『本業』 読書感想文コンクール 投稿作品

エントリー作品(36〜44)

No.44 ■ 「『本業』 読書感想文」  :たもと

この本で、博士はタレント本50冊を「怒涛の誉め殺し」と言うことである。
博士によると、タレント本とは、タレントが、「膨大で払いきれない有名税に対する
タレント本人による青色申告書」であるという。
つまり、タレントはいわゆる「有名税」を払うと言われており、
それはビッグになればなるほど大きくなる。
こうして一方的に搾取される有名税によって生み出された「偶像」と
本人がこう見て欲しいというギャップ、
そこにこそタレント本作成のモチベーションがあるのでは?
と、博士は分析している。

まあ、あまりふだんそういうことは考えたことがないのだが...。
どちらかと言うと、覗き見主義に対するものかなーと思っていたのだが...。

この本は、長い時間をかけて楽しみにちびちび読んでいたので
内容をどんどん忘れてしまった。
やはり印象的だったのは、長嶋一茂「三流」、山城新伍「おこりんぼさびしんぼ」、
加賀まりこ「とんがって本気」、諸星和己「くそ長〜いプロフィール」などだろうか。

意外だったのは、博士が高倉健さんの大ファンであったこと。
この点意外では、博士の冴え渡る筆は読むものの期待を裏切らない。



No.43 ■ 「東電OL殺人事件」  :珠衣

書評本なんて、よっぽど波長が合うと思う人の著作しか手に取りませんが、
博士の名前とタイトルを見ただけで立ち読みもせずに購入しました。
そのなかに「東電OL殺人事件」が含まれてるとは思いもよらなかったのですが。

大雑把な言い方ですが、男性にとっての堕落願望がホームレスだとしたら、
女性にとっては立ちんぼの娼婦なのかも知れません。
堕ちるところまで堕ちて怖いものナシになりたいって、
ふっと誰でも思うけど実行するのは怖い。
そんな怖いことをして、まるで殺してくれと言わんばかりで殺されたのが、
人も羨むエリートな立場の女性で、しかも殺したとされる相手
(実刑判決が出てるけど、佐野さんはゴビンダが犯人ではないっ書いてましたよね)が、

真面目に働いてるのにホームレス級の最下層の外国人だってとこが、
この事件のオブザーバーな人たちを「発情」させたんでしょう。
もちろん私もそのうちの1人です。

私は道産子で、父は富山系で母は熊本系なんですが、
岩井志麻子さんの「東京のオカヤマ人」で博士があとがきを書いたのを読んで
(「本業」にも収録されてますよね)「八つ墓村」を産んだ土地、
いわゆる北海道人が言う本州の人には敵わないなぁと改めて思いました。

それと、私は67年生まれで博士より5つ年下なんですが、
同年代の友達は博士の殿のたけし世代が多いのかも知れないけど、
どっちかというと私はダウンタウンの松ちゃん世代なんですよ、お笑いでは。
ドリフだったら加藤ちゃんが「ちょとだけよ」ってやってた時が、
真似したりの最盛期でその後は「ひょうきん族」見てたんで、
ビートたけし最高な世代なんですが、
お笑いに関しては松本一志一辺倒じゃないですけど、松っちゃん主義なんですねぇ。
だから博士が「シネマ坊主」を取り上げてくれたのは、おもしろかったです。


No.42 ■ 「本へのラブレター」  :ま

私がこの本を購入したきっかけは大槻ケンヂさんの
のほほん雑記帳の解説を行ったのが博士だったのがきっかけです。
本業の中でも大槻ケンヂさんが2回取り上げられていて
高い評価を受けていたのがうれしかったです。
この本の感想としては、本としてとてもおもしろく読めました。
博士の文章力がそうさせている、といわれればそうなのかもしれませんが、
私の独断ではそれ以上に博士のそれに対する愛情が
それの一番褒めてほしい、感じてほしいと思う所を感じとり、
口説きたいと思うような初期衝動と文章力で
まちがってこんなに私の心をつかんだのだと思います。
最近流行りの作家は客観視とエンターテイメントは感じても
例え汚いものでも愛情や身勝手でも
強烈な主観を感じさせられることが少なかったので
久しぶりに感動して検索してここにきてしまいました。
1つ文句をいわせて頂ければ、
エンターテイメントより愛情が濃いと感じる時の書評ほど
本の内容が漏れ出したり展開を説明してしまっていて
最高の状態で私がそれを読めない気がしました。


