猪木教は宇宙を救う!
新世紀プロレスマガジン・凄玉【スゴダマ!】(福昌堂)より 


猪木教は「最高ですか!」ならぬ「元気ですか!」

「1・2・3ダー!」をやるだけでトランス状態に


水: 今回は我々が信仰する
   『猪木教』について布教活動させて頂こう。

玉: 「♪なんで〜こんなに可愛いのかよ、アゴと言う名の宝物〜」

水: いきなり、なんで「孫」を歌ってんだよ!

玉: 「孫」じゃなくて、これは「アゴ」ですよ。

水: だから、その歌は演歌の救世主と言われた「孫」だろ。

玉: いや、これはプロレス界の救世主「アゴ」です。
   この歌は我らが神であり主を崇め奉る賛美歌ですよ。 

水: なるほど、正直言って猪木は主であり、神そのものでもある。
   宇宙にビッグバンが起こり、
   猪木は7日間でこの世をお創りになられた。

玉: そしてエデンの園で倍賞美津子がリンゴを噛り、
   苦難と希望に満ちた人類の歴史とリングの歴史始まったと
   言われている。

水: 堕落した人類に灸を据えるため地上に大洪水をもたらし、
   猪木を信じるわずかな人間と動物達を「ノアのアゴ船」に乗せ、
   生き残った生物が今の我々生命体すべての祖先なんです。

玉: NHK特集でお馴染の天才ザル「カンジ君」に
   言語能力を授けたのも「猪木カンジ」の奇跡によるものです。

水: 神は人々を罪から救うメシアとしてイエスを下界に送り込んだが、
   猪木の神は人間の姿になって自分で降りてきてしまった。

玉: …なんて言うとデーモン小暮みたいだな。

水: でも確かに、オレたちのアントニオ猪木に対する敬愛、
   帰依はここにきて日増しに止むことがないからな〜。
   ただ、プロレスファン以外の人から見ると相当な邪教と言うか、
   なんでこんな宗教を信じているのか不思議でしょうがない
   代物なんだよ。そのことに気が付いたのは昨年末、
   足裏を診断して多額のお布施を吸い上げる『法の華』の教祖の
   福永法源が信者を相手に説法する姿を見てわかったな。

玉: そうそう!
   この教祖、見た目、風貌からして怪しい。

水: 身長が191センチで奇しくも猪木と同じなんだよ。

玉: 信者を集めた集会で壇上から唐突に
   「最高ですか!」を連呼するだろ。
   で、信者たちはオーム返しに
   「最高です!」と連呼を繰り返してね。

水: 健全な市民社会から見たら、
   こんなに滑稽な集団催眠状態はないんだよ。
   でも、よく考えるとオレたちの「猪木教」もそれと同様、
   むしろ、それ以上かもしれない。

玉: オレたち猪木教は
   「最高ですか!」ならぬ「元気ですか!」の教祖の一言に
   ドームの6万人が大熱狂するわけだから。

水: 最近の猪木のマイクは、かってドームで講演した、
   『幸福の科学』の大川隆法のアジテーションを越えてるよ。
   それに、そのありがたい一言を聞きたいがために
   信者は決して安くはないチケットを払って
   ドームにお参りに行ってるのは間違いないだろ。

玉: これは完全に「お布施」ですよ。

水: つまり宗教界のデファクトスタンダードたる
   キリスト教は新日本プロレスであり、
   信者数ナンバーワンのイスラム教徒の敬虔さは
   全日本プロレスファンに通じるものがある。
   だからこそ猪木はヒンズー教からの刺客、
   タイガー・ジェット・シンに対しては
   闘志を剥き出しにしてたわけだ。
   ちなみに先日後楽園ホールで消防車出動騒ぎを起こした
   大日本プロレスは「拝火教」のゾロアスター教、
   はたまた「火祭り」でお馴染の阿含宗かな。

玉: いやいや「アゴん宗」こそ猪木だろ。

水: 『燃える闘魂』だもんね。
   だいたい、今、30代のプロレスファンって
   平成プロレスシーンには興味をもてない、
   プロレス会場に行くことはリング上の現役選手の
   「闘い」そのものより猪木の言動を見たいって言う
   モチベーションの方が高くなってるよ。

玉: この間の横浜アリーナの『力道山メモリアル』が象徴的だよ。
   多くの団体が参加してそれぞれのスタイルのプロレスを
   同じリングで見せたにもかかわらず、
   プロレスのシロートのアイドルとプロレスから引退した
   教祖様の対決がぶっちぎりで観客を熱狂させたからね。

水: でも、試合前はとんだ茶番劇を見せられると
   思ってる予感もあるし、一歩間違えると、
   タッキーなんかプロレスファンに野次り倒されて、
   暴動騒ぎにもなるような状況なわけじゃない。
   だけどウチの教祖様は「邪道」ならぬ「邪教」の
   「邪ニーズ」教徒を迎え入れてしまった。

