『百瀬博教の柳橋キッド』第9回 2003.5.26 放送

 文化放送 毎週月曜 深夜1:30〜 


オープニング

相談のメールがきています。
子供の頃からただ町を歩いているだけで
喧嘩を売られたりかつあげされたりする。
なので、中学生の時からいつ絡まれても大丈夫なように、
普段の財布の他に、
かつあげ用の5000円の入ったお財布を携帯するようにしている。
一人の時ならまだしも、彼女といる時など
無様な姿を見られてかっこ悪いな、と不安で仕方がない。
喧嘩は、怖くて一度もしたことありません。
本来なら戦うべき?
どうしたらからまれやすい体質が直りますか?



――5000円入れてある財布というのが印象的でしたね。
僕もNYに行ったときは、胸のポケットに100ドル入れておく。
ピストルを向けられたら、胸を指差して、
そのお金を持って行かせる。
殴られるかもしれないし、撃たれるかもしれないけど、
それは成り行きでしょうがない。
でも、防御はしている。それを今思いました。

この人の話を聞くと
小さい頃から殴られやすい体質だとかいいながら、
女の前で殴られたくないなんて、
かっこつけてるところがあるじゃないですか。
そこのかっこつけてるところーがですね・・

例えば、女の人が立っているところでですね。
ただ立っている人にはナンパで声かけない。
その女の人が、もてたいとか、周波を送っているかどうか。
周波を送っている女の人と送ってない女の人を見分けて、
声かけるわけですよね。

この人も、苛めるやつを呼び込む周波を
自分の体内から出してるわけですよ。
それはなぜかっていったら、やっぱかっこつけてると思うんですよ。

だから、僕は体が大きかったから、
1回もからまれたりしないし、
こいつと喧嘩してもしょうがないやってことで
しなかったかもしれないんですけど、
いじめられた経験ていうのがないんでよくわからないんですけど。

とにかく苛められるやつっていうのは苛めるやつより、
いい洋服を着たり、いい時計を持ったり、
頭をスカラプチャーカットにしたりしてると思う。
妬まれる要素があるんですよ。

苛めてるやつなんて碌な奴じゃないと思うんですよ。ほんとに。
苛めてるやつだって、会社に入ったり、社会に出たりすれば
いかに自分が非力だってことがわかると思うんですよね。
苛められるってことは、
自分が他の人達とは違った色合いを持ってる人間なんだな
ってことをまず自覚してね。

女の人がいようが、お母さんがいようが、
お父さんと一緒にいようが、苛められるようになったら、
「助けて、助けて」とかね、そういうことを我慢しないで言ったり、
小さなカメラでバシって写してね、
頼りになんないけど、警察に行ってね、
「こういうやつにいつも苛められる、この人たちは町の嫌われ者なんです」
みたいなかんじでね、やったほうがいいと思う。

学校の先生が気が付いていようが何しようが、昔と違うんですね。
昔だったら、弱いものをいじめるってことは卑怯でね。
「卑怯」って言葉があったんですよ。
それからあと、1対1で喧嘩するってのは良かったけど、
1対2でやるだけでも卑怯。
今、3人でも4人でも苛めたりするじゃないですか。
今はすごい卑怯なんだよね。

「卑怯」って言葉を日本人が忘れちゃったから、
「卑怯」って言葉をもっともっと浸透させてね、
小さい子を苛めたり弱い子を苛めたりするのは卑怯なんだってことを。
それでもってあれですよ。
「卑怯大賞」かなんか作ってね、
こいつが日本で一番卑怯なやつなんだっていうようなことでやればね、
もっと自覚してね。
昔は大人がいっぱいいたんでね、
ものすごいいい秩序を持ってたと思うんですよね。

だから君はね、女の人がいるときに、
殴られるのがいやなんていうのは、
まだまだむっちゃくっちゃかっこつけてね、いる人なんだと思うんでね。
そのかっこつけてるっていうところが君が苛められるとこなんで、
一度かっこつけるのをやめたらどうかな、って思います。

不良手帳


「喧嘩にまつわるエトセトラ」
小学生の時お父さんのピンチに
かけつけたことがあるということなんですが。



――はい。それはあの、「僕の刀」っていうですね、
とこに詳しく書きましたんで、そのことを知りたい人は、
「不良ノート」って本の一番最初に「僕の刀」っていうのがあるんで、
それを読んでいただければわかるんですけど。