No.41 ■  「セザルヲエナイ」  :slider

「業」とは仏教の用語で、カルマ。
つまりその人の行いそのものをを指し、転じて為したる結果を示します。
「本」とは書物の意味もありましょうが
「物事の根本をなすところ」と捕らえるべきでしょう。
本業とは「主たる職務」を指す言葉ですが
この本の言いたい旨としては二つの文字が持っている本来の意味、
各執筆タレントが、現在の結果を導きだした
「性」を抉り取るものだったと思う。
そもそもタレントなんてのは「成りたい」から成るのではなく
「成らざるを得ない」「成ってしまった」というのが殆どであろう。
監督官庁も労働組合もない過酷な労働環境で勝ち抜いた
一握りの人間が吐きだした「唾」が「タレント本」ならば、
それを痰壷から取り出し成分分析をする水道橋博士。
性交渉時陰部から分泌する液体の研究をした
バルトリン・カウパー両氏にも匹敵するマッドサイエンティストである。
漫才の実力ではピカ一である彼らは、
お気楽タレント業に精を出せばよい。
アイドルをからかいラーメン屋を誉めそやし、
VTRを見ながらワイプで抜かれる時にニコニコと
あるいはメソメソとした表情を作れば。
あるいは大物タレントに媚を売ればそれでよいはずだ。
だがそれを善しとしない彼らも
「成らざるを得ない」「業」を背負った人なのだろう。


No.40 ■  「活字中毒バンザイ!  :石垣ともこ

すーごく面白いです。
タレント本の書評ってだけではなくて、
博士の読書傾向も見えてくるところがよかった。
つかこうへいさんの「つかへい腹黒日記」とか
松尾スズキさんの「同姓同名小説」とか、
個人的に大好きな本を博士も読んでらしたみたいで、
シンパシーを感じました。

パート2は、博士が愛読してきた「劇作家本書評集」が読みたい!


No.39 ■  「本業 読書感想文」  :ヒトミ
 
私は連載を読んでいたわけでもなくふと本屋に置いてあったのを偶然手に取った。
読んでみればとんでもない本だった。
映画のレビューやお気に入りの本のレビューをまとめた本なら星の数ほどある。
タレント本、普通の人なら「批評するに値しない」ものをメインに書いている。
これは素晴らしい発想だ。
だが同時にズルいことでもある、
まさに水道橋博士、浅草キッドの芸風そのままだ。

普通ならその本を読みたくなるのが普通だと思う。
だがこの本を読んでみると、その本より
その本を書いた人物に興味が出てしまうのだ。
それがこの本の狙いなのかとすら邪推してしまう。
これは本の感想、ではなく人間観察の塊なのだろう。
それゆえに面白いく、またも私はこの本をパラパラとめくってしまう。

一番言いたいのは後書きに出てくるたけし氏の話だ。
「たけしに息子を持っていかれて、たけしを連れて帰ってきた」
という母親の言葉、多少うろ覚えで間違えがあるかもしれないが
これには涙が出た。
これが泣かせる文だとはあまり思わないが私は泣けた。
それだけでも素晴らしい本なのではないだろうか。
と、今までの文をすべて破綻させる感想で終わる。拝啓。


No.38 ■ 「伝記作家はそれでも伝説を紡ぐ」  :2太

本文への感想は既に諸氏がなされている通りであり、
その既視感を超えられそうもないので横道から入ろうと思う。

ブレークタイム「出版界に物申す」にて、博士氏は
「お笑い男の星座2」の製作スタンスを映画『許されざるもの』の
伝記作家であると揶揄されたことに対し、
「伝記作家自身が英雄的なのではなく、伝記作家の目を通し、
 英雄的生き方を翻訳した、その文書が英雄的なのである。」
と反論している。

「本業」を読了すればこの反論は
実に控えめなものであると実感することができる。
伝記作家自身に才能がなければ
英雄の凄みを他人に伝えきることはできない。

普段なら決して手に取ることがない(つまり0円に等しい)
「タレント本」をBOOK OFFの100円でなら、から
「古書店でプレミアがついていても」までの価値にまで高めている。
このことからも博士氏の才能は証明される。

活字本に対する風は厳しい。
本は売れなくなる一方なのに何の基礎知識も必要としない
瞬発的笑いしか存在しない「若手お笑い本」が何万部も売れてしまう。
要は「出版界に物申す」で述べている通り
「下にあわせたほうが楽」なのだ。
「本業」も基礎知識がなければ笑えない要素も多々である。

「でもやるんだよ」である。
この言葉ですら、「元ネタ」がわからなければ額面どおりにしか受けられない。
が、そんなことはどうでもいい。
優れたリミキサーは聞き手が知っているかどうかなど関係なく
元からあるねたを厳選し、さまざまなネタを「サンプリング」し、
「ミックスby○○」の別の作品を作り上げる。

まさに『本業』はタレント本のノンストップミックスby水道橋博士である。
読者が元ネタを当たりたくなるのも当然の話なのである。


No.37 ■ 「本」に当たる人  :氷川清話

『お笑い男の星座2』の文庫本のお礼に、
早く『本業』の感想文を書かなきゃと思いつつもなかなかまとまらずウダウダしていたら、
すっかり、30人以上の諸氏に先を越され、
挙句の果ては週刊朝日の著者インタビューまで出てしまった。
自分が書くことなんてもう無くなってしまった...

