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「水道橋博士のメルマ旬報」とは何か?
                             水道橋博士
フリーペーパー『FILT』2013.3 連載「博士の普通の日常」より 


 活字のミライのための道筋

■このフリーペーパーを読んでる皆さん、
有料メールマガジンを読んだことはありますか? 
ボクは昨年末、そのメールマガジンの編集長になりました!
タイトルは『水道橋博士のメルマ旬報』です。

今回は、いかにしてボクが編集長に就任したか、お話します。


■ボクには昔から紙に印刷された文字が好きなの。
だから、Kindleが日本上陸だの、電子書籍元年だの出版界で騒がれようとも紙の本への愛着は捨てられない。

その本への愛情、読書への執着を形にしたのが、ボクの最新刊の『藝人春秋』であることは読んで頂ければわかるはずだけど……そんなボクが、まったく、その嗜好とは対極にあるはずのメールマガジンを始めたんだよね。

システムは簡単。メールアドレスを登録してもらった読者にカード決済で課金するだけ。
それが月2回発行で料金は500円。
一冊が250円の雑誌だと思ってもらえばいい。

でも最初に届いたときには驚くと思うよ。
文字数にして20万字以上の活字が一気に届くわけだから。
執筆してるのもボクだけじゃなくて、ボクが選りすぐった20人以上の執筆陣が24大連載で書いてるから、全部読み切るのはほぼ不可能なんじゃないかな(笑)。

受信した途端、携帯が重くなったって言った人もいたね(笑)。
なにしろスローガンは「大人のコロコロコミック・子供の文藝春秋」。とにかく、今まで見たことのない、アッと驚く巨大な熱量の異常な活字メディアをお届けしたいんだよ。その人の人生に否応なく衝撃と影響を与えざるを得ないようなもの。


■もともとメルマガには興味を持っていて、新しいメディアとして、いろいろ購読しながら観察してたんだ。メルマガ業界で最大の成功例はホリエモンなの。
そのビジネスモデルを追っかけて、次々とメルマガが創刊されたんだけどね。

それらのメルマガ全体を分析すると、株とか投資とか起業とかハウツーものがすごく多い。
ボクはお金儲けの方法をお金を払ったら分けてあげましょうっていうコンセプトとかね、そういうの全然興味がないんだよね。


■同じメルマガでも、勝谷誠彦さんのは毎朝9時までに発行されるんだけど、新聞、テレビが伝えきれない時評が6千字規模で送られてくる。それも毎朝一日も欠かさず。過剰だよね。
是々非々の意見もあるけど、なんか日々、朝から励まされる。

松尾スズキさんは週刊で劇作家の創作の裏側や、どうしようもない日常のこと、人生相談とかを書いていて、これも好感を持って読んでいる。

都築響一さんは、あれだけ膨大な原稿量を書く人が自らあちこちに分散して書いている原稿をメルマガに集積させていくという方法論はすごく正しいなと思ったね。

津田大介は毎回、20万字級の時事ネタや政策関連の会議の中継とか、メルマガというメディアの可能性を広げる膨大な実験を試みている。

でも個人的に一番メルマガをやって欲しいのは吉田豪。
吉田豪の原稿を全部チェックしたいんだけど、そのためにはイチイチ、かなりエゲツないコンビニのエロ本をいっぱい買わないといけないんだよ。
ましてや老眼だから、吉田豪特有の小さい文字は読みにくいし。


■ジャーナリストの上杉隆がメルマガをやっているんだけど、ある時、上杉隆批判の急先鋒でもある、映画評論家の町山智浩さんが猛烈なメルマガ批判を始めたのね。

で、上杉隆の「これについてもっと知りたいひとは有料メルマガへ」って誘導するやり方を町山さんがからかい出した。ボクとしては、そりゃそうだよなって思う一方で、町山さんは既にサブカルの権威だから、メルマガのメリットまでダメだって印象になりそうな危機感を抱いたんだ。

