水道橋博士のオススメ映画
映画「冷たい熱帯魚」について……

2010年1月28日 「小島慶子 キラ☆キラ」 ペラペラより

2009年、町山智浩さんが『キラ☆キラ』の放送で、
突如、年間ベスト1位に選び、
国際的にも評価された『愛のむきだし』(上映時間237分)で、
話題になった、その、園監督の最新作――。
『冷たい熱帯魚』

ベネチア、トロントと海外の映画祭で、
熱狂的な支持が伝えられ、
早くもヨーロッパをはじめ、世界10カ国で公開が決定している。

ついに1月29日(土)から、
テアトル新宿 他 全国順次ロードショー公開される。

本作は園監督の詐欺師に会った時の実体験と、
1993年の埼玉愛犬家殺人事件や
数々の猟奇殺人事件からインスパイアされた
ダーク・ファンタジー。

ストーリーは、
恐るべき裏の顔を持った男と知り合ってしまったがために、
殺人の共犯者になってしまう男の悲劇を描く。

気弱な熱帯魚店主の主人公を「吹越満」、
彼を陥れる悪意に満ちた男を「でんでん」が怪演。

前作『愛のむきだし』が園作品の"陽"とするならば、
本作はまさに"陰"。
この(猛毒エンターテイメント)の2作品を観ることで
園ワールドの完成形が堪能できる。

脚本は園監督本人。
宇多丸さんとも仲が良い、タマフルにも出る、
映画秘宝のアートディレクター高橋ヨシキ、
もちろん、町山智浩さんとも懇意。

昨年11月の『タマフル』で
『冷たい熱帯魚』について脚本・高橋ヨシキが
「でんでん、渡辺哲さん、諏訪太郎のおやじ3ショット!
これが俺にとってのホストクラブなんだよ!」

町山さん、前回、ベスト10で、
この作品を選ばなかったのは、
身内映画になるから公私混同しないように……。
ベスト10のなかに入れなかったと。

ちなみに、宇多丸さんさんの評。

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『最も救い難い現実の「悪」とは、
 深遠な思想性や超人的なカリスマとは全く無縁な、
 ミもフタもない卑近さ、浅薄さ、ゲスさにまみれている――
 この不快な事実に真正面から向き合った、
 世界的にも希有な傑作!』
                    宇多丸(Rhymester)

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2010年12月7日以来、
何度もツイートしている。

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園子温監督『冷たい熱帯魚』鑑賞。

「ヤバイ!」って言葉は滅多に使わないのだが、
でんでんヤバイ!
冷たい熱帯魚、ヤバイ!!

最後まで。妥協なし。
吐き気がするほどの衝撃。
いろんなことを考える。

『冷たい熱帯魚』のベースになっている、
愛犬家連続殺人事件のルポを読んだ時、
読んだことすら後悔するような、
あまりにも非道な悪魔の所業を見たが、
まさか映像化されるものを目にするとは思わなかった。

でんでん(さん)、もう60歳。
お笑いスタ誕で
「ようみんなぁ〜、ハッピーかい?」と現れてから幾歳月、
これだけアンハッピーな気持にさせる怪優になるとは……。

日本語で喋る分、
『ノーカントリー』のシガーより怖かった。
2時間半も緊張状態で画面に縛られ、今、胃が痛い。

仮にデートで観に行ったとしたら、
これほど気まずい思いをする映画もないだろうな。
ボクが夫婦で見に行ったとしても、
ある意味、妻が、この映画を堪能したとしたら……怖い。

しかし、あの恐怖感はでんでんさんの、
台詞回しも大いに加味しているなぁ。
しかし、『の・ようなもの』や、
でんでんの弟子は第2電電というネタ(本当なんだっけ?)を
聞いてから20年以上経っている。

ああ、主役の吹越満さんも素晴らしかった。
ボクは新人時代、よく共演していて、
芸人になって最初に心底、打ちのめされたのが、
吹越さんのソロアクトの舞台なのだ。


『やりすぎコージー』の五箇Pに
「『冷たい熱帯魚』のでんでんの殺人モンスターぶりは
『復習するは我にあり』の榎津厳(緒方拳)を超えていますよ!」
と僕が言ったら
「そこまで言いますかぁ!もう見なきゃ気が済まないですね」と。


『冷たい熱帯魚』は、僕としては必見と断言できる
大大大絶賛なのだが、
そこに通じるものは、
このところ大プッシュの樋口毅宏の小説なのだ。
両方、見て、読んでもらえればわかるのだが……。


NHK『あさイチ』終わりにイノッチから……。
「『冷たい熱帯魚』見ました?」「見た!」
「吹越さんに『絶対見て!』と言われて試写を見たんですよ。
吹越さんそういうこと言わない人なのに……」
「凄いでしょ!」……などと。
NHKらしからぬ会話。
『冷たい熱帯魚のでんでんさんがスゴイですね」
「ドクターレクター超えているでしょ。
邦画史上最悪の怪物だよ。
薗監督の前作『愛のむきだし』もね……」
「いや見ます!見ます!」
話していても楽しいのだ。


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そして、僕が最もしっくりした評。

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「Spiral Fiction Notes」  碇本学

途中で何度か目を背けたくなるようなシーンもあった。
まあR-18指定らしい。
僕はグロいのとかスプラッターみたいなのは正直苦手だ。

しかし、その血まみれなシーンや殺伐としたシーンで
多くの観客は笑っていた。僕もかなり何度も笑った。
極限状態での発言や行為は意図せずに笑いになってしまうということ。
これは自分の想像を超えて
カッコ良すぎた時に笑ってしまうような感覚に似ていた。

黒沢あすかのおっぱい出てたけど大きかったっす、
エロスと暴力と血ってのは園さんの作品ではほぼ出てくると思う、
女優さんが胸を出すというよりも
極限的な状態とかになるシーンとかで
園さんの作品に出ると一皮むけるっていうイメージ。

本当に凄い表現とか作家性とか作品って麻薬なんだよ、
生温くないし優しくもない。
だけどそれを知ってしまうと後には戻れない。

体が痺れてしまうし惹かれてしまうし嫌悪してしまう。
一度味わって逃げ出せばもう味わいたいとは思えないし、
それを乗り越えたらその刺激がまた欲しくなる」


園子温監督は観る人の中にある
価値観や基準をぶっ壊してしまうような
驚喜=狂気=凶器な映画を作りだせる人だ。

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そして、最後に僕が書いた映画評を―-。

「ヤバイ!」
って言葉は、
僕は普段、絶対使わない禁句だ。

しかし、
『冷たい熱帯魚』はホントにヤバイ!
そして、主演の「でんでん」がヤバイ!!
邦画史上に残る怪物ぶり!

ここまで役者の演技に恐怖で震えたのは、
『復讐するは我にあり』の緒形拳以来。

今、件の都条例が実写に適用されれば、
即刻、都内から消え去るべき映画。

だからこそ、
将来に渡って「この映画を初めて見た日」
は語り草になるはず。

それほど振り切れていて、
後戻り出来ない映画体験。

園子温監督『冷たい熱帯魚』
は、ホントにマジに「ヤバイ!」から
「テレビの延長にある映画」がお好きな貴方たちには、
お薦めできない!



「冷たい熱帯魚」オフィシャルサイト
1月29日(土)から、テアトル新宿 他 全国順次ロードショー公開
製作国:2010年 日本映画 配給:日活
キャスト:吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり
監督・脚本:園子温
 


 

 

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