| 『SRS・DX』
No. 25 巻頭座談会より 出席者◎人間とサルの間を行き来するお三方
ビートたかし(ターザン山本&山本隆司 改め) サダハルンバ谷川、“Show”大谷泰顕、司会◎柳沢忠之 谷川 さあ、山本さん。今号は『SRS・DX』創刊1周年にあたる記念すべき号でして…。
山本 谷川ぁ、今号は俺にとっても記念すべき号だよぉ。
谷川 ヘ?どうしたんですか?
山本 これですよぉぉぉ!
――おおっ! 噂の「ビートたかし」の名刺っ!(笑)。
谷川 すごいすごいっ〜!
山本 俺は今号から「ターザン山本」ではなく「ビートたかし」ですよぉ! 雑誌の中でも「ビートたかし」で統一してくれえ。
大谷 じゃあ、これからは「山本さん」じゃなくて「ビートさん」なの?
――ダハハハハッ!マヌケでいいっ!「たかしさん」なんて言うのは気持ち悪いから、これからは「ビートさん」と呼ぼう(笑)。
谷川 じゃ、じゃあ、ビ、ビートさん、今号は2000年上半期の総括ということで座談会をやりたいんですが。
大谷 ちょっと待って!
――?????
大谷 その話の前に……、僕もちゃんと作ってきましたから。はい、これで〜す、「アント二オShow」の名刺。
谷川 んあああああああ〜っ。
――きさまぁ〜っ! それだけは絶対に許さねえって言っただろぉぉぉっ!
谷川 「いつ何時、誰の発言でも伝える」だって。
大谷 エヘヘヘ、「“闘魂伝言”アント二オShow」ですよ(笑)。
ビート あ〜あぁ、もうこの名刺に時代がオールすべてぜ〜んぶ象徴されてるよお。ハッキリ言って、俺の「ビートたかし」の名刺が「猪木の世界」で、Showの名刺は「非猪木の世界」ですよぉ。
大谷 えっ? どういう意味ですか。非猪木って?
――「負・猪木」と言い換えてもいいくらいだね(笑)。
ビート Snowの名刺は名刺自体が説明的なアングルになってるんだよぉ。でも、俺の名刺には何もないからぁ。
大谷 何もないのがいいの?僕の方が分かりやすくて親切じゃん!
ビート いや、それがダメとは言ってないよぉ。この名刺はShowらしくていいよぉ。気に入ったぁ!
――ダハハハハッ!「気に入った」って(笑)。
ビート 俺とこーゆー対立概念を提示してくるのは素晴らしいよぉ。それが見事に時代を表してるもんなあ。俺の名刺は余白が光ってるでしよ。アントニオ猪木の「間の哲学」とゆ-かさぁ。
――ダハハハハッ!
ビート Showの名刺はハッキリ言って、間がねえよぉ。ジュニアヘビー級の試合ですよぉ。これは2・9プロレスか、もしくは大技を連発してる名刺ですよぉ。
――でも、この名刺の対比だけはノー・アングルだったのに、見事に時代を表してるのはすごいよなぁ(笑)。
ビート Showはホントにいい受け身を取ったよお。
大谷 でしょ?
――「ペチャッ!」っていう音がしたよ。
谷川 じゃあ前フリはこのくらいにして、本題の2000年上半期総括をビートさんにしてもらいたいんですが。
ビート 総括? もうピッタリの話を用意してますよお。この半年の流れというか、今の時代を説明できるテーマというかヒントを見つけたっ!
――ほほぉ〜っ!
ビート 俺は先日、作家の村松友視さんに電話をしたんだよねぇ。それでしゃべってたら、文筆活動が忙しいにも関わらず村松さんは、現状のマット界の動向をすべて把握してるんだよぉ。たいていの人は僕に「今どうなってるの?」って聞くんだよねえ。それが村松さんの場合はいきなり深い言葉のやりとりができるとゆーのは不思議な人だよねぇ。そんなのは普通
あり得ないことなんだよぉ。問題はここからですよぉ! 谷川 興味深いなあ。
ビート そこに村松さんの「ホイス論」「ヒクソン論」があるわけですよ。
――なるほど。例によってちょっと考えてみたんだろうなあ(笑)。
ビート 村松さんが文芸の立場から見ると、「ボイスvs桜庭戦は直木賞的だ」と言うんだよねぇ、で、「ヒクソンvs船木戦は芥川賞的」だと言うんですよぉ。それはヒクション(※編集部注=発音のママ)の試合を観て分かったらしいんだよぉ。ヒクソンの試合を観て、船木のファイトぶりからそれを思いついたらしいんだよねえ。
大谷 ふう〜ん。
ビート 船木のファイトを観た時に村松さんは、「あ、ヒクソンは純文学の世界で、自分が書いているものだけで勝負をしている凄玉
の書き手としての典型的な人物だ」と見えたらしいんだよお。それに比べて船木は「大学生の同人誌の文学青年」に見えたと言うんだよぉ。 大谷 ああっ……!
