蛭子能収の呪いとは何か? 対談:浅草キッド×根本敬
浅草キッド著『みんな悩んで大きくなった』より 

 博士 根本さんは、女とかに限らず、町のイイ味オヤジとか、
     電波系って呼ばれる困った人たち、
     そういう人と付き合えるところが凄いですよね。

 根本 でも、それって、普通の会社に勤めていて、
     上司とかと付き合うよりは、俺にとって楽なんですけどね、
     多分(笑)。

 博士 でも、自分から連絡取ったりもするんですか。

 根本 そういうのって、たいてい向こうから来ますよ。

 玉袋 根本さんの因果鉄道に飛び込んで来てくれるんだな。

 博士 根本さんは、長年、定点観測しながら蛭子(能収)さんの
     タレントでも漫画家でもない、むしろ人間でもない(笑)、
     世間にしられる蛭子さんの別の顔、
     種としての研究をされてるんですが、
     初めて会うのはいつなんですか?

 根本 6、7年前ですかね。パーティーで。
     もう、本当に中国の山奥から出てきたみたいな。
     荒削りな風貌で、凄くインパクトがありましたね。

 博士 第一印象は見た目がフリークスなんでしょう。

 根本 フリークスですね。ピンヘッドで。

 玉袋 あの中国の野人も同じ顔してましたもんね、 蛭子さんとね。
     テレビでヌーッと出て来た2mぐらいの奴。

 根本 あいつもいいね。

 玉袋 奴こそスポット当てるべきだよね。

 博士 あの「ラットマン」という映画の主役で
     「手乗りネルソン」ってテレビに出てる世界最小の男も
     蛭子さんと同系の顔してますよ。

 根本 そうですね。あれも蛭子族ですよね。

 博士 我々「ドミニカの蛭子さん」と呼んでるんだけど。

 玉袋 一族だからね、遺伝子世界中に散らばってるんだよ。

 博士 出会いはやっぱりマンガ家としてお互いデビューが同じ
     ってことで「ガロ」のパーティーとか、そういう所ですか。

 根本 そうですね。当時の永井社長の「ガロ編集長」という本を
     筑摩書房から出していて、その出版記念パーティーですね。
     それでひさうち(みちお)さんとか平口(広美)さんとか
     蛭子さんとか、一遍に見たから。
     それ以来、何か人の顔が覚えられなくなっちゃって(笑)。
     皆同じ顔に見えちゃって。

 玉袋 衝撃的な夜ですね、それは。

 博士 蛭子さん、おかしいなと思ったのは、いつからなんですか。

 根本 いや、会って最初からおかしいですよ。
     だって、描いてるマンガと実際のギャップが凄いじゃないですか。
     本人が現われる以前にマンガ的に見て、
     どういう人だろうって想像する時の蛭子さんと、
     実際に会った時の生身の蛭子さんのあの落差ね。

 博士 ストーリーを描けないのが、勝手にあの下手ウマの画風と
     相まってシュールって勘違いされたんでしょうね(笑)。
     ちょっとインテリの美大生くずれみたいな人かと僕も最初思ってた。 

 玉袋 蛭子さん、付き合いとか、
     連絡って向こうから掛かってくるんですか?

 根本 いやもう、ここ数年は無いですね。向こうからは一切。
     こっちが何か利用する時ぐらいしか連絡取れないですよ。もう。

 玉袋 あの人自身から連絡してなんとかっていう人じゃないですよね。

 根本 そう。そういうの全然無いです。
     だって、実の兄貴とも20何年間ぐらい一切連絡もとらず、
     会わなかったんだから。
     別に仲が悪いってことでもないのに(笑)。

 博士 それは人間ではなくて動物だからってことですよね(笑)。

 根本 母親の葬式で会っても、また坊さんの読経の間、
     いつものようにプププって笑いそうになったんだけど、
     その27年ぶりに会う兄貴がプププって笑ってたので
     「オイ笑わなくてすんだ」って。
     その後、二人で暇だからパチンコに出かけようとしたら。
     でもさすがに周りに「こんな時になんだ」って止められたって。
     母親のお葬式の感想が「パチンコばできなかった」だから。
 
