なぜレスラ−は誰も前田を支持しないのか?
ソニ−マガジンズ『格闘ゲリラマガジン』Vol.2より 

――UWF信者だったお二人は、
  この試合に対する思い入れはハンパじゃなかったでしょう。

 とにかくこの試合は、俺たちにとっては大きかったね。

 二人で10万円の席を3枚買ったもんな!
  ラッシャ−さんの結婚式で向井亜紀ちゃんに頼み込んで。
  招待席で見るのだけは絶対イヤだったから。

 自分の金で買わなきゃ意味ねえよ。
  ハッキリ言って俺たちにとっても安くはないですよ。
  そのために事務所に金借りたぐらいだし。   

 当日まではいろいろ資金難で実現まで難しい
  っていう情報が入ってきたじゃない。
  でも金が足りないからあの試合が実現できないとなったらどうすんだよ。
  今こそプロレスファンがタニマチにならなきゃダメだって思いましたよ。

 でも考えてみりゃ、高くないよ、10万なんて。
  俺たちブラジルで試合があっても絶対行ってたよ!
  その飛行機代、宿泊代考えてみ。安いもんだよ。

――あえて10万円も払ってこの試合を見たいっていうのは、
  「自分はこの位プロレスが好きなんだ」っていうことを
  確認したかったんでしょうね。

 したかった! それぐらい意味のある試合だからね。
  この試合が見れるっていうだけでどれだけ幸せか。
  最近のプロレスでは勃たない俺たちとしては、
  死んでも見逃せなかったからね。

 でも、当日まで実現するかどうか危ぶまれてたけど、
  それでも別にどうってことねえよな。
  そんなの猪木さんで俺ら慣れっこなんだから。

 俺達も決戦に向けてコンディション整えてたもんな。
  一時、当日まで車乗るのやめようとか言ってな。
  事故にあったらどうするんだよ。

――そこまで!(笑)。
  でも、それほどの思い入れで試合に臨んだにもかかわらず、
  結果はああなってしまったわけですよね。

 でもまあ、あの試合の結果は……、
  「まさか!」って感じだったよね。
  でもね、あの東京ド−ムにUの戦士が集結して、
  それで大観衆のみんなで「高田勝ってくれ!」って祈っていたっていう、
  その状況は最高に嬉しかったですよ。
  そりゃあ、前田だって山本だって高橋だって、
  みんないろんな思惑があるわけじゃないですか。
  でも、あの入場シ−ンではみんな思いは同じだったはずだよ、絶対。
  あれはもう、感動したなあ!  
 
――お二人には試合直後にコメントをいただいたから
  試合のことはちょっとおいておくとして、
  その後、前田選手があの試合について怒りの記者会見を開きましたよね。
  あれについてはいかがですか?

 前田のああいうフライング発言っていうのは、凄く重要だよね。
  あれがなかったら昭和プロレスファンが置き去りになっちゃうんだもん。
  でも、前田のあの気持ちを考えると、
  面白がってプロレスについて発言したりするのはやめよう思ったもん。
  俺らそれだけ前田信者だし、
  「前田が言うんなら信用するぜ」っていう姿勢だしね。

 絶対、今こそ前田支持だよな!
  他のレスラ−は何で黙ってんだよ。

――今回、お二人に喋ってもらいたいところはそこなんですよ。
  レスラ−やマスコミが前田さんに対して
  ノ−リアクションという状況ですから。

 今、前田を応援しないレスラ−なんて、こっちが応援してやらねえよ!

――凄い!

 リングスで前田さんがヒクソン戦を実現してくれるなら、
  俺らでよければ旗振り役やらせてもらうよ!
  この間、たけしさんにもラジオで言ったもん。
  「前田さんがヒクソンと闘うのに金が要るんです。
   たけしさん、金ください」って。

――ハハハハハ。

 そりゃあ選手としてヒクソンと闘う前田に
  不安がないと言ったらウソだよ。
  高田のことをああいうふうに言っているけど、
  それ以上にあの人は壊れていると思うし。

 どんな結果が出てもそれはしょうがないよ。
  ただ、万が一前田が負けたとして、そこに誰も続かなかったら、
  それこそ最悪だよ。
  ちゃんと後に田村であれ誰であれ、
  続いてくれなきゃマット界終わっちゃうよ!