ビート あれは桁違いだ、と。
――Show、黙ってでいいのか?(笑)。村松さんに対抗する見解はないのか? 大谷 ええっと、ヒクソンが純文学で、船木誠勝は大衆……?
――大衆演劇?(笑)。
ビート ああ、大衆演劇で思い出した。村松さんはこうも言ってた。船木が自分の世界や役割をもっと明確に伝えたいんだったら、入場の時にあの着流し姿じゃなくて、『子連れ狼』の拝一刀のような死に装束で出てくれば良かったって。
大谷 ああっ……!
ビート そして、桜庭vsボイス戦も自宅でペイ・パー・ビューで観たらしいんだよぉ。それも奥さんと一緒に観たらしいんだよぉ。奥さんはそんなにプロレスに詳しくないんだよぉ、それなのに、あの90分間は奥さんもテレビから目を難さずに、あの緊張感に吸い込まれてぇ、一緒に見続けたというんだよねぇ。
谷川 それはいい話ですねぇ〜。
ビート よ〜するに、それほどすごい試合だったと村松さんは言ってるわけよぉ。で、あの90分間におけるいろんな攻防とか、パフォーマンスとか、どーゆー展開だったとか、あれは本当のエンターテインメントな直木賞的なリアリティが随所にあった、と。それに比べてヒクソンが一気に極めて落としたのは、純文学的なすごいものを見せられたと、村松さんはそーゆー解釈をして。その二つを観て村松さんは、「あ、これは山本さんが言っていた『プロ格』の時代が、今まさに到来した」と思ったんですよぉ。「ターザン山本の予言が当たった」と思ったらしいんだよねぇ。
――ダハハハッ! 延々と村松さんの話をしながら、最後にアップするのは自分かいっ!(笑)。
ビート 俺の予言した時代が来たことで、村松さんも喜んでるわけですよぉ大谷 ちょっとごめんなさい。「プロ格」の時代が来たっていうのは僕にも分かるんだけど、その直木賞と芥川賞の話っていうのと、どうリンクするんですかあ?
ビート ああ、そうかあ……。
――ダハハハハッ!
ビート 今の話は3段ロケットでいうと、第一段目を切り放して、謎を投げかけたわけですよぉ。まあ、Showは相変わらずいい質問をするよぉ。
谷川 さあ、じゃあ第二段目だ。
ビート 『プライド』はフリーファイトとかセメントとかガチとか言われていてぇ、格闘技とか言われてるでしょ。で、『プライド』がなぜ出てきたかとゆーことが、村松さんの言葉で分かったわけよぉ。村松さんが今の状況をどー捉えたかといったらぁ、「やっと猪木の意味が分かった」と言うんだよねぇ。
――ドキドキするなあ(笑)。 ビート 猪木という存在は、完全にマット界では本当に特異な、すべてが文科系の発想の人間だというんだよねぇ。で、ターザン山本が『週プロ」を辞めてからの4年間とゆーのは、マット界を体育会系が支配した時代なわけですよぉ。その体育会系というのは村松さんの定義によると面
白いわけよぉ。体育会系とゆーのは「何々のために」とか、「誰々のために」やるというんだよねぇ。で、猪木さんは今までに一度も「何々のために」何かをするとか、「誰々のために」何をするとゆーことを一度も言ったことがないし、やったことがないんだよぉ。つまりっ!体育会系というのはそーゆー御題目を立てないと保たないわけですよぉ。「何々のために」とゆーことは、すなわちこれは「アングル」のことなんだよねぇ。
――なるほど、なるほど。
ビート 猪木さんもアングルを使うけど、猪木さんはそれは客寄せ、引きのために使うわけですよお。で、俺たちもそのアングルに騙されたくて行ってみると、そのアングルとはまったく違った世界が猪木さんのファイトの中からドバ〜ッと出て、見えて、その瞬間俺たちはものすごく刺激されて記憶化するんだよねえ。
――それこそトラウマと言ってもいいくらいにね(笑)。
ビート うんっ! ところが体育会系の人はいろんなお題目としてのアングルを立てるでしょ。そーするとアングルどおりのことしかリングの中で展開できないんだよぉ。そーゆー体育会系に支配されたこの4年間の時代をブチ壊すために、『プライド』という、よーするにフリーファイトが出てきて時代をひっくり返して、もう一度文科系の持っているものを復活させるための時代が到来した、と。村松さんが言うには「山本さんは文科系のマスコミだったから、長州という体育会系に取材拒否されて、今日ここまできている」と一言うわけですよお。
――なるほど、なるほど。
谷川 だいぶロケットが打ち上がってきましたよぉ。どうだ、Snowクン。
大谷 とりあえず、ここまではちょっと分かった。で、えーっと、直木賞と純文学とどうつながるんですかあ?