 玉袋 あれは凄いですね。そういう習性が本当、動物なんですね。

 博士 動物。産みっぱなし。
     気持良いくらいのエピソードだね、動物奇想天外(笑)。

 根本 でも、蛭子さん、奥さんと結婚してからは、
     もう殆どセンズリもかかず、セックスだけですけど、
     それも、自宅の玄関から便所から子供部屋まで
     家中の部屋という部屋でやってるのが自慢なの(笑)。
     ま、それは五月みどりと同じだけど。

 博士 女の人は奥さんしか知らない〜って言いますよね。
     でも、世の中に人は蛭子さんは気の弱い、
     一穴主義の愛妻家だって思ってますよ。

 根本 違うんだよ
     「なんで皆、風俗いくんですか?女房とだったらタダなのに」
     ってのが、蛭子さんの思考なんだよ(笑)。
     「安いけん」ってのが蛭子さんの原理なの。それはいいとして、
     知ってます?蛭子さんの独身時代のセンズリというのは、
     何にも考えないで(笑)。ズリネタも妄想も一切無しで、
     ただ、もうひたすら擦る(笑)。
 
 玉袋 それは凄いわ。

 根本 チンポに伝わってくる快感だけに身をまかせてかいていたって。

 玉袋 ネタ・オカズなし?

 根本 なし。

 玉袋 凄い。ご飯だけ!ここにある白米だけで食べちゃう。

 根本 しかも2杯食べる(笑)。おかわりするんだよ(笑)。

 博士 餌だね(笑)。
     でも、確かに動物はグラビアを片手にとか、ないよね。
     もう知り合った時は結婚してたんですか、蛭子さん。
 
  根本 してましたよ。もう、子供もいて。
     まだ貧乏暮らしですよ。それが今やね〜。
 
 玉袋 年収2億!って噂。

 博士 そのうちマンガの収入が72万とか(笑)

 根本 タレントランクが高すぎてなかなかイベントにも呼べない!

 博士 僕の地元の商工会議所で、蛭子さんを講演会に呼んだんだって。
     で、ギャラが100万とかそんな金で、皆一応期待してるじゃない。
     だけど出て来て、ヘラヘラしながら、
     ただ競艇の話して帰っただけなんだって。
     それで田舎の真面目な親父たちが怒り出して
     「あいつ、競艇の話してるだけやん」
     「ふざけんな!ただの博打打ちじゃないか」
     「本物のろくでなしじゃないか」って(爆笑)。
     最初からわかりそうなもんだろうって思うんだけど。
 
 根本 でもほら、博士にも協力してもらった蛭子さんの単行本のさ、
     あれのギャラって、俺とかも、装丁とか全部やって
     手取り4万5千円なんですもんね。
     ところが蛭子さん、それでも印税が30万ぐらいあるんですけどね、
     蛭子さん有限会社にしてるから、
     会社に請求書出さないと印税振り込めないんですよ。
     で、面倒くさいっからって、結局もう、放っぽっちやってるの。
 
 博士 蛭子さん、その話もこの間会ったときにちょっとしたな。
     「請求書30万ぐらい書くの面倒くさいから」って言ってた。

 根本 だったら俺にくれよって言いたい(笑)。

 博士 僕、あれの帯書いたんですよ。あれ売れなかったらしいね(笑)。
     何も貰ってないけど(笑)。
     「エビスは裸のコ●●だ!」ってコピー。
     普通、こんなコピーだったら、怒りそうなもんだけど。
     たぶん、本人は読んでも見てもないんだろうな(笑)。
 
 玉袋 だって前、博士が謹慎になって、
     俺一人日テレで仕事してた時に、ちょっとからかってさ
     「あれ?一人なの?」
     「相方辞めたんですよ」って言ったら
     「あっ、そう」。それだけなの(笑)。

 博士 で、復帰して会ったら
     「あれ辞めたんじゃなかったの?」
     「冗談ですよ」
     「辞めればよかったのに」って(笑)。

 根本 この前日テレの会議で、個人別視聴率で、
     誰が視聴率取れるかっていうので蛭子さん5位でしたよ。

 玉袋 エーッ!!!