僕の父親っていうのは博打好きで、博打場に行ってて。
父が54歳で僕が生まれたんで、
僕が小学校5年生のときだったんですが。
うちに由蔵っていう父の若い衆が飛び込んできて、
「親分が大変だ」って言うんですよ。

その時、うちで喧嘩が強い若い衆がいるんですけど、
みんなその市川に住んでなくて、小岩とか新小岩とかですね、遠いんですね。
でもその日に限ってですね、
父の弟の政治っていうね、おじさんがいましてね。
その人がそれを聞いて、すぐに喧嘩支度っていうか旅嵐っていうかしてね。
それで出かけていったんですよ。

でもね、ひとりしかいなかったもんですから、
自分も弱いんだけど、うちでじっとしているような子供だったら
親父におこられるんで、その前におやじに本物の刀をもらってましたんで、
それを持ってね、おじさんの後を追っかけていったんですよ。

そしたら市川の市長の家の横のところに細い道がありましてね、
で、原病院っていうのがあって、僕の小学校の時の同級生なんだけど、
ちょうどそこの前で追いついて。
「帰れ帰れ」って言われたんだけど、
僕は帰んないでいっしょについて行ったんですよ。

そこの喧嘩場のところまで着いたら、
シズーンとしてて、何のこともないんですね。
どうしたんだろうなーって思ってたら、
おじさんがそこのうち入ってて、
そこで喧嘩になったんだけどおやじが台所に行って、
出刃包丁かなんか持って、相手は5・6人いたんですけどね、
振り回して、向こうがひるんでいる間に、奥から出て、
ま、夜だったもんですから、うまく逃がれたんでしょうね。

でも怪我してるかなーと思ってそのおじさんとふたりで、
市川の南口をね、その頃は田んぼとか、
せいたかあわだち草とかそういうのがいっぱいあって、
倒れてるのかどうかもわかんないとこだったんですよ。
30分くらい探して「お父さん、お父さん」て呼んだりしたんだけど、
結局見つからないっていうんで帰ってきたんですよ。
どうしたのかなー、って思って。

学校行って帰ってきたら、うちに物凄いいっぱい人がいるんですよ。
で刀も物凄いいっぱい置いてあるんですよ。
で僕は大人が話している間にその刀をひとつひとつ抜いてね、
してたら、「親分のおかえりですよ」っていう声がして。
で、親父が帰ってきたんですよ。

おやじの乾分の福井っていうのがですね、
赤バットをこう背中にかついでね、親父と二人で帰ってきて、
少ししたら、若い人達も帰ったんですよ。
結局、その喧嘩はこっちが勝っちゃったんですよ。
何故勝っちゃったかっていうと、
向こうの親分っていうのが、
市川署に保護を求めて牢屋に入っちゃったんですよ。
自分が危ないっていうんでね。
だったら喧嘩しなきゃいいんですけどね。
許さないっていんでね、どうしてもそこでねえ、
乾分同士が「俺が切っちゃう」「私が斬っちゃう」みたいな話でね、
やってたんでしょうね。

で、親父が政叔父さんから夕べの話をずっと聞いたらしくて、
「おい、ひろぼう来い」って俺を呼んでね。
その時は、親父が生きて帰ってきてうれしくて、
ランドセル背負ったままだったけど、抱きついね。
そういうね、経験をしたことがあるんですよ。

その時もね、流れるようだったね。
全然その、思考力っていうか、
こういうことしたらこうだってことを考えなくて、
学校で喧嘩なんか弱いほうだし、
町内でもそんな強いほうでもないしですね。
喧嘩はそんな強い方じゃなかったんですけど、
そういうものを持ってたんでしょうね。
自分の体にね。

で、結局その人は、家の親父の軍門に下ったっていうかね。
そういうような事件でしたね。そういうことがありましたね。
僕が小学校5年生の時でした。はい。


そういった喧嘩の話って言うのは・・



――そりゃあ、同級生くらいの子だったら
喧嘩しても3人くらいだったらのしちゃう、ぐらいだったけど。
でもほら、相手は中学生ですからね、俺たちがいつも喧嘩するのは。
だからいっつもやられてましたね。はーい。
縛られて松の木に吊り下げられたり。
後、首だけ出して、穴に埋められたりですね。
そういうことはされてましたね。

「うんとかすんとか言え」とか言われてですね、
「すん」とか言ったらですね(笑)、
「このやろーなめてんのか」ってことで
5・6発殴られたことはありましたね。


素手で喧嘩してたんですか?