ビート つまりっ! 体育会系がマット界を支配してしまった弊害だよねぇ。体育会系とゆーのはどーゆーことかというと、よ〜するに肉体の衰えと共に、自己の限界とゆーものを感じてしまう人たちだからぁ、ある一瞬しか輝けないわけよぉ。賞味期限、選手寿命がものすごく短いわけ。本人たちも一瞬しか輝けないことをよく知ってるからぁ、非常に発想が保守的になって守りになるわけよぉ。
大谷 はいはい。
――たしかに体育会系の賞味期限は短いもんなぁ。
ビート そうでしょ? 村松さんも言ってたけど、最近の一番いい例が若乃花っ!
谷川 はっは〜あ。
ビート 俺も好きだったあんなに素晴らしい力士でも、今の解説してる若乃花にはガッカリだもんなぁ。あれこそ体育会系の賞味期限の短さを証明してますよぉ。
――なるほどねえ。
ビート それに比べて猪木さんは、肉体が衰えようが何しようが、長いスタンスで生き延びていけるんだとゆー自信に満ち溢れた発想をしてて、それが文科系なんだよねぇ。ここが文科系のすごいところなわけですよぉ。猪木さんのよーに、引退しても第一線で大活躍でしょ。自分が文科系であることを証明しきってるんですよぉ。で、馬場さんも文科系だったから引退しなかったわけですよぉ。どんなに歳を取っても自分がカリスマでいられることが分かっていたからぁ。
大谷 ふう〜ん。
ビート カ道山も非常に暴君として、一見体育会系に見えるけどもぉ、よく考えてみたら体育会系の木村政彦を減ぼしてプロレスをやってるんだから、あの人も根は文科系なわけですよぉぉぉ! 文科系の力道山、馬場、猪木という人がやってきたんだけども、その馬場、猪木という二人が衰えた時に長州たちのよーな体育会系の人たちが、「革命のために」とゆーことを言わざるを得ない時代がココまで続いてきたわけですよぉ。だから、今回の長州の復帰も、もう一度カムバックすることによって、体育会系を回復させよーとしてる感じだよねぇ。だから猪木さんと対決してるし、それは猪木の文科系と、長州の体育会系の激突とゆー構図なんですよお。
大谷 ふう〜ん。
ビート で、体育会系がどう生き延びていったらいいかといったらぁ、二つしか道はないわけっ!
