浅草キッド公認機関紙「浅草ファイト」 NO.41<00.3/23号>

浅草キッド 新団体設立か!?


 お笑いマット界に飛び交っていた「浅草キッドがお兄さん会を離脱して新団体を設立する!」というデマとしか思えなかった怪情報が現実味を帯びてきた!今大会をもってキッドは「浅草お兄さん会」から離脱を示唆。現在は新団体設立の為に水面 下で動いている様子。本紙はキッドが今なぜこの大きくなった団体を離れ、また一から新団体を起こそうとしているのか、その経緯を徹底的に取材した。そこで衝撃の新事実を掴んだのだ!

 噂は真実だった!!昨年末から噂が絶えなかったキッドの新団体設立が現実のものとなりそうだ。これでキッドのお兄さん会からの離脱が秒読み段階に突入。原因はキッドとお兄さん会芸人の決定的な「確執」のようである。

 博士は「最近のお兄さん会には、闘いの熱気と魂が観る者に伝わってこない。元々俺達が作った団体だが、俺達の理想に反して何故こうなってしまったのか?もう一度闘いの原点に帰る必要があるんだよ!」と語気を強めた。確かに現状に満足せず、常に向上を目指す博士らしい意見であるが、その現状を変える為に選んだ道が「離脱」となると話がこじれるのは当然の事、業界には「単なるお家騒動」と見られる形となり周囲から呆れられる可能性もある。

 一方「トンパチプロ」を設立しお兄さん会選手会長として、独立プロ主催興行を打ち成功を収めているハチミツ二郎は、キッドの発言に異を唱える。「確かにキッドはこの団体を旗揚げしたかもしれないが、闘っている現役選手達にはここまでお兄さん会を支えてきたという自負があるしね。正直、今、お客さんはマキタ、鳥肌、殿方の三銃士の試合を見たがってるじゃん」

 マキタスポーツも「もし今の俺達のファイトスタイルがダメなら、会場にこんなに観客は集まらないでしょ?キッドは因縁だの闘魂だの強調するけど、今の時代のファンが求めている闘いを分かっていないんだよ」とキッドの警鐘を徹底的に否定。

 本紙も読者も想像以上のここまで根深い確執だったとは…。確かに前大会一番手で漫才を披露し観客の度肝を抜いたキッドの登場などは団体としての足並みが乱れてきた証拠かもしれなかった。

 しかし「浅草お兄さん会」は今現在日本で行われているお笑い興行シリーズとしては業界トップレベル興行となっている。なにもそれを手放してまでの新団体設立は、せっかくここまで築き上げてきたものを破壊することになる。

 博士は「今のお兄さん会が完成品だと思ったらそれ以上のものは作れないんだよ!芸術家だってそうだろ、これで俺の作品は完成したなんて思ったら、その人の作品なんて生涯一つしか出来ないじゃないか!作ったものは壊せ。壊せばまた作ることが出来るって事だ!」

「いいんだよ俺達が離脱することが業界にダイナミックな起爆剤となれば。俺達としても、このままじゃいけないって事で新団体を設立するんだよ!所属選手は誰かって?そんなもん水道橋博士と玉 袋筋太郎しかいないよ!」と新団体はキッドのみの単独興行になる模様。

 では、このまま「浅草お兄さん会」は消滅してしまうのか?興味はこの一点に絞られる。「新人発掘の場が無くなるのは、たけしイズム継承を絶やすことになるから出来ない。しかし今のメンバーで開催することはないだろう」とメンバー総入れ替えで「新生浅草お兄さん会」の発足も示唆する発言。

「でも勘違いして欲しくないのは、新団体はあくまでもキッドの団体だから、新人発掘の場とそれとこれとは別 だからね」とあくまでも区別する模様。お兄さん会芸人がここまで実力と動員力をつけるのにも2年半の時間を有した。また一からとなると気の遠くなる話である。しかも新人達だけの舞台では常打ち会場のシアターサンモールでの興行も打つことは出来ないだろう。しかし、お兄さん会だって観客50人から始めて、500人の会場までアップしていった実績がある。観客を増やしていく事は芸人としての責任感と自我が目覚めるのだ。そこを意識しての今回の騒動ならば発展的な解消と取ってもおかしくはない。

 あるいはキッドは自ら旗揚げしてここまで大きくした団体を破壊し、また新しい人材を発掘。そして深い確執が生まれてしまったお兄さん会芸人達に外側から攻撃を仕掛けるのではないか?

