2002年に第二部が終了。だが未だに「第三部はまだか!」と多くの読者が待ち焦がれているのが、この『キッド人生劇場 お笑い男の星座』だろう。 玉袋氏曰く「博多大吉・華丸コンビもファンだといっていた」大いなる人間賛歌は、今なら誰が登場するのか。すっかり政治家やセレブとも交流が深くなった2人が、この4年間に出会った"星を継ぐ者"について語りあかした。星座を結ぶ線が運命にある草野仁 玉袋筋太郎(以下:玉袋)「この4年で出会った人と言えば、政治家が多かったな〜。その中でも印象深いのは西村眞悟先生と麻生太郎先生でしょう。麻生先生はあの年齢であれだけのポジションにいながら、毎週週刊少年ジャンプを読んでる。それって中学生とも話が通じるってことですよ。ジャンプっていう自動翻訳機を持ってるから」
水道橋博士(以下:博士)「今じゃ、知られてきたけど、麻生さんが30年間も欠かさず、少年誌、青年誌を読み続けている"漫画通"ぶりが知られたのは、俺たちのスクープだったんだよ。5年も政治家インタビュー番組をやったおかげで、政界にも、かなりの人脈が出来たから、実は第三部は「政界怒涛編」みたいにして、玉袋が国政に打って出るって考えてたんですよ。『国会に玉袋を』っていうのを。『四角いジャングル』のように、現実と妄想がシンクロしていく梶原一騎的な展開を思ってたんだけど、事務所に「もう、そういうのはいい加減やめなさい」と怒られてね(笑)」
玉袋「それと実際に政治家を見て『こんなことできねえや』って思いましたよ。番組で、近くで真面目に見ると、彼らの仕事を茶化せねえって分かった」
博士「政治家以外では、今は草野仁さんの存在はデカいですよ。テレビの伝説を掘り起こしているみたいな面白さがある、草野さんには。東大首席、NHK出身のお堅いイメージのパブリックイメージとまったく違う宝の山だった。生きるお笑い男の星座の一等星を見つけたぐらいの感覚だったなぁ」
玉袋「バスを引っぱったり、100メートルを突っ走って顔からずっこけたり、あの地位で、自分が63歳になってあんなことやるとはとても思えねえからな。」
博士「俺達はさ、アスリートとしての草野伝説を舞台裏の笑い話にとどめておかなかったじゃない? 普通は『草野さんが45年前に100メートルを11秒2で走った』「凄いですねぇ」で終わるところを、この記録が当時のインターハイの記録と同じであり、しかもコーチを受けず我流で記録した数字であることを調べて、『そのまま続けたら、モントリオールオリンピックで史上最年少でキャスターをやった時に、選手兼任で出場して、インカムを付けて、『草野が今スタートです』って実況を自分でしながら走れたかもしれない』って膨らませて、草野さんに聞くじゃない、そしたら『出来たかもしれませんね』って答えてくれるような、妄想を広げていけるわけじゃない、それが『お笑い男の星座』イズムなんだよ。」
玉袋「草野さんは、人の妄想を否定しないところがすごいんですよ」
博士「その潜在能力がどこにあったのかを聞いたら、『満州や長崎大学で数学を教えていたお父さんも、田んぼで遊びでブンドウ投げてて、もしかしたら凄いかもと思って、高校3年生の時にインターハイに砲丸投げに出てみたら優勝した』なんてエピソードも出てくる。これはもう血統。草野さんって一等星と、今まで見えなかった父親という星を結ぶ線があったんですよ。でも、それはアナウンスする人がいないと埋もれるものだから、『草野キッド』で取り上げ、我々が吹聴した。それがきっかけとなって、お父さんの星座と草野さんの星座が結ばれた。そして、将来、あのメダリストの陽子・ゼッターランドと結婚した草野ジュニアの裕さんとの間に、子供が生まれれば、さらに星座も結ばれて、もうすんごいもの夜空に浮かび上がる可能性だってあるんですよ」
玉袋「大きな二等辺三角形が、もう既に空に描けてるよな」 関口会長は全てが劇的 ――数々の社長との出会いも大きかったと思うんですけど……。
玉袋「ホリエモンは相当書くよな」
博士「ホリエモンが一番最初に出たバラエティが『ド・ナイト』で、近鉄買収騒ぎの時に『報道ステーション』で初めて取り上げられた時、映像がないからって、俺がインタビューしたのが使われてんだけど、俺が絶対映らないようにってトリミングされてたの。でもたくさん会った社長の中でも『経営者は一度経営者になったら、人を楽しませる、芸人であるべきだ』っていう考え方の関口房朗会長には惚れこんだね」
玉袋「"世間は俺をバカ社長と笑うが、バカ社長でならなければならない"笑わば笑えというスタンスがカッコイイ」