――はい、道は二つっ!(笑)。
ビート とにかく肉体が衰えていくんだから、ムチャクチャするしかないんだよなぁ。それが大仁田ですよぉ。で、体育会系崩れのムチャクチャをやってる大仁田と、長州が今回やるとゆーことは、これは対極としての猪木の文科系に対する共同戦線みたいなもんですよぉ。で、長州たちの後に闘魂三銃士とゆーのが出てきたよねぇ。これは長州みたいな体育会系じゃなしに、これは体育会系と文科系の間にあるものなんですよぉ。それは何かといったら「プロレス頭」とゆーものなんですっ! プロレス頭に優れていたのが武藤と蝶野ですよぉ。で、体育会系でもなしに、プロレス頭でもなかった橋本が今のよーな悲惨な日に遭ってるわけですよぉ。
――ダハハハハッ!どっちつかず(笑)。
ビート うん。それで、体育会系が生き延びよーとしたら、ムチャクチャをするか、もう一つはマネージャーとして文科系の人間を付けるしかないわけよぉ。
――うんうんうんうん(笑)。
ビート それはよーするに藤田のマネジャーに猪木さんが付いてるでしょ。これは体育会系の男に猪木さんとゆー文科系が付いたから、藤田は活きてるわけですよぉ。小川もそう、体育会系の出身だけども猪木さんが付いて、体育会系と文科系が巧くドッキングした。ところがあ、小川は自分でも文科系になろうとしてるわけですよぉ。でも、それは猪木さんの文科系のスケールから比べたらはるかに小さいんだよねぇ。まあ、小川は珍しく体育会系から文科系化しようとしてるわけですっ! ところがそれがうまくいかなくて、中途半端で、やや時代から脱落しかかってるんだよねぇ。
――小川は「文科系化」しようとしてるんだけど、間違って「プロレス頭化」しちゃってるわけですね。
ビート そうそう。プロレス頭化して、別の形で蝶野とか武藤化しようとしてるわけですよぉ。でも本来は、体育会系の人間は文科系の頭脳を持った人間がマネジャーに付くことによってしか、活かすことはできないんですよぉ。これは長嶋監督を例に出すとよく分かるっ! 村松さんは「今のスポーツ界に文科系は長嶋茂雄とアントニオ猪木しかいない」と言ってたんだけど、たしかに長嶋は正真正銘の文科系なんですよぉ。
――まぁ長嶋監督は「勝つために」野球をやってるとは思えないよなぁ(笑)。 ビート そうっ! 長嶋はただ単に野球を面白くしようとして、とにかくよ〜するに「見せ場」を作ってるわけですよぉ。最高の舞台を用意して選手たちを光らせてあげようと考えてるわけでしょ。
――そういう部分ではまさに天才的な采配をしてますよね。
ビート でしょ? ただその長嶋の仕掛けた見せ場で、選手たちが結果
を出さないから「作戦ミス」だとか、「ダメ采配」だとかって叩かれるんだよねぇ。ただし、結果 を出した選手は最上級に光ることができる構造を、長嶋はお膳立てしてるわけよぉ。まさしくこれは『プライド』というリスキーな舞台に選手を送り込む猪木さんと一緒でしょ。長嶋監督と猪木さんを見ると、この文科系の思考方法がよ〜く分かるんだよぉ。
大谷 じゃあ、結局はプロレス界も時代を動かすのは猪木さんしかいないってことじゃないですかぁ。
ビート そうっ! 体育会系は「実」を取るけど、文科系は常に「華」を取るんですよお。「何々のために」とか、「誰々のために」もやらないのが文科系と言ったでしょ。ところがあ、偶然にも藤田と桜庭とゆーのは、面
白いことに自らの存在を表現する「革命」とか「維新」とか「邪道」とかさあ、一つもそーゆー思想的なものがないんだよねぇ。つまり、彼ら二人は「何のために」「誰のために」とゆーことが全然見えてこない。見えてこないとゆーことは、表面
的には猪木さんの世界とマッチしてるんだよねぇ。これは本当に隔世遺伝的、自然現象的なことで、彼らの存在自体は体育会系だけども、妙に文科系の雰囲気を発散してるんですよぉ。これが時代の中から飛び出てきたとゆーのは、今の状況を見事に語ってるんだよなぁ。これが村松さんとの話からヒントを得た世界ですよぉ。
――文科系の逆夢かあ。
大谷 でも、桜庭和志はお客さんのために闘ってるんじゃないんですかあ?
ビート そーゆーことを言わないもん、桜庭は。そーいった意味で言うと、『プライド』みたいなバーリ・トゥードっていう競技は、一見すると地味でハードな格闘技だから体育会系の「実」を取るしかない極限的な闘いに見えるけど、じつは『プライド』の中には村松さんが興奮するよーに「華」のある文科系の匂いがものすごくあるとゆー、このパラドックスだよねぇ。
――たしかにバーリ・トゥードというのは体育会系の極致みたいな競技なのに、『プライド』だけはなぜか文科系の匂いが充満してるんですよね。
谷川 それはグレイシーじゃないの?