 根本 「蛭子さんタイプの人間を混ぜると、視聴率が上がる」
     っていうのね。
     これは「奇形児乗っけてると船が絶対難破しない」っていう
     昔の船乗りの信仰と一緒で(笑)、迷信に決まってますよ。

 博士 前に小学校六年生のアンケートで蛭子さんが
     「お父さんにしたい人のベスト3」に入っただとかね。
     これはもう、世間に対して警鐘を鳴らさないと駄目だよ。
 
 玉袋 それがメインテーマかも知れないしな、今回の。
     オーメンのダミアンが大統領になるようなもんだよ(笑)。

 博士 全然いいお父さんでもないし、
     家族旅行した時のホテルの部屋割りの話なんか聞くと…。

 根本 自分の娘と息子の兄弟にさ、同じ部屋にしたら
     「間違いが起こるからどうしよう」って悩んでるの
     「じゃあ、蛭子さんと息子さんが一緒に寝ればいい」
     って言ったら
     「そうすると嫁とアレができなくなるとですよ」って(笑)。

 玉袋 言えないや、普通は。出てこない(笑)。
     俺の頭ん中のワープロではそれは変換出来ないや。

 根本 「万物は、人間でも動物でも、全て動物」と、
     そういうレベルに置き換えて見てるよね。

 玉袋 それが今や、世間とのギャップで「王様のブランチ」も
     レギュラーですからね。ただ座って餌食ってるだけですからね。

 博士 あれだって蛭子さん「ダ・カーポ」に書いてたよ、
     「あれは生放送だから、直ぐ終わるのがいい」とか。
     「あそこでタダ飯を食べるのが楽しみだ。自分じゃあ絶対、
     あんな高い金は払わない」とか、さんざんなこと言ってる。

 玉袋 全然、いい人じゃない。
     世の中の蛭子さんに対する人畜無害な善人イメージが
     どこにあるんだろう?

 博士 お涙頂戴の番組で、非運のサラブレッドが
     薬殺されるエピソードで出演者がみんな涙を浮かべてるのに、
     蛭子さんだけヘラヘラ笑ってる。で、振られたら
     「だって馬が死ぬのって面白いじゃないですか?」って(笑)。
     ダークな蛭子さんが漏れてんだけどな〜。

 根本 典型的な蛭子さんの習性だよ。

 博士 みうら(じゅん)さんが言ってるけど、
     蛭子さんのマンガに蛭子さんの正体や深層心理の禍々しさが
     全てが表われるって。学歴の話が蛭子さん凄く嫌いで…

 根本 単純なコンプレックスなんだけどね。

 博士 ある大手出版社の編集者の人が蛭子さんに打ち合わせで喋っていて
     「どこの大学出てるんですか?」って蛭子さんが言ってその人が
     「東京大学」って言ったとたん、急に喋んなくなるって。
     だから「蛭子さんって学歴の話が嫌いなんですね」って。
     その話を編集者からみうらさんが聞いててさ、
     しぱらくしたら蛭子さんのマンガに編集者と蛭子さんらしき人が
     話をする場面があって吹き出しに
     「どこの大学なんですか」
     「東大です」って言ったら、日本刀でその人がバサッと
     真っ二つに斬られてるんだって(笑)。
     蛭子さんには必ずそういうマンガがあるんだって。
 
 根本 学歴の話で一つあってね、蛭子さんがまだマンガを書いていた頃、
     同じ喫茶店に二つの雑誌の編集と打ち合わせして、
     一方がエロ本なんですよ。
     話をしてたら両方とも早稲田大学だってことがわかって、
     蛭子さんは、Kさんって人がエロ本の方だったんですけど、
     「なんでKさんは早稲田出てエロ本なんですか。
     こっちは講談社に勤めてるのに、何でですか」
     って不思議がってるんです(笑)。
 