――もちろんそうですね。
今みたいに卑怯なやつはいないしですね、
やっぱりルールっていうのがちゃんとしてたんでしょうね。
とにかくその頃子供同士で喧嘩してですね、
時々ナイフで顔切ったりする子供もいましたけど、
3年に一回か5年に一回ぐらいの事件じゃないですかね。学校でも。
ボーンナイフっていうね(笑)、
あれでスパーって切ったりしてね。
いきなり鉛筆箱からナイフ出して顔切っちゃった子供いたりしましたね。
ルールとしては必ず素手ですけどね。


タイマンで?



――タイマンっていう言葉もなかったんですけど。
でも、顔がはれるくらい喧嘩したり。
人の喧嘩を見るのが好きで、よく見てましたね。


どういうことが理由で喧嘩してたんでしょう?



――やー、やっぱりほんとささいなことですよね。
こないだ見た映画の主役は
マーガレト・オブラインだ、
いや、違う。とか。
そんなくだらないことで喧嘩になって殴りあいになったりね。
それから、給食のおつけ2杯しか飲んじゃいけないのに、
おまえ3杯飲んだじゃないか。おまえずるい、とかね。 
消しゴムの自慢して殴られたりね。


普段仲いい友達同士が・・?



――喧嘩するやつっていうのは仲良くないんですよ。
仲いい奴は何やったって仲いいですよね。
同じ電波を出してるのはいいけど、
違う電波を出してる同士が喧嘩になるんですね。
僕が小学校5年のとき喧嘩して、
洋服をビリビリに破られたのだけがずごい残念だったね。
向こうがしがみついてね、俺の買ったばっかりの
すごい気に入ってる洋服を切っちゃったんですよ。
それだけがなんかすごいくやしかったな。


相当激しいですよね?



――えー。はーい。
自分で殴ったら、やろう、気絶してねー。
勝ちましたけどね。


喧嘩は弱いほうだったって
先ほどはおっしゃってましたけど・・



――そうですね。
すごい弱かったですね。喧嘩は。


強いじゃないですかー!



――弱い子とやったから勝ったんでねえ。
強い子には勝てなかったですよ。


年上の方に?



――いや、同級生でも強いやつはいっぱいいましたね。
どんどんどんどん1年2年3年とね、やっぱり相撲と同じでね、
そこで留まってないんですよ。
強いやつも弱くなるし、弱いやつも強くなる。
そういうことってありますね。


女の子とかそういうのとはやらない?



――女の子と喧嘩なんかはしませんよー。
絶対に。はいはい。


最近増えているのがナイフとかスタンガンとか、
武器を使う喧嘩なんですが。



――だからそれは、1対1で喧嘩して
その喧嘩のルールとかっていうこともないしですね。
勝てばいい、みたいなかんじだから、そういうのもやるんでしょうね。
スタンガンなんかつけられたら大変ですよ。
牛だって熊だって静かにしちゃうものですからね。
あれはそういうことで、言うことを聞かない牛とか、
そういうものにつける道具ですからね。
それを小さくしたものでしょ、あれは。
だから、人間なんかにやられたらたまんないですよね。
体の悪い人だったらそのままショックで
死んじゃうことだってありますからね。


喧嘩をするっていう相手でも、ある程度思いやりがないと?



――思いやりっていうか、自分に対しての思いやりですよ。
そんなことでさー、せっかくこれから
どのくらい金持ちになるかわからない人がさー、
そんなことやって死んじゃったらさー、
ずーっとさーあれじゃないですか、
思い出としていい思い出が残らないじゃないですか。
殴ったとか殴られたとかだったらいいですけど。


今の若者は精神的には昔の若者とは違うんでしょうか?