ボク自身は、有料メルマガにも良いものはあると思ってるし、出版不況の中で新たな可能性も感じていたからね。


■そうしたら折よく、ウチの事務所のプチ鹿島とマキタスポーツが「WEB本の雑誌」でメルマガを始めた。

これって実は博報堂ケトルがやっていて、担当者が北野篤くん、たけしさんのご長男なのね。

で、マキタも鹿島もコラムニストとして腕があるから内容は面白いんだけど、1週間に6000字程度なの。

発行部数は苦戦している、って話だし、これはメルマガというメディアの可能性を試してないな、って思ったの。

篤くんとボクは彼が10代の頃から「いつか一緒に仕事をしよう」って言ってたから、これは主君の若のためにも、ひと肌脱ぐ時だと思っちゃった(笑)


■で、篤くんと上司の原カントくんっていう編集者と会った。

「別のところからもメルマガの話をもらってるけど、もしボクの構想を実現してくれるなら、ボクはキミたちとやるよ。 でも週に6000字みたいな話じゃない。今後は毎週、全盛期の週刊プロレスの編集部みたいになるんだ。とにかく一日も家に帰れない。来る日も来る日も原稿が次々と届くっていう状態になってもいいなら、一緒にやろう!」ってね。

そうやって「メルマ旬報」が始まったんだけど、結果的にオレの予想と全然違ってたことがあった。

実は篤くんは立ち上げだけで、ほぼメルマガの実務はやってなくて、CMプランナーとしてメチャクチャ忙しい超売れっ子だったの!(笑)


■ただ、もしほかの人生があったら一番やりたい仕事は編集長だったから、その夢は叶ったんだよね。

最初から、サブカル誌で10万字以上にするってことは決めていた。
メルマガの一番良いとことは字数制限がないこと。
読みやすさのために情報を削減して決まった文字数に落とし込まなくていい。
情報は巨大でも取捨選択は読者がやればいい。

執筆者のイメージも最初から100人くらいいたからね。サブカル水滸伝、梁山泊は108人(笑)。
今はとりあえず「AKB48」って言っていて、「浅草キッドブックス48」の略なんだけど(笑)、48人は集めようと思ってるんだ(笑)


■ボクを含めて執筆陣がどこかの雑誌に寄稿した原稿も、時間が経てばそのまま消えていくわけで、その活字を拾い上げてメルマガで再生して載せれば、新たに面白い文脈が出来上がる。

無名の筆者のBlogに書かれる無料原稿も構成して、雑誌として編集し並べ直して、再利用するだけで永遠に続けられるのに、なんで今までに誰もやってなかったのか。


■執筆陣もメリットを感じてくれればお互いに得をするんだよ。
ダライ・ラマとかオバマとか孫正義さんとかオノ・ヨーコとか、レディー・ガガとか、頼みたい候補はいっぱいいるんだ。
これギャグじゃなくて本気だからね(笑)。
とりあえず、クオリティからいっても登録者が一万人はいくっていうビジョンは見えてる。

今、その数に届いてないのは潜在的な読者がメルマガの手続きや入手方法を知らないってだけ。「メルマ旬報」は長すぎると思われるかもしれないけど、ePubという形式に変換すれば、断然、読みやすくなる。


■最初に戻るけど、ボクもメルマガの最終的な出口は本だと思ってる。
すべての連載は、いつか書籍化するためのゲラなんだ。もう長らく出版不況って言われてるけど、「メルマ旬報」は活字自体が死んでしまわないための道筋なんだ。

このまま突き詰めていくと自分の出版社ができちゃうんだけどね。
実は「ハルキ文庫」ならぬ「ハカセ文庫」て、もう名前まで考えちゃってるんだ(笑)。


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 水道橋博士のメルマ旬報 ePub版表紙

現在発売中の「藝人春秋」(文芸春秋刊)でも見受けられる取材対象者へのまっすぐなまなざしと活字への愛。これをネット上でも楽しめるのがWEB本の雑誌にて有料配信中の博士のメルマガ

史上かつてない最大級のボリュームとポテンシャルを持った媒体であることは、毎号掲載されている3万字を超える本人の日記「博士の異常な日常」ほか、西寺郷太、松原隆一郎、園子温、マキタスポーツ、プチ鹿島などといった芸人、ミュージシャン、文化人まで、幅広い人々の"言魂"が詰まっっていることからもうかがえる。



 

 

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