玉: それが、ジャニーズ・ジュニア相手にも教祖は
   かつてのドリーファンク・ジュニアの名試合と変わらない
   感動を与えるんだから…恐るべしだよ。
   なにしろ、今までオレたちには
   「プロレスは最強である」と教義を掲げて
   敵対する宗派を次々とプロレスのリングに上げてポアしまくる
   教祖の姿に歓喜しまくった過去の刷り込みがあるからな。

水: 聖書にある「わたしは地上に平和をもたらすためでなく、
   剣をもたらし、敵対させるために来た」の一節は
   妙に猪木とダブるもんね。
   「右の頬を張られたら、左の頬を差し出しなさい」なんて
   試合前にビンタを喰らわす猪木そのものだよ。
   猪木の全ての行動は聖書に暗号化され予告されている
   との研究も現在欧米の宗教学者の間で行われている。

玉: ウソつけ!
   だけど試合が終わる頃には邪教徒も猪木教徒も一緒になって
   タッキーを、そして猪木を応援してた。

水: 偉大なる教祖の愛のおかげで
   異教徒と心が一つになった瞬間だった。

玉: それに『猪木ボンバイエ』の
   “アストラルミュージック”が流れると信者は熱狂して
   「猪木コール」のマントラを唱えるでしょう。

水: 人種、宗教を超えて、その場に居合わせた全員がきっと
   「ダァーッ!」をするさ。
   そう、10/11の小川vs橋本の再戦に立会人で登場した時に
   闘魂棒を持って入場してきたじゃない? 
   もう、あの闘魂棒がさ、オレには
   5万人のオーケストラを演奏する指揮者のタクトに見えたもん。

玉: 小川直也が猪木教の神の代行人として
   リング上で対戦相手を制裁する姿が我々にとって
   今、最も興奮する一瞬ですよ。

水: 小川に関しては一部では、
   猪木の洗脳による、からくり人形とも言われてるけど…

玉: それは問題ないでしょ。
   横綱・貴乃花が洗脳されて若乃花批判を口にした時が
   ここ数年の相撲界で一番盛り上がりましたもん。

水: プロレス的盛り上りがあったな。
   誰だっけあの洗脳した接骨医…

玉: いっこく堂。

水: 筋骨堂だよ!
   それじゃあ、本当にからくり人形になるよ。
   ああいう怪しげな人がもっとプロレス界には出入りして欲しいね。

玉: それにしても教祖の説く教義は極めて簡単ですよね。

水: 「元気ですか!」に始まり「1・2・3・ダー!」に終わる。
   余りにも単純だろ。単純すぎるよ。

玉: 宗教儀式これだけです。

水: 子供でもできる宗教体験だよ。
   でも「1・2・3ダー!」をやるだけで
   確実にトランス状態になってるわけだから傍から見ると
   これほど視野狭窄な洗脳集団あるか?
   しかも、この洗脳がなかなか解けないからな〜。

玉: 例えオウムの信者の洗脳を解いた苫米地教授でも
   俺達の猪木信者の洗脳を解く事は不可能だよ。


「猪木は、もう全人生が教祖の資格十分だよ」

「ブラジル時代の奴隷生活だけで映画が一本撮れる」



水: 教祖に「バケモノアゴ男」と呼ばれても洗脳が解けない
   元X-JAPANのTOSHIが問題になったけど、
   こっちは「バケモノアゴ男」そのものが教祖だからね。
   実際、オレたちの世代の「猪木教」信者は、
   一度は教祖を見限り、脱会してるような経験があるのに、
   再度、ハマってるわけじゃない。

玉: 今、30代の連中は思春期の敏感な時に、
   信じきっていた教祖・猪木に裏切られ
   一度は猪木の下を去るからね。

水: これはファンだけじゃないよ、
   レスラーも藤波や長州、佐山や橋本に至るまで皆、
   味わう体験だからね。
   みんな一度は「最後の晩餐」のユダになってんだよ。

玉: しかしみんな最後は猪木の「愛」に気付き、
   戻って来るんだな〜。
   それに特筆すべきは大概怪しい宗教の教祖はインドで
   解脱しているが、猪木教祖はブラジルで少年時代に
   奴隷生活を送り解脱している所も凄いよ。

水: そう、猪木は、もう全人生が教祖の資格十分だよ。

玉: ブラジル時代の奴隷生活だけで映画が一本撮れますよ。

水: だいたい、14歳の猪木少年が
   横浜港第3桟橋から猪木一家11名もろともサントス丸に乗って
   ブラジルへ渡るシーンとか、カリブ海で祖父が死去して
   日本国旗に包まれて棺が海に沈んでいくシーンだけで、
   もうオレ的には「海の上のピアニスト」を超えてるもん。