――うん。グレイシーは典型的な文科系だよね。
ビート 文科系ですよぉぉぉ! だから村松さんは興奮するんですよぉ。村松さん流に言うと、ヒクソンが落ちた船木の背中を足で蹴ったでしょ。あれは非常にけしからんとか、人道に反するものだとか、武道に反するとかゆー見方があるでしょ。でも村松さんが言うように、ヒクソンが純文学の作家としたら、相手が同人誌の文学青年だったら足蹴にしても不思議はないよなぁ。よ〜するに落ちた船木に対して、渇を入れるだけの価値をヒクソンが見ていたかどーかとゆーことなんですよお。
大谷 ヒクソンは失礼な男だねぇ。
谷川 今の発言は、パンクラスと和解をしたビートさん的にいいんですかあ?(笑)。
ビート いいんじゃないのぉ? 俺が思ってるんじゃなくて、これは村松さんが言ってる言葉なんだからぁ。俺は村松さんの言葉を伝書してるだけなんだからぁ。
――ダハハハハッ! ビートたかし「掟破りの闘魂伝書」(笑)。
谷川 まあ、話を戻すとグレイシーという、最大の文科系が現れたということですね。
ビート だから、グレイシーがプロレスを否定したんじゃなしに、プロレスが置かれてる状況の体育会系が支配していたアングル的な世界を、グレイシーが現れたことによって「ノー!」と言われたわけですっ。「時代を変えろっ!」「チェンジしろっ!」と言われたんですよぉ。
谷川 それはすごく重要だあ。
ビート そうっ! リセットの素材として出現したタマがグレイシーだったんですよぉ。大いなるアンチテーゼだったんですっ! ようやくここで文科系の復権がグレイシーの存在によって立ち上がってきたっ! 外側から、海の向こうからやってきたとゆー面
白さだよねぇ。これを我々は再認識しなきゃいけないわけよぉ。
大谷 プロレスvsグレイシーに戻ると思うとつまらないけど、猪木vsグレイシーになるとメチャクチャ新鮮なんだよね。
――それは文科系同士の闘いになるからな。じゃあ、UWFvsグレイシーっていうアングルには俺は乗れなかったんだけど、それはUWFを体育会系だって感じてたのかなぁ。
ビート そーゆーことですっ! だから体育会系の持つ大きな問題点は、体育会系は世間の論理にすり寄るんだよぉ。
――ああ、なるほどなるほど。
ビート で、どんどん一般のマスコミに出たがるんだよねぇ。ところが馬場さんや猪木さんはそうじゃないわけ。文科系は世間とゆーものに対比してぇ、なんらかの形で世間と対決しようとしたり、世間が持ってる八百長論をブチ壊そうとか、そーゆー意志の塊があるけども、体育会系は白らのアイデンティティが弱いので、世間的な論理にすり寄ってしまうとゆー弱点があるわけですよぉ!
谷川 そこはすごく重要ですね。
――ぷぷぷぷぷっ!
谷川 体育会系がつまらなくなるのはその部分ですからね。
――どの口が言うんだ(笑)。
ビート 谷川のような体育会系というのは、世間的な論理と同心円になろうとするわけ。その世間を否定しようとするのが文科系の中に怨念としてあるわけですよぉ。体育会系は世間のルールや価値観と同じところへ行こうとするわけでしょ。そういう意味でUWFにもどうしても体育会系的な論理があったよねぇ。
谷川 ちょ、ちょっと待ってくださいよ、師匠。僕は体育会系なんですかあ?
ビート 根本は体育会系ですよお!
谷川 でも、僕は根っから好きなのは梶原一騎の世界とかの文科系なんですよお。
――いや、だから梶原一騎を文科系と捉えるところが体育会系なんだよ(笑)。 ビート そうそう、梶原一騎は典型的な体育会系ですよぉ。これ以上ないほど体育会系を最大に美化した世界だよぉ。
――でも、サダハルンバは根本は体育会系だけど、後天的に師匠の文科系が刷り込まれて化学変化してるんだね(笑)。
ビート この能天気さは、俺の功罪だったのかぁ。
――だから化学変化後のサダハルンバは、さしずめ「癒し系」ってところだね(笑)。 谷川 んあ〜っ!
ビート あっ、あの解説を聞いたら癒し系だと感じるなぁ。いいねえ、一番ナウいじゃないかあ。
――「ナウい」だって(笑)。
大谷 じゃあ、やっぱり谷川さんが一番時代に合ってるんだあ。
――でも、あんまり核心には関係ないってところもね(笑)。
谷川 でもね、僕がしゃべるとどんな試合でも名勝負に見えるからね。
ビート 史上最強の中和剤ですよぉ!
――格闘技マスコミ界の「本上まなみ」って名刺を作れば?(笑)。
谷川 僕は本上まなみだったんだあ。
――んあ〜。
谷川 癒し系で長く続けていこうっと。
大谷 じゃあ、じゃあ、僕は何系なんですかあ? 僕も体育会系?