 と、いじけつつ「後出し」「重複」と言われようとも、浅草キッドにエール
を送る数少ない機会と考え、とにかく書く。

 まとまりが無いので、先に2行で本の感想を述べる。

 愉快痛快。「人生に期待するな」「出会いに照れないで、どんどん人と会い
なさい」一見相反する2つの啓示による、初めての成果が『本業』ではないか。

 最近、テレビなどで博士が自己紹介する時に「ルポライターがたまたま芸能
界に居るようなもの」という旨の発言を聞く。『本業』を読むと、それは「ラ
イターもできますよ」などと軽いものではなく、何かの決意表明ではないかと
思えてくる。

 あとがきの「タレントがタレント本のみを書評したタレント本は初めてでは
ないか」とは一見軽いモノ言いだが、その実なかなり重い。仮にしくじったら
自らのパブリックイメージすら危ぶまれる行為で、利に敏い人間ならば先ずや
らないし、タレント自身が行う必要も無いはずだ。

 それでも博士はこの本を著した最大のモチベーションが、山城新伍の『おこ
りんぼ さびしんぼ』のサルベージにあるという。要するにこんなにも面白い
本を何故絶版に追いやっているのか、ということを強く世間に訴えている。

 なかなか物騒な『本業』ではあるが、その内容自体は他の書評では見れない
「快さ」がある。その理由は二つある。

 ひとつは今更言うまでもないことだが、石原都知事から激賞を受けるほどの
論旨に透徹さを保ちながらも、エンターテイメント性も失わない文章。前掲の
『お笑い男の星座』で一読瞭然。端的に言えば「愉快」。これがまず一点。

 そしてもうひとつは、この『本業』の特徴だが、選んだ本の数多くの著者と
実際に出会って、著作物とその人物評を絡みあわせている点。これにより書評
は文字通りブッキッシュな領域を越え、今までまともに顧みられることのなか
った彼らの「声」をすくい上げようとする。こちらはその意志、心意気の
「痛快」さである。

 そしてこの痛快さは、かつて故ナンシー関が「意識的か無意識か分からない
が、世間的に壊れた人(タレント)を救うことがある」と評したビートたけし
のそれに似ている。勿論博士のは書評に取り上げる時点で十分に意図的だが。

「本」に当たり「本人」にも当たるというのは、シンドくも益の少なそうな行
為かもしれないが、きっと独自の新境地を築き上げることになると信じて、ど
うかこのまま続けて欲しい。『本業』はその可能性を秘めているのだから。


No.36 ■ 「あなたに褒められたくて」  :OL

「本業」、浅草キッド・水道橋博士がタレント本50冊褒め殺し!
というふれこみの本。
この本の一番の魅力はと問われたら、「確認」できること、と答える。

一つ目の確認は、浅草キッドの水道橋博士という人物がどのようなことを感じ、
どのようなことを想っているか、博士独自の分析の再確認。

二つ目の確認は、ファンの知りたいところの知る確認。
この文のタイトル“あなたに褒められたくて”は
高倉健が母にささげた著書のタイトルでもあり、
博士自身が大のお気に入りで日記や文章にも引用する言葉らしい。
高倉健とのエピソードも出てくる。
ファンにとっては、そういうところが知りたいところ。

確認作業ができる。それが魅力だろう。

以前から親交や思い入れのある著者の本に対する博士の評論は、
とても濃密で、やはり得意気。
博士得意の分析方法も生かされて、文章は生き生きとしいるし、
愛液がしたたり落ちている。
自身とのエピソードなども交えて、ほんとに怒涛の褒め殺し。おもしろい。
はたまた、そんなに思い入れや接点もないが、
多少は興味がある程度の著者の本に対しても、
一般人が抱いてるイメージ・分析を踏まえ、
博士独自の分析で昇華させていてそれなりの読み応えがあるので、
この本を読んで、そのタレント自身に興味を持ったり、
本を買い求めたりする読者もいるだろう。

破天荒な人生なんて実はどこにでも転がっているものだし、
タレントのいわゆる有名税に関しても深く考えることは
一般人にとってはそれなりに無駄な作業なので、
「すごいおすすめ!!」とは言い難い本だが、
浅草キッドのファンならばファンとしての確認作業ができるし、
評論されている著者のファンならば、その人の著書の歴史、エピソード、後日談などの過程が
書かれているのでファンとして知りたいところがを知ることができる本だろう。
そういう意味ではおすすめできる。


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