博士の異常な日常 わが子の誕生が僕を健康オタクに変えた

「婦人公論」より

特集 家族の健康偏差値を上げよう

人は等しく80歳という人生のゴールに向けてレースをしているようなもの。
40歳を過ぎると、レースを降りる人も出てきたり、足がもつれて倒れたり、這いつくばってたどり着くなり、いろいろ。でも、僕は全力疾走のままゴールのテープが切ることが理想だと思う。


「俺は死なない」
 この7月に娘の「文」が生まれたばかりで、8月には長男の「武」が3歳の誕生日を迎えます。25年前、ビートたけしさんと高田文夫さんの「オールナイトニッポン」を聞いていたのが僕の人生の転機で、その後、たけしさんに弟子入り。
おふたりの名前にあやかり、「文武両道」でもあり、子どもふたりの名前で、僕の長年の夢が叶ったというか。(笑)

 今まで、芸人としては「たけし軍団」で無謀なことばかりやってきましたし、結婚も40歳と遅くて、自分が父親になるなんて考えたこともないし、自堕落で破滅型を良しとしていましたね。

 ところが、初めて自分の子どもを見た瞬間、今まで半分、「いつ死んでもいいや」と思っていたのが、「俺は死なない」という直感と共に、"まっとう"に生きようと、電撃的に決心。それ以来、僕の親バカ、健康バカ路線が始まってるんです(笑)

 来年2月に、僕はフルマラソンに挑戦するんですが、息子にも、3歳の誕生日からは一緒に走らせるつもりなんです。

 とにかく、息子とは、文武両道、お互いに同じことをやるつもりなんです。

 なぜかというと、わが家には、三大方針があるんです。
「母親主権」「親ばかを照れない」そして、子どもの自主性ではなく、「親の自主性を尊重する」の三つ。

 タレントが子育てをさらすって、諸刃の剣だから、「将来は子供の自主性に任せる」って皆さん、声を揃える風潮ありますよね。
でも、亀田三兄弟だって、横峰さくらだって、もっと言えば、歌舞伎の家の子供だって、皆、親の自主性ありきです。
しかも我が家の「親の自主性」とは、子どもだけに無理やりさせるのではなく、トレーニングでも習い事でも、親である僕も一緒にやる、ということ。

 僕は体験至上主義。それでこの春、自分が体験した健康法を『博士の異常な健康』という本にまとめたくらいです。

 現代は、長寿の時代だといっても、全員が「余命80年の末期がんです」と宣告されているようなもの。
つまり人は等しく80歳という人生のゴールに向けてレースをしている。
最初は全員、一緒にスタートしたのに、折り返し地点、40歳を過ぎると、レースを降りる人も出てきたり、足がもつれて倒れたり、這いつくばってたどり着くなり、いろいろ。

 でも、僕は全力疾走のままゴールのテープが切ることが理想だと思うんです。 
確かに、老いることに、諦観を持たない生き方は「見苦しい」。
だから芸能人は、健康法を人知れず実践してみたりする。
僕は、そこをエンターテイメントにしてみたかった。
執着を隠さず、「やりすぎじゃないの」「健康バカ」って言われるくらいに、周囲から、「見楽しい」と思われるように、一種、異常なまでの振り切れた行動を、さらしていきたいわけです(笑)

筋肉をつけてマラソンを

 本にも書きましたが「加圧式トレーニング」という、体に圧力を加えた状態でする筋肉トレーニング方法、僕は、これを青色発光ダイオード級の世界標準となる日本発の大発明だと思っています。
ちなみに、この加圧式は、日本代表レベルのアスリートに浸透してますが、本当は、女性や高齢者にも適しているんです。
成長ホルモンを通常の100倍から300倍出させる運動でもあり、これは成長ホルモンの分泌が一番盛んな、16歳の体の状態と同じくすることでもある。新陳代謝が活発になり、太らない体になる。
さまざまなリハビリにも予防にも使える。
だから介護が必要な高齢者や女性のアンチエイジングのためにもある。
いずれ「婦人公論」も特集が組めますよ!

 詳しくは、俺の本を読んで頂いて(笑)。
現在、執筆中の続編『筋肉バカの壁』(笑)、の企画で、僕もこの方法で筋肉をつけ、「格闘家の山本KID徳郁と同じ肉体を持ってフルマラソンを完走する」と宣言しているんです。これこそ異常でしょ(笑)

 本当は、芸人の仕事にはもちろん、マラソンにもそんな筋肉は必要ない。
ボディビルを見ても、過剰な筋肉って普通の人には滑稽に見えるものでしょう。
だから自分の肉体が筋肉に武装されると、自分の思想、美意識も変わっていくのか身をもって実験しようと思って(笑)、もちろん、息子にもやらせますよ!

 それに僕自身、格闘技が大好きだから、息子を将来は格闘家にしたい(笑)。
今も本来4歳にならないと通えない格闘技ジムに頼み込んで、1歳の誕生日から息子を通わせてもらっていて、僕も「一年に100日間は一緒に行く」と決め、仕事の合い間を縫って通いました。
ジムを託児所代わりにしないよう一緒に遊ぶわけではなく、僕が懸命にトレーニングする姿を見せる。
何もわからない年齢なのに、と思われるでしょうが、そういう空気の中にいることが大事だと思う。
「人は生まれながらに闘うものなんだ」と幼児から心に刷り込まれるはず。
もうすぐ柔道もやらせます。
井上康生さんが、僕たち親子に「井上康生贈」と字の入っている柔道着をくださって。
これが最初から黒帯(笑)、初心者がこれを着て柔道教室に通ったら、どれだけいじめられるか(笑)。

