儀な作業。
 4本目に出てきた、
 リストラ親爺の南伸坊激似女子高生女装にはハマる。

 11月には、銀座にその子レストラン、
 そして巨大なその子看板が建立されるらしい。

 篤君より電話。
 赤江君とネタ合わせ。

 夜、「しらさか」、
 ダンカンさんに呼びだされ、
 二人でしみじみとイイ話をしながらの酒。
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10月17日  土曜  

 9時半、大井町日産スポーツプラザ、
 『タモリ倶楽部』収録。
 「ミクロギャル争奪!俺が一番ミクロボーイ選手権」
 の司会進行。

 ミクロボーイとは、身長160センチ以下の男性、
 オレやタモリさんは、残念ながらギリギリ入れず〜って設定。
 ミクロギャルの柴田あさみを争奪。
 結局、アリ・キリの石井くんを破り、なべやかんが優勝。

 帰途、噂の大井町「のり屋」でラーメン。
 夜、西麻生まで迎え。
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10月18日  日曜  

 昼まで爆睡。
 明日のプレッシャーと闘いながら、
 それでも、手付かずなのは、ダメ人間らしい。

 夜、赤江くん来宅、泊まり込み。
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10月19日  月曜  

 ビバ起床。渦中の野村監督ゲスト。
 高田先生、松村相手にムースよく喋るわ。

 17時入り、新宿サザンシアター『高田笑学校・しょの五』、
 日本シリーズ、第2戦の最中に、開催。
 
 トッポ・ライポ、
 松村邦洋、
 林屋たい平、
      中入
 男同志、
 浅草キッドの出番。

 江頭も松村もトッポライポも出番前の緊張症は激しいので、
 ピリピリの楽屋。
 殿は、「自分以外は、ウケるな。どっぱずししろ。」
 って念じて自分以外の他人の舞台は観る〜って言っていたが、
 オレの場合は、そこまでは思わないが、ネタのかぶりを気にして、
 注意深く、チェックしながら他人の舞台を観ていることが多い。
 が、「トッポライポ」だけは、別だ。
 なんだか自分も一緒の舞台に出ているような、
 「ウケてくれ!」と願うように、
 ボクシングのセコンドにつくような気持ちで見てしまう。
 今回もハラハラしたな〜。

 我々の前の男同志が、反則技のオン・パレードで沸かして、
 舞台おりるので、出にくかったが、
 30分、「ヨゴレ社長」ネタ。
 気持ち良く、一等賞の爆笑で、舞台おりる。

 仕事柄、各所で漫才はやるのだが、
 浅草キッドの漫才として、出来がイイのは、
 『高田笑学校』に尽きるかもしれない。
 5連続登板なのだが、
 お客さんの年齢層との相性がいいのだろうし、
 トリをとる責任感と調整をじっくりやっていることもあるだろう、
 毎回、大受けで下りてる。
 トークは、江頭ちゃんが、シュートを決めてくれるので、
 パスを廻せばよく、安心。これまた、上々。

 打ち上げ。
 コンタ・キンテ、および、立川談志師匠のご子息、
 松岡慎太郎さんが、10月10日にご結婚とのこと。
 2大スクープに。
 
 夜、何度目かの「ガープの世界」を。
.
.
..
.
 
10月20日  火曜  

 10時半に起床。
 自ら、朝食を作る〜「やる気まんまん」ですな〜。

 昼、文化放送に。
 吉田照美さんの「やる気まんまん」に生出演。
 各局、豪華ゲストで賑わう、
 スペシャル・ウイークに我々がゲストとは?
 まるで消化試合のようではないか。
 それでも、この番組、長年、高レーティングを続けるのは、
 照美さんと小俣さんの夫婦の会話のような、
 安心感に尽きるのだろう。

 昼寝後、大阪ライブ対策、
 赤江くん、来宅、朝まで、ダラダラと、
 テンションが昨日で切れていて、どうにもならない。

 東京スポーツの一面が、
 ライセンス再発行され復帰のタイソン号泣のドアップ、

 そして、UFO旗揚げの前に池上本願寺前で断髪式を行った、
 丸坊主姿の猪木の度アップが、プロレス面に。
 あまりの素晴らしい男面、写真ぶりに、Tシャツを作ることに。
 でも、オレなら東スポ一面で「バケモノアゴ男」って見出しにする。
.
.

 博士の悪童日記<98年10月下旬>へ
.

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