玉: その後、力道山に連れられプロレス入り、
   クーデター騒ぎ、ライバル馬場との確執、アリ戦、
   国会議員に当選、イラク人質解放、大スキャンダル、引退試合、
   この猪木サーガは『ゴット・ファーザー』越えてますよ。

水: まさに『人間革命』を凌駕するドラマだよ。
   ぜひ映画化して欲しいんだけど、
   でも猪木の生涯を映画化する時には、
   191センチあるアゴが飛び出た新人俳優を
   起用しなきゃいけないから、そこがネックなんだよな。

玉: 猪木教徒は普段の生活の中でも常に猪木教の修業してますよ。

水: そうだ。
   まず、教義を一日1回は唱えてるね。
   最近じゃあ「道はどんなに厳しくても笑いながら歩こうぜ!」
   って何度も唱えてる。
   字面では、どうってことない詩なんだけど…
   自分もアゴをしゃくらせて、この言葉を復唱すると、
   霊験あらたかなんだよ。

玉: 相田みつおや、326じゃなんにも癒されないのに…

水: そうなんだよ。
   オレはそういう癒しの詩をありがたがる連中に不思議なのは、
   相田みつおや326がどういう生き方をしてきたんだよ、
   しょせん生身の実感ではなく頭の中だけの
   仮初めの言葉じゃないって思うんだよね。
   …その点、猪木の生涯って『トルーマンショー』だから、
   それは、オレたちのもう一人の教祖、たけしさんも同じこと
   なんだけど、ほとんど人生の大半の時間を衆人監視の中に
   居続けているわけだよ。それこそ、そのなかで
   「かいて、かいて、恥かいて、裸になれたら見えてきた自分の姿」
   だけに、そういう人が会得した言葉にこそ言霊が宿るんだろうね。


猪木の名を騙った旅行会社の詐欺でも振り込むのだ!

その危うい賭けに乗るのも猪木信者です!


玉: 典型的な猪木教の修業の一つに
   「水風呂行」があるじゃないですか。

水: そう!
   教祖は健康法の一巻として朝一番で湯船に張った冷たい水に
   ザブ〜ンと浸かるんだよな。

玉: 夏なんて水が温くなるので
   そこに氷をぶち込んでまで冷水にこだわってるんですよ。

水: カツオのたたきじゃないんだから、
   そんなに締める事はないのにね。

玉: これは俺達がそれまでサウナに行ったとき
   その水風呂の冷たさに躊躇してたけど、
   この修業をクリアしなければ…と思うんですよ。
   その時、自分の心の中で猪木イズムが爆発を起こし、
   猪木が憑依するのもん。

水: アゴを突き出し
   『よ〜しいっちょう浸かってやろうじゃネェか』の掛け声とともに
   ザブ〜ンと頭まで浸かることが出来るようになったね。
   しかもこれは確実に伝染する。
   俺達を見てたオヤジまでアゴつきだして、
   ザブ〜ンって飛び込んでたもん。

玉: これも俺達の布教活動だよ。
   これは死者が出て問題になったライフスペースの
   「風呂行」より素晴らしい。
   そう言えば小川がプロレスデビュー二戦目のvs橋本戦で、
   失神KO負けしたときにも「水風呂行」したらしいな。
   普通はまず喝を入れるでしょ、失神してたら。

水: 違うんだよな猪木は。
   「水風呂入れろ!水風呂入れろ!」と気絶している小川に
   水をぶっかけた後、体ごと水風呂の中に放り込んだという。

玉: 運動生理学上、正しいのか?
   それから信者の夢は教祖とのパラオセミナーへの参加もあるね。

水: これはなかなか難しい。
   よっぽどステージの高い信者、特に最近では藤田とか
   レスラーになった信者じゃないと、参加は難しいな。

玉: パラオセミナー企画されたら、絶対に金振り込むね。

水: それが猪木の名を語った旅行会社の詐欺でも振り込むよ。

玉: その危うい賭けに乗るのも猪木信者ですよ。

水: とりあえずは、オレは北朝鮮セミナーには行くね!!
   金正日に日本には、自分以上のカリスマがいることを教えたいよ。

玉: でも、不思議なのは俺達のまわりで
   「猪木を信じていて病気が治った」とか
   「落ち込んでいた気持ちがすっきりした」とか
   「商売に成功した」とか喜びの声が絶えないですよ。