 そのトンパチプロは6月2日独立興行を打つ。しかも会場は都内ビッグアリーナの北沢タウンホールである。この博打興行はトンパチプロとして絶対に成功させなくてはいけない大事な一歩。ビッグネームの選手を導入せずあの会場を満員にするのは至難の技だが、ここで踏ん張りを見せれば一気に加速がつくことは確か。
 そうなると、今後キッドの新団体・トンパチプロ・新生お兄さん会の3団体が一気に誕生する可能性が出てくる。

 さらに取材を進めるとキッドの新団体の名称は「浅草お兄さん会ULTIMATE FIGHTING OWARAI」略称「浅草お兄さん会UFO」となることが確定したようだ。キッド出ずっぱりで「ノールール・フリートーク」「新作漫才ネタ下ろし」「大物ゲストとの対談」など注目企画が目白押し。

 「新生お兄さん会」については近々キッドがフロントと話し合いを持つという。
 本紙の見解として今回のこの騒動は常に刺激を与えることによってトンパチプロを本当のプロ集団にするべくキッドからの強烈なカンフル剤であり、キッド自身も芸人として新しい扉を開くための破壊であり、21世紀に飛び出すべくお笑い会の超新星の誕生を心から期待するべくして起きたビッグバンなのであると解釈する。

 とにかく今大会が「浅草お兄さん会」の最後の興行となるかもしれない。永い間愛されたこのメンバーが一同に終結する姿はもう何回も観る事が出来ないのだろうか…。
 浅草お兄さん会はもう終わってしまったのか!!

さらば、『北野チャンネル』
            文・ターザン山本
 編集長らしい仕事を何一つしない、と言われ続けたターザン編集長が、なんと今回は締め切り前に入稿。テーマは『北野チャンネル終了についてII』。思えばキッドとターザンの本格的な交流はこの番組が始まり。ここでしか読めないターザン節、堪能せよ!

 3月になると卒業シーズンになる。「あおげば尊し、我が師の恩…」。いや、違うぞ。あおげば尊し、キッドの恩だ。
 一年間、大変、お世話になったCSの北野チャンネルが、3月で終わりになった。よって私が出演していたその中の『北野ワイドニュース』もなくなる。
 あ〜、残念、無念。平成11年(1999年)、我が輩にとって最も楽しかったのは「北野ワイドニュース」なのだ。
 そこに私を出演させプロデュースしてくれたのが、何を隠そう水道橋博士と玉 袋筋太郎の浅草キッド。キッドこそ私の大恩人。私を芸の道に導きそして、芸人・ターザン山本を最初に育ててくれたひと。「北野ワイドニュース」で私の担当は“人生相談”だった。相談者の悩みをきいて、それを解決してやろうという気持ちは、私にはまったくなかった。
 とにかくどうでもいい悩みばっかりなのだ。私は「勝手にしろ!」というしかなく、無責任きわまりない発言と態度しかできなかった。

 悩みとは
 お前自身の存在証明だ
 解決してやろうか
 でも、俺の手で解決したら
 お前の存在を
 証明するものが
 なくなってしまうんだぞ
 いいか、いいんだな
 すっからかんになっても
 悩みとは要するに
 お前だけのものなんだ
 この世で、だったら
 その悩みをしっかり
 その両手で抱きしめて
 誰の手にも渡すんじゃない
 わかっただろ
 それが俺のお前たちへの
 最終回答だ

 二週間に一回。月曜日。渋谷のスタジオに行って「北野ワイドニュース」に出た。出演することよりも、そうして出演前にキッド及びお兄さん会の連中と会える事の方が、私にははるかに面 白かった。
 なぜか? その答は簡単だ。「北野ワイドニュース」の出演メンバーが作っている世界は、学校に例えるとまるで“できの悪いクラス”といった雰囲気。その心地好さは私には格別 のものがあった。何しろ俺たちの中には誰一人エリートはいない。私も含めてみんな劣等生だったから俺たちは永遠に仲間だ、友達だ、同志だ。

 「北野ワイドニュース」よ
 一体、誰が
 やめると言ったんだ
 俺は卒業なんかしたくない
 蛍の光なんか
 あおげば尊しなんか
 誰が聞くもんか
 バカ野郎
 ふざけるな
 どうしてくれるんだ
 もう、俺たちはバラバラだ
 もう、俺たちは二度と
 いっしょに遊べない
 さよならだけが
 人生だとわかっていても
 劣等生に
 卒業なんてないんだ
 人生の留年生たちよ
 我が友、俺たちの
 「北野ワイドニュース」よ
 さらば!
                             (ターザン山本)

『北野チャンネル』とは‥‥ 巷のワイドショーでは絶対に取りあげないであろう情報を日々取材、提供してきたきた「毒占北野ワイドニュース」。今までに、入門初日で挫折、緊急入院した“ハチミツ二郎のプロレスラーへの道”。
海で入れ歯を落としたターザンを救う“入れ歯への道”、マキタスポーツが体を張って取材した“ターザンvs大仁田”など数々の名場面 を生んできた。3月で放送終了。一部はフジテレビ721で継続予定。

ターザン山本‥‥ 元「週刊プロレス」編集長時代には週30万部の売り上げを記録。伝説のカリスマ編集長であったが新日本プロレスと取材拒否騒動を起こし辞職。その後、空白の期間を経てキッドのプロデュースのもと狂気の芸人へ変貌。浅草お兄さん会では、意味もなく全裸で胴上げされることで有名。著書に『プロレス雑誌大戦争!』(文芸社)などがある。

 

 

 

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