 実は水泳も早々とやらせたんですよ。
そうしたら、よその子より進むのが遅くて、うちのカミさんは「才能がない」と諦めたんです。
でも、僕は諦めきれずに、今、せっせと区民プールに連れて行ってるんです。
でも子供用プールでは楽しそうなのに、いざ大きいプールに連れて行くと、敵もさるもので、「やめてください! やめてください!」なんて大声で言い出す。
普段は、そんな敬語なんて使わないのに、まるで僕が誘拐犯にでも見えるように叫ぶの(笑)。

 なぜ、そこまで抵抗されながら、やらせるのか。
本来なら、僕も典型的な文化系だし、「親が運動音痴の子供だから」って諦めるのが筋でしょう。
でも、「運動神経は遺伝だ」などというけど、学説を読むと、まったく関係ないんですね。
たとえばお父さんが野球ができないと、キャッチボールをしない。
だから子どももできなくなる。
ゴルフだって、子どもの頃からやる機会があった子が圧倒的に強いでしょう。
つまり、運動神経って遺伝ではなくて与える機会、環境なんです。
機会を与えるのが大事だと思うから、あらゆる可能性を考えて、それにつき合って僕は、どんどんメニューが増えていく(笑)。
もちろん、いつかあきらめる日も来ると、わかってはいるつもりです。

特製ふりかけをオヤツ代わりに

 子どもが生まれてからは「食」の大切さもわかりました。
うちでは、僕が「ふりかけ」を作ります。
最初は、とりあえず納豆を食べさせるのが基本方針だったんです。
アントニオ猪木も納豆が好きだったと聞くし、ボクシングの亀田三兄弟も納豆好きでしょう? 
格闘技界における納豆神話ってすごいんです(笑)。
納豆好きな子に育てようと思ったけれど、色が嫌いだといって手をつけない。
ただ、粉末納豆だとすごくよく食べるんですね。

 粉末納豆に、ミキサーで砕いた煮干――なるべく無添加に近いものを取り寄せました――、それに、にんじん・かぼちゃ・じゃがいものフレーク、黒ゴマ・くるみ・ひまわりの種・アーモンド・クコの実、カシューナッツを混ぜたものが、わが家のふりかけです。これをスプーンで、オヤツ代わりに食べる。
これには秘訣があって、息子にはお気に入りの『ラチとライオン』という絵本があって、ラチという少年が、ライオンに育てられ、勇気を持つ強い少年になるというストーリーなのですが、「ラチ少年はふりかけを食べて強くなった」という絵を、僕が鉛筆で描き足したんです。
息子はそれを信じて、よく食べるようになりました(笑)。

 先ほどお話しした、わが家の「三大方針」のひとつ「母親主権」。
子育てに関しては、やはり母親が中心ですから、方針が対立したときは僕が折れます。
たとえば、腹をくだしている時に、ふりかけを食べさせようとすると、「まだ消化器系が成長してない年齢なんだから駄目!」といわれて、おとなしく引き下がります。

 もうひとつの「親ばかを照れない」について。
4年前に結婚して以来、僕は、親バカを宣言して、仕事が終わったら、まっすぐに家に帰ってます。
とても芸人とは思えない。
きっかけは、関根勤さん。
昔、「おしゃれ関係」で、関根さんがゲストのとき。
芸人なのに女性スキャンダルが皆無、家庭円満の関根さんに、その秘訣を古館さんが聞いたんです。
すると関根さんが、「自分の娘が生まれた時、どれほど子供を尊いと思ったかわからない。
でも同時に、それを生んでくれたカミさん、そして、そのカミさんを生んでくれたカミさんの両親に感謝した。
自分が初めて生まれた子供に寄せる無償の愛情と同じく、カミさんの両親も、カミさんの誕生を同じ思いで見たのだろう。
どれほど、この子が、人生に嘆くことなく、幸せに育って欲しいと願ったことか。
その両親に『幸せにします』と誓ったのだから、それを思うと決してカミさんを泣かせるようなことは出来ない」って、そんな意味のことを言われてて、心に染みましたね。
それまでは、AVや風俗についての本を書くほどで、それこそ毎日遊び回っていましたが、よく考えると、芸人の特権である「飲む、打つ、買う」なんて、今や一般人の方が圧倒的にアンチモラルでやってんですよ。
それで結婚を機に180度変えた。

 周囲からは「つきあいが悪くなった」「芸人らしくない」と言われましたよ。
僕の界隈では、とくに愛妻家とか子煩悩とか、家族ネタって、かっこ悪いことなのね。
それは社会全般にもある風潮だけど、そこには、確実に「親バカの壁」がある。その壁に向けて、僕はあえて「変人として生きる」と決めた(笑)。
もう「家に帰りたいから泊まりのロケは断る」くらいに変人に徹底したい(笑)。
でも、芸人としては、ものすごくデメリットがあるのもわかっていて、こうやって取材を受けるのも、育児雑誌に連載を持つのも、きっと、ありがちな芸能人のシフトチェンジだって謗りもあるんだろうけど、あえてアクセル踏み込んでいます。
確信犯ですよ。
まだ子どものいない伊集院光とか同世代の芸人が「あの博士が、そこまで熱中するなんて、俺も子どもを持ってみたい」と言うほど。

 格闘技でも健康についても、本当に凝り性でマニアックな僕が、今、子育てにが、本当に面白くてしょうがない。
夏休みの家族サービス? いやいや僕の場合、365日毎日、健康を追求しつつ家族サービスしていますから(笑)。
                           

構成◎佐藤祥子


 

 

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