水: おいおい、本格的な宗教の勧誘だぞ。
   でもこれも本当。病気は治るかどうかはわからないけど、
   「心の病気」は絶対に治る。

玉: 俺達みたいな芸人でも、家庭のこと金のこと仕事のこととかで…
   落ち込むこともあるじゃないですか。

水: そんな時は「猪木の事を考えてみろ!」って言うんだよ。
   そうすると、そんな不安で鬱な気分なんて吹っ飛ぶんだよ。
   莫大な借金・スキャンダルいくら辛いことがあっても、
   猪木はリング上で大衆の四方八方からの視線を
   裸一貫・パンツ一丁の姿に浴び、毎日、毎日、
   日本全国を巡業してたんだよ。

玉: 完全に身を晒してますからね。

水: 逃げ場もないんだから。
   でも、そうなったらしょうがねぇんですよ。

玉: その時、猪木の名言が聞こえてくるんだよね。
   あの頃の猪木に比べれば、今の俺のおかれてる劣勢なんて
   「どうってことねぇですよ!」てね。

水: 気分爽快になるだろ。
   商売に成功だって絶対にするよ。
   だって教祖が経済的には大失敗してるんだもん。
   これは反面教師だよ。

玉: モハメッド・アリ戦でしょい込んだ莫大なファイトマネーの借金。
   ブラジルの国家的事業になるはずだったけど大失敗に終わった
   アントンハイセル。

水: 現役生活時代に一度も経済的にプラスの状態がなかっただけでも、
   凄い人生だよ!
   あの荒唐無稽な経営を見れば反面教師で商売に慎重になるもん。
   逆に勇気がなくて、動きがとれない時には
   「迷わず行けよ、行けばわかるさ」と
   天からの啓示が降りてくるだろ。
   それだけじゃないよ、オレは猪木の誕生日2月20日は、
   もう一人の日本人のカリスマ、長嶋茂雄の誕生日でも
   あることから、21世紀は「2/20を国民の休日に為べし!」
   って運動してんだけど…長嶋のそっくりさん、
   プリティ長嶋が今年、田園調布に家を建て、
   ちょっと前までは、アルコール中毒の廃人だった
   春一番が今や旬のCMタレントに成り上がるように、
   ここにきて熱烈な信者の現世利益も並のレベルじゃ
   なくなってきてるんだよ。

玉: オレももっと信心するよ。

水: オーケン(大槻ケンヂ)がこんな事を言っていた。
   もし東京ドームの最後に猪木が登場して、
   「これから皆で走りますかー」と言われれば、
   観客全員が花道を走る猪木についてそのまま、
   どこまでも走り出すんじゃないかって。

玉: 映画『フォレストガンプ』のワンシーンだよね。
   でも、ありうるよ。
   じゃあ、例えば猪木がドームのリング上で毒薬を持って登場し、
   観客全員にそれを配り
   「これを一緒に飲みますかッー!」と言われれば、
   信者はなんの疑いもなく毒液を喜んで飲むでしょうかね〜?

水: 「飲みますかッー!?」て言われれば観客は
   「飲みま〜す!」と歓喜するだろうな。

玉: で、「1・2・3・グビッ」ですか。

水: 他の宗教団体の信者なら飲んじゃうだろうけど、
   でも、猪木狂信者の賢く特殊なところは、そこで飲まないで、
   猪木だけ飲んで、死んでいく猪木を見て泣くんだよ。

玉: カルト教団人民寺院もビックリのガイアナ集団自殺までには
   ならないんですね。
   そこで死んでいく猪木、あ〜切ない教祖様だな〜

水: なんでそこまで空想してんだよ、
   でも、そこが1番の魅力なんだよ!

玉: でも、猪木がここまで神に近づいてるのは、
   本人の引退と馬場死去が大きかったな。
   しかも引退試合の詩『道』の朗読が、
   今日のステージの高さを決定づけたね。

水: あの時、古舘さんは実況で
   「猪木は、全ての人間が内包している闘う魂をリング上で
    代演する宿命にあった。我々は猪木が闘いの果てに見せ
    る表情に、己自身を投影させてきたのだ。しかし、この
    瞬間をもって猪木はこのリングから姿を消す。我々はど
    うやって火をともしていけばいいのか。ひとりで闘うこ
    とを忘れかけた人々…もう我々は、闘魂に癒されながら
    時代の砂漠をさまよってはいられない。我々は今日をも
    って猪木から自立しなければいけない。闘魂のかけらを
    携えて、今度は我々が旅に出る番だ。闘魂は連鎖する!」
   って名フレーズで締めくくったけど…

玉: あいにく、まだまだ猪木から自立は出来ないね〜。

水: そう、オレたちが猪木を見守り、恩恵を受ける立会人なんだよ。
   信心続行ッ!!
   とにかく、39年前、力道山からブラジルに連れて帰られた
   “アゴ”と呼ばれた男が、
   今やオレたちの何物にも変えがたい“宝物”になったんだよ! 

玉: ♪なんで〜こんなに可愛いのかよ、アゴと言う名の宝物〜

 

 

 

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