子供たちと、子供時代をやり直したい大人たちに、生きるための“リアルな知恵”を授けてくれる『よりみちパン!セ』シリーズ。重松清、森達也ら豪華執筆陣の中に、この度、新たにひとりの作家が加わった。お馴染みの漫才コンビ、浅草キッドの玉袋筋太郎である。
「作家がすごい人たちばっかりだから、最初にお誘いを受けたときは、えらいプレッシャーで(笑)。初めは、ギャグ本にしようかな、とも思ったの。でも考えてみたら、子供たちに何か言葉を伝える機会を与えてもらえたっていうのは、すごくありがたいことなんじゃねえかなと思って」
かくして彼が書き上げたのは、愛する14歳の息子へ、そして彼と同世代のすべての男子へ向けて、真っ当な大人になるための掟を熱く真摯に教え説く“人生のルールブック”だ。その語り口や、少年時代の描写は、読んでいるとまるで声が聞こえてきそうなほどの筆致。
「今の子供たちを見てると“もったいねえな”って思うんだよね。友達との遊び方にしても、親との付き合い方にしても、もっと面白くできるのになって。そういう、今の子たちに知っておいてほしい、伝えておきたいことをワーッと書いたんだ。芸人になって20年経つんだけどさ、その20年間に溜めてた言葉が一気に出たって感じなのよ。初めて“ウォーター!!”って言えた、みたいな(笑)。まあ、うちのせがれには“いつもパパが言ってることが書いてある”って言われちゃったけどね(笑)」
あくまでも子供たちに向けて綴られた本書だが、年輩者の間でも好評を博している。高田文夫、大沢悠里、うえやなぎまさひこ……というラジオ界の重鎮からも、「名作」のお墨付きを頂いているのだ。
「まず自分が読んで、そのあと、息子に読ませたくて目につく所にさりげなく置いとく、みたいなお父さんが多いんだって。嬉しいよね、すごく理想的な読まれ方だと思う。中には、読んでもピンと来ない子もいるかもしれないけど、その子が人の親になったときにもう一回読んで初めて理解できる、そういう本。大人になっても、ずっと家族の本棚にあるようなね。“いつか分かるよ”って、オヤジは信じてる(笑)」
『お笑い男の星座』シリーズなど、浅草キッドとしては数々の名著を発表している彼。だが意外にも個人名義ではこれが初の著書となる。
「何より嬉しいのは、初めての本が“玉袋筋太郎”の名前で出せたってこと。“玉袋筋太郎”って名刺をもって、真正面から子供たちにメッセージを伝えようっていう編集さんの心意気も嬉しい。「玉袋」ブランドが全国の中学校図書館に入ってるって思うとワクワクするよ。リベンジの部分もあるかな。
今は、みんなが勝ち組を目指して、“オレがオレが”ってガツガツしてる時代になってるけど、“相手のために、気持ちいいヤツでいよう”ってのをこの本では言いたかったんだ。ここまできたら、俺はもうこれが遺言になってもいいと思ってるよ(笑)」
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