――おまえは電波系だろう(笑)。
大谷 ヒヤっ!?
ビート 冥王星の体育会系に所属している電波系ですよぉ。一一たとえパンクラスの道場でスクワットを2000回やってもキミは地球では体育会系じゃない、正真正銘の電波系。
大谷 2000回じゃないよ、3000回!
――ガハハハハハッ! 見事に分化されたね(笑)。ビートさんが文科系、サダハルンバが癒し系、Showは電波系(笑)。
ビート まあ文科系の役割として総括に戻るけど、ここまで話してきたことに時代の謎があると思うんだよぉ。それで『プライド』の謎も解けたしぃ、猪木さんの謎も、長州の謎、武藤とか蝶野、橋本のポジション、小川のポジションもオールすべてぜ〜んぶ見えたよぉ。だから結論は一つっ! 文科系にしか未来はないっ!
谷川 でも、文科系の人って少ないですよね。
ビート 少数派ですよぉ。誤解されやすいし、独走的になりやすいし、自分勝手、自己中心的、エゴイストだし。まさに俺ですよぉ。文科系の特徴はそこだもん。独りよがりなんですよぉぉぉ! 俺たちは余計なことぱかりするわけですよぉ、世の中に対して、社会に対して、周りに対して。その余計なことをするには、普通
のエネルギーの10倍くらい必要なわけよぉ。そんなことを初めから分かってたら、やらねえもんなぁ。でも、余計なことによって何かが変わるとか、意識が変わるとかぁ、そーゆー欲望とか野望を持つでしょ、文科系とゆーのはぁ。猪木さんを見ればオールすべてぜ〜んぶ分かりますよぉ。アリ戦なんか余計なことの極致みたいなもんだよねぇ。でも、それが文科系の証明なんですよぉ。
――その「余計なこと」のスケールがあまりにも小さいのが、いわゆる「プロレス頭」なんでしょうね。
ビート そーゆーことですっ-! 猪木さんの「余計なこと」は世間を巻き込んでるもんなぁ。
――だから意味があるんだからね。今のプロレス頭って世間に無視される「余計なこと」だもんなぁ。
谷川 ああ、それはよく分かるなあ。もともと根が桁外れにスケールの大きい僕としては、とくにインディーなんかの今のプロレスって本当にただの「余計なこと」だもんね。
ビート そ-いえぱ、このあいだ『ミッション・トゥー・マーズ』とゆー、ブライアン・デ・パルマ監督の映画を観に行ったんだよぉ。火星の映画なんだけど、最後はどーゆーことかというと、火星にあったDNAがぁ、地球に飛んできてそれが生命を産んだとゆー仮説の物語なんだよねぇ。その中でよ〜するに人間とサル(チンパンジー)もほとんどDNAは97パーセント一緒だ、と。残りの3パーセントは何かと言ったら、その例を挙げたんだよねぇ。それは俺と同じ考えで面
白かったよぉ。
谷川 それは何なんですか?
ビート それは「モーツァルト」と「アインシュタイン」と「切り裂きジャック」が人間である証明だと言うんだよぉ!
――なるほど(笑)。
大谷 でも、その3人は極論すれば異常者じゃないですかあ。
ビート いや、天才とゆーのはそーなんだよぉ。何かが異常に発達してるから天才なんだからぁ。何かが異常に発達したほーがいいよぉ。Showには到底ムリだけどなぁ。でも俺は、その説に異を唱えたいんだよぉ。「モーツァルト」「アインシュタイン」ときたら、最後は「アントニオ猪木」ですよぉぉぉ!
――ダハハハハッ!
ビート 俺は「切り裂きジャック」じゃなく、自信を持って「アントニオ猪木」と言ってほしかったよぉ。これ、歴史上の文科系3大偉人ですよぉ!
――そのとおりっ!
ビート 97%がサルと一緒でも、人類であるためには残りの3パーセントは絶対に文科系じゃなけれぱいけないんですよぉ! その3パーセントが体育会系だったら、サルと一緒ですよぉ!
谷川 その3%が癒し系じゃ、やっぱりサルですか?
――んあああああああ〜っ!(笑)。
大谷 その3%が電波系でも、やっぱりサル?
ビート おまえは100%宇宙ザルですよぉぉぉっ!
大谷 ヒヤッ!? < 編集部より=最後まで読んでいただけれぱお分かりのように、ぜ〜んぜん上半期を総括しておりません。あしからず
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