博士「実際、馬バカだし。でもあの人はちゃんと技術者としても一流で、理系のアウトソーシングの発想を日本で発明した人であり、図面が描ける人で、人生の設計図を書きながらバカ社長を演じてる。本当はすごくクレバーなんですよ」
玉袋「番組にプレゼントしてくれた"フサイチドナイト"って名前の馬が走るっていうんで、一緒に京都競馬場に行ったんですよ」
博士「オッズが2.3倍だったから10万かければ23万円になるんだけど、『小学校の運動会でカール・ルイスが走るようなものだから賭けろ』って言われたから賭けた。その後関口会長600万円賭けたから、その途端にオッズが1.7倍に下がって。でもふたを開けてみたら、16頭中12位だった(笑)」
玉袋「ヤバいファンドに乗っかったみたいになったよな」
博士「でもその日のうちに会長は、1500万の馬券を的中させちゃった(笑)。勝利の札束をカメラの前にかざした時、『この人は本当に劇的な男だ』って思いましたね。それで俺達の10万円の損失補てんをしれくれるのかと思ったら、逃げるように消えてっちゃった(笑)」
――『ド・ナイト』と言えば国際弁護士、湯浅卓さんもいますね。
博士「湯浅さんはあの番組以降、さんまさんとか紳助さんみたいな手練れの司会者が使うことでブレイクしたんだけど、業界人じゃなくて"境界人"であることを世間は知らないんだよね。『空気の読めない奇人』って部分しかテレビは映さないけど、俺は彼がどれだけ事実に基づいてキテレツなことが言えるのかを検証したい。連載が続いてたら、湯浅さんのの話は長くなったでしょうね。日経新聞の最多寄稿者というちゃんとした経済人の面もあるのに、この先どこに行きたいのかわからない部分がある。だから見てて面白いんだけど」 ジモンさんはシビれるね ――まだ書いていないけれど、「コイツは星座だ!」と思う人っていますか?
博士「上岡龍太郎さんを描きたいっていうのはあるな。上岡さんは徹底したオカルト批判の人だから、今のスピリチュアルブームの中に上岡さんがいたら、どれほどの対決があったかと思うとすごく興味がある。本番中に霊能者に向かって『なんでお前は平家の落人だけ見えるんだ。広島に行けば何万人もうめき声が聞こえるはずだから、広島に行け!』ってキレちゃう人ですよ。大晦日の夜に細木数子さんと対決するなんて番組をぜひ見てみたい」
玉袋「吉田VS小川ぐらいすごいはず」
博士「『星座2』で『自称最強!寺門ジモン』として取り上げたジモンさんも、その後をWEBダ・ヴィンチで2倍ぐらいの量を費やして書いたね、もはや、俺は、ジモンさんの評伝作家かと思うくらい」
玉袋「ジモンさんは多分、ずっとガマンしながら『ヤ〜』とか『聞いてないよ』とかやってたんですよ。でもそれが今、ようやく言いたいことが言えてる気がする。『ネイチャージモン』はきっと、すごい宗教になってくと思うよ。俺は結構シビれてるね。あの人この先、絶対"ジモン学校"や"ジモン村"を作るはず」
博士「草野さんをして『藤岡弘とジモンさんは本物だ』って言わしめたもの。本人自体がサブカルチャー化してなくて、頭で考えて動いてない。でもそこがすごく重要で、気付いて狙ったら面白くない。だから永遠に気づかない方がいい」
――今でも「続きが早く読みたい」って声が多いですけど、お2人にとってもターニングポイントとなった連載では?
博士「自分の書物を全部『お笑い男の星座外伝』ってつけたいぐらいで、ライフワーク的に書き続けたいっていうのはあるね。テレビに出ていても、テレビに映らない、活字じゃなければ語れない物語を表現してるわけだから。それと次回作として俺たちの芸人生活の原点である『お笑い男のフランス座』の準備もしてるんだけど、何時になるやら」
玉袋「とにかく、まだ読んだことがないなら、まず文庫でいいから手に取ってくれ。『東京タワー』ぐらい売れたっていいはずだって思ってるんだよね。視聴率1%(120万部)ぐらい出てもいいんじゃないか? 誰も俺達を持ち上げてくれないけど、もっと持ち上げてくれよ。もっと鐘や太鼓を鳴らしてくれよ!」
博士「『星座2』が大宅賞の候補に入ったのだって凄いことだと思うから、もっとロングテールで読み継いで欲しい。それこそ洋七師匠の『佐賀のがばいばあちゃん』ぐらい売れて欲しいよ。『がばいばあちゃん』と言えば、どこまで本当かはわからないけど、ディズニーが権利を買い取るって噂があるんだけど」
玉袋「誰ががばいばあちゃんやるんだよ! キャシー・ベイツかよ?」
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