 俺たちは前田主義者であり、たけし主義者なんだけど、
  たけしさんが事故を起こして復帰して、
  しばらくは視聴率も良かったんだけど、
  その後もの凄く低迷したんですよ。
  その時に「たけしの時代は終わった」とかいって、
  たけしさんは凄く攻撃されたわけですよ。

――されましたねえ。

 だけどベネチアで賞獲ってから、
  また大きく状況を変えたわけじゃないですか。
  でも、あの奇跡が起こる前は、あの事故は致命傷だったわけですよ。
  ファンからマスコミから関係者から
  「もうたけしさんはダメかも……」って思っているわけですよ。
   でも本人だけは「もういっぺん運気が変わる。俺は行く」
   って続けたんですよ、ずっと。

 俺たちも正直言って不安になってたもんな。

 裸の王様になっちゃう可能性だってあったわけだし。
  でも実際は違ったじゃない。終わらなかったじゃない。
  ああいう人っていうのは本当の英雄なんですよ。
  俺らにとってはいまだに英雄だし、もちろん師匠でもあるし。
  あのたけしさんの『フライデ−』襲撃事件があったでしょ。
  あんなの誰が考えても悪いことじゃない。
  ふつうならたけしさん含め軍団全員、芸人生活を棒に振るわけだし。
  そういう時にたけし軍団は全員一致で殴りに行ったわけじゃない。
  それが師弟ってもんだろっていうのが俺はあるな。
  捕まったあと、たけしさんが言ったんだけど、
  「俺は土方をやってでもお前らを喰わす。一生喰わす」っていう、
  ああいう美意識っていう部分に俺らは震えるんだよね。

 ああいうのが今のマット界にもなきゃダメだよ!
  本当はそういう部分が一番あるのがプロレスなんだから。

――確かにそういう部分は今のマット界には希薄ですね。

 だから、みんな前田に対して誰も支持を表明しないんじゃない?
  でもそういう絆とか恩とか、誰だって前田に対してあるでしょ。
  特に元UWF戦士とか、もちろんリングスの選手達とか。
  同じ遺伝子を持つものなんだから、みんな。
  だからね、もし、ヒクソンと闘って前田が勝ったら、
  もうそれは英雄を越えて神ですよ。もう俺たちなんか狂喜乱舞ですよ!
  でもね、もしですよ、もし前田がヒクソンに負けちゃったとしても、
  次の田村なり誰なりが出ていってグレイシ−に勝ったら、
  「それは前田の価値だ」って俺は言うもん。
  「それは前田があの時に挑戦したからだ」って。

――ああ、いいですねえ!

 また根っこは猪木だしな。

 前田が勝ったら、それは猪木の勝ちでありUWFのかちであり、
  そしてなにより高田の勝ちなんだよ!
  だからね、前田のああいう姿勢や発言なんかを絶賛していこうよ、
  雑誌も。

――いやあ、当然そうなるでしょ。
  ただレスラ−からもそういう声が欲しいですよね。

 選手も俺たちファンも一本の線路の上に乗ってるんだから。
  連綿と続いているんだから。

 それまで小田急線だったのに、
  それがダメなら京王線とかってコロコロ乗り換えるヤツもいるけど、
  そんなの信じられねえもん!

 行き止まりにはしてほしくないね。
  高田という電車が急停車してしまったら、前田電車に乗ればいいし、
  それがダメだったら田村や高坂の電車にも乗るしね。

 船木が続いてくれるなら船木の電車にも乗るよ!

 俺らでは力になれないかもしれないけど、
  前田の思想が前に進むんであればそれは後押ししたいし。

 前田がゼットンと闘うって言うん出あればそれだって俺らは応援する。
  前田がマット界で浮いちゃってるような状態は絶対ダメだよ!

 

 

 

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