――うん、もー、全然違うでしょうね。
だって、昔だったら道路んとこに座って、
うんこ座りしてる人もいないですしね。
自動車の来る道で座るってことは、
ちょっと間違えば自分も轢かれるわけですから。
5時間先、1日先が見えない少年が、
やっぱそういうことをしちゃうんでしょうね。

2ドルか3ドルで人殺したりする映画って昔あったんですけど、
今日本もそんな風になってきたんでね。
ほんと気をつけないといけないし。
あと、そういうことっていくら気をつけてもしょうがないですね。
地震みたいにいつ来るかわかんないし。

特に、おばあさんなんかからお金とったり
ひったくったりするのが流行ってるわけじゃないですか。
だから町内で自警団とか作って、そういう子達には・・
鉄砲は拳銃不法所持でだめだから、弓矢かなんかで撃つとかね。
そういう風にしないと、
そういう子達だってわかんないじゃないですか。
自分の痛さっていうの知らないしね。
だから気の毒な子なんですよね。
よくわからないでやっちゃって後で反省しちゃうとか。


なるべく世の中生きていく上では喧嘩避けたいな、っていう。



――絶対喧嘩なんか、
得なことなんかひとつもないですよ。ほんとに。
喧嘩していいことなんかひとつもないですよ。


どうしたら巻き込まれない、
あるいは避けて通ることができるんでしょうか?



――それはあれですねー、なるべく普通にしてるってことでしょうね。
ギャングとかチーマーとか暴走族とかあるらしいけど、
そういう子達が勝手にそうやって暴れたりするのを、
大人が抑えられないっていうか。

よくテレビなんかで、お祭りなんかで
何百人っていう暴走族が出てきて、
ひとつのお祭りみたいに喧嘩するやつ見たことあるけど、
ああなってくるとすごい町だな、ってかんじで。

今、兵隊とか軍人とかになるっていうこともないし、
いろんなことで鬱屈してることもあるし、
力のある子なんか自分で、どうしてこんな力があるんだろう
っていうくらいあるんで、そういうことを発散することもできないし、
といって運動選手にもなれないしってことで
そういうほうに走っていっちゃうんじゃないですかね。

だから、研修かなんかでみんなそういう子達を
政府が船で外国に連れて行ってさ、
その中で腕立て伏せ大会とかさやって、
1位になったら100万円あげるとかさ、そういうことやってさ、
卑怯なことしない人はさ、ほめられる世の中になれば
そういう人ってのはいなくなるんだよね。
だけどやっぱりほら、今、世の中だってほら、
そういう何が基準で何がいいかってこともないしさ。

だってお巡りさんが泥棒しちゃったりさ、
中学校の先生が中学校の女の子をお金出して買っちゃったりさ。
そういうこともあるしさ。
歯止めの効かない世の中だから、そういう子達だって、
大人を尊敬しないんですよ。
尊敬される大人が出ない限りはその子達は消えることはないでしょうね。


百瀬さんは喧嘩が傍目には強いんですが。



――いや、それはただ体重があって太ってるからだけど。
ほんとに喧嘩は弱いですよ。
弱いからこそ、すごく緊張して喧嘩しないようにしてる、
ってとこもありますよ。


そういう人が強い人なんでしょうね。



――それはどうかわかんないですけどね。
まだ小学校6年生くらいで強い子が、
おやじをぶっ飛ばしてやろうとか
変なこと思うといけないんですけどね。
でもほんとにそうですよ。
自分が自分のことさえちゃんと律していれば、いいんじゃないかなあ。
喧嘩なんかしないようにね。


百瀬さんはどういうところを気をつけているんですか?



――いちばん律しているのは、とにかく、
喧嘩に巻き込まれないようにする。
それには、やっぱり陰口をきいたりね。
あいつはたいしたことねーんだとか弱いだとかいうことが、
喧嘩になる理由ですからね。
だから、でもあれですよ、いきなり来て
ばかばかって殴られて逃げて行っちゃうっていうのは、
それは喧嘩じゃないですからね。
それはただの泥棒とか強盗ですからね。
それはしょうがないんだけど。
あの、なにしろ自分が、口を慎んでればだいじょうぶなんですよ。

昔から言うじゃないですか。
だから、どんなぶすの女連れてる男でも、馬鹿にして、
「あんなブスな女連れてる」って言わなければ、
そいつと喧嘩にならない。
余計なこと言う人がいるんですよ。
何の刺しにもなんない話ですけど、まあそういうことですよ。


エンディング

本当自分がちゃんと喧嘩してれば、
もっとちゃんとしたことを言えたと思うんですけど、
喧嘩は弱いし、喧嘩なるべく避けようとしてたから、
あまりいい答えがでなくてすみません。


「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
って言う言葉が頭に浮かびましたが。



――そんなことないですよ。
ほんとにね、喧嘩弱くってね、恥ずかしい人生送ってますよ。
これからもしませんね。
弱いんですからしませんね。


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