 玉袋 まあ、凄いわな、あの人。
     凄いって言うか、俺、もう怖いわ。
     この間、博士と蛭子(ヒルコ)の語源とか調べてて、
     もう恐ろしくて喋るのも嫌だもんな。妖怪だよね。

 根本 蛭子さんの場合、動物は動物でも人間に憑い
     悪さをしちゃうのが困りものなんだよ。
     あの「魔よけ」ならぬ「魔付け」で何人、変死、
     事件に巻き込まれてるかわからないよ。

 博士 蛭子さん絡みの「幻魔対戦」事件が芸能界で相次いでるんだけど、
     この間、小田和正さんが東北道で交通事故を起こしたでしょ、
     丁度、その数日前に「新橋ミュージックホール」で蛭子さんに
     初共演してて、小田さんが蛭子さんに突っ込んでるんですよ。

 根本 シロートが触っちゃダメだって(笑)。

 博士 これはヒルコの呪いですよ。
     ここで会わなければ事故もなかったのに。
     殿のバイク事故も蛭子さんから直前にサイン本もらったりしてるし、
     とか、山田まりやの交通事故とか大竹まことさんの事故とか
     必ずその前後に蛭子さんとの絡み、関係があるんですよ。

 根本 サイン本とか受け取ると特に危ないね。

 博士 で、その因果関係をはっきりレポートをまとめようとして
     大宅文庫でスタッフに調べさしたんですよ。
     そしたらその調べた本人が
     大宅文庫の帰りに車と接触して骨折してさ〜
     「もう、この仕事はやめさせてください」って(笑)。
     本当にオカルト話になったの。
     オレはヒルコの呪いは『リング』なんかより怖いよ(笑)

 根本 そのレポート今あるの?コピーしてくれる!

 博士 どうぞ、どうぞ。専門の研究者の方に(笑)。
     「ヨハネ黙示録」と言われる文書ですから(笑)

 玉袋 いやでも、それを呑ん気にお父さんにしたい人の
     ベストなんとかに入ってるなんて、驚愕だよ。

 根本 個人視聴率も、五位ですよ。

 玉袋 おかしいよ世の中。ヤバイ方向に向かっている証拠だよ。

 博士 おい、エロ話しなかったよ!エビス話だけだよ。

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 あとがき対談
 
 博士 テーマそっちのけで、エロスはなくて全部、エビス、
     蛭子能収さんの正体の話で盛り上がったんだよな。

 玉袋 あんまり面白かったんで、今回はそこだけ
     ディレクターズ・カットの完全版を収録しました。
     まだまだ一般には普及してないからね。
     もっと目に触れるように。

 博士 オレ、期待してたんだよ。
     蛭子研究家として名高い根本さんから
     どんな話が聞けるかと思っていたら、
     逆に「そんなこともあったの〜」って聞き返されてんの。

 玉袋 ライブトーク用に研究してたからね。
     今や博士も蛭子研究の第一人者ですな。

 博士 やだよ。マジでコワイよ。

 玉袋 でも、蛭子さん、民間では手に負えないってことで
     ようやく警察が動いて賭け麻雀で捕まりましたね〜。

 博士 いやいや、蛭子さんを捕まえた碑文谷警察は
     「妖怪ハンター・ヒルコ」だよ。
     これから復讐されて何人、殉職するかわからないよ。
     湾岸署どころじゃないって。
     でもね、この対談原稿の起こしをやってた作家のTが丁度、
     蛭子さんのところをやってたら、向かいの家が火事になってさ〜、
     ホントに全焼してんの。で、部屋中水びたしになってんの。
     この原稿もすべて焼失するところだったんだよ。
 
 玉袋 命がけの原稿ですね。
     でも、新宿で賭け麻雀をやってるのを警察に通報したのは
     根本さんらしいよ。

 博士 ありえる話だね